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双子ちゃんに病気があるかも

入院中は定期的に色々な検査が組まれます。
そのため、外来通院よりも検査は頻回に行っていました。当時は日本に数台しかないと言われた3Dのエコー検査も何回もしていました。そのような管理体制の中…

その日は、妹がお見舞いに来てくれた日でした。
もはや車椅子での移動しかできず1人では病棟から出られなかった私は、妹と一緒に売店に行った帰りでした。外来診療は既に終わり閑散とした産婦人科の前を通った時に、たまたま主治医に会いました。妹が来ていることを話すと、「妹さんが来ているならエコー検査をしようか。今日は双子ちゃんの顔が撮れるといいね」と、そのまま検査をすることになりました。
いつも主治医と一緒に診てくださっていた別の先生も偶然いらっしゃり、お2人で検査を始めてから数分。
仰向けの検査の態勢は、妊婦の腰に負荷がかかります。そろそろ体が限界になってきたと医師に伝えようとした時でした。それまで私や妹にも分かるように「これが足。」などの説明をしながら検査を進めてくれていた2人の医師が、深刻な顔になりました。画面を指差しながら専門用語を小声で話しています。「CLPかな」という声だけ、聞き取れました。

「何かありましたか?」という私の問いに、「双子ちゃんに病気があるかも。口唇裂という口の病気だけど、生まれて手術すれば大丈夫だからね。」と主治医は答えました。
双子ちゃんが大きくなってきていてお腹の中のスペースがなく、もう1人の方は病気を確認できませんでした。
今みたいにインターネットを病室で使えない時代。
病気のことを自分で調べる術もなく、とりあえず泣きたいのを我慢するしかありませんでした。
初めての妊娠、そして多胎、さらに病気が見つかった…
「なんで私が」という言葉しか出ませんでした。