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頼るから信頼関係が生まれる | 人生とは些細なことでできている


私はずっと、ないものに目を向けてきた気がする。

これはできるけど、これはできない=まだまだ努力が足りない、と。

他人とは割とすぐに打ち解けるけど、奥底では信頼できない。

それはたぶん、自分のありのままを見せたら去っていくだろうと思っていたから。

自分が自分の色んな部分を受け入れられず、とにかく足りないところを探しては改善するために全力を使ってきたような感じ。

人に頼るなんてもってのほか。
1人ではできそうもないことや分からないこと、問題があっても、1人で解決策を考えに考えて無理にでも1人でやる。

一人で生きていけるだけの知識や体力、勇気があってこそ、人から尊敬され、人生がうまく行き始めるのだろう、そう本気で思っていた。

だから親にも、恋愛関係の相手にも、友人にも、上手に頼れなかった。


でもうつ状態になって、初めて分かった。

逃げてもいいんだ。もっと頼ってもいいんだ。

社会には色々なサービスがあるし、悩んでる人や辛い想いをしてる人を助けるサービスもたくさんある。全然知らなかった。


そもそも、生きてるだけで私たちは様々なものに頼って生きてる。だから頼ってはいけないなんて大それたことを思ってたこと自体、おかしかった。


しかもインターネットがあるこの時代、さらに自分が苦手なことや分からないことはすぐに誰かに頼ることができる。


なぜか私たちは頼ることに、多くの勇気を必要とする。
頼られるのはとても嬉しいことなのに。

きっと断わられたり、できないと思われることを恐れているからかもしれない。

でも頼られると、信頼してくれているんだなと思ってこちらも信頼でき、お互いにもっとありのままを見せて信頼し合える関係が生まれるのだと思う。


もちろん、この世は良い人ばかりではない。
苦い思いをすることだってあるかもしれない。
それでも、その経験によって心を閉ざしてしまったら、他にたくさんいる心の温かい人との出会いの機会をも奪ってしまう。



昨日久しぶりに、長年会えてない親友に電話をかけることにした。日本とアメリカという遠く離れた国でも、たとえ対面で会ってなくても、1番心に近い存在といっても過言ではないから、不思議だ。


電話というのは、私はそこまで得意ではない。

でも、辛い時や物事がうまくいってない時でさえも、寄り添い、暖かなメッセージを送り続けてくれた親友に感謝を伝えたかったし、声を聞きたかった。

その友人だけは、私のキャリアなどの外的な要因で価値を判断したり、変に詮索したりせず、どんな時も私という1人の人間だけを見ていてくれた。

だから、たとえすごい報告ができなくても、新しい進展などがなくても、安心して電話をかけられた。

あるものを大切にする。自分を大事に思ってくれる人がいることは、当たり前では決してない。だからこそより大事にしなければと思う。


音楽一筋で割と生きてきた私にとっては貴重な存在。なぜなら音楽でつながる友人はみな、常に進展の報告やキャリアの話をするから。


私は人生について話したかったし、些細な日常について話したかった。アメリカのポッドキャストで話していたことが忘れられない。

Your life is the little things.
Your life is not winning the Oscar.
Your life is what you do first thing in the morning. It’s the mood that you bring in to work. It’s how you behave in a meeting.
That’s your life and we forget that there’s a beauty and a grace to bringing a level of intention to these little things that you’re doing everyday.

Mel Robbins

人生は大きなことを成し遂げた時だけに価値があるものではない。
人生は朝一番に何をするか、どんな気持ちで仕事に向かうか、どんな態度でミーティングに参加するのか、どんな風に人と接するのか、そういう些細なことこそが人生で、そこに目を向け、丁寧に行なっていると、人生の美しさや恵みを感じられるようになる。

これは映画 「Perfect Days」を彷彿とさせる考え方でもあるが、歳を重ねるごとに、より実感できる。


親友は、驚くほど自分と同じような経験をし、同じように考え、気づき、しっかり自分を見つめ直しながら生きていた。

大人になると、ただ一緒に外出して楽しいだけの関係では長続きしなくなる。
お互いを尊重し合い、思いやりを持って接することができるような相手、価値観が同じ相手でなければ、自分の貴重な時間を使って話したりしたいとは思わないだろう。

少しずつ、本当の自分に近づけている時、共に同じスピードで同じ道を歩いている友人がいるのは奇跡に近い、嬉しいことだ、そう思った。

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