見出し画像

2人の飲み友達の死

断酒21年のヨウスケです。

 3年ぶりに会った友達とのラーメン屋での食事。

 ビールすら注文しないことに何だか物足りなさを感じながらも、ラーメンとチャーハンを注文して、この3年間のよもやま話をしているうちに、彼の口から出た言葉は、

 「そういや、これ話してなかったよな…」

 3年間会っていないし、連絡も取っていなかったのだから聞くも何も無いのだが…と思いながら聞いた内容は…。

 以前、勤めていた会社の同僚、大学の先輩筋にあたる飲み友達の話。

 結局、勤めていた工場は辞めて、転職して頑張っていたのだが、ある日、出勤して来ないことを心配した上司が下宿を訪問すると風呂場で倒れて亡くなっていた…と。

 死因は飲んで帰って風呂場で転倒して後頭部を打ったことによるらしい。

 友達は葬儀にも出たのだが、俺の方は飲んで先輩との関係も良くなかったこともあるし、再飲酒のきっかけになる危険性も考えて知らせなかったということ。

 「おいおい…」

 なんとも複雑な気持ちでした。

 先輩もまだ40歳になったくらいだと思う。

 一度だけその先輩が酔っ払って深夜に電話してきたことがありました。

 私の方は次の日仕事もあったし、酔っ払いの相手するのもめんどくさかったので、

 「もう、明日も早いから電話切るよ」

 冷たくあしらって寝ました。

 それが先輩と話をした最後でした。

 
  いつも一緒に酒飲みながら馬鹿話ばっかりしてた先輩。

 私が酒を買う金が無い時も先輩の所に行ったら、先輩も無いはずなのにどこからか金を工面してきて2人で飲んだこともあった。

 破天荒な生き方をしていた先輩らしい死に様といえばそうかもしれませんが、せめて死ぬ前にもう一度会いたかった…。

 会ったら絶対飲んでただろうけど…。


 「それだけで無いんや」 と友人。

 その会社のもう1人の飲み友達、当時50歳過ぎだった人。

 その人も転職して、なんと、50過ぎて結婚も決まり(初婚でした)、順調に進んでいるものだと思っていましたが…。

 鬱病をこじらせて自殺してしまったとのこと。

 先輩の死の1年くらい前の話だったらしい。

 元々、鬱病を持っていたらしいのですが、一緒に居て全く気がつきませんでした。

 
 私が断酒してから当時の飲み友達が立て続けに2人も亡くなった…。

 1番死に近かった自分がのうのうと生き残っている。

 2人とも年上だったけど、同僚として同じ目線で友達付き合いをしてくれてた。

 私の酒癖の悪さも生暖かい目で見守ってくれていた。

  なんだかんだあったけど2人ともいい人だった…。

 
 友人とはそのまま別れ、まっすぐに帰る気にもなれず、自転車でアテもなく走り続けました。

「俺は酒を止めたのはいいけど、今後どんな生き方をしていけば良いんだろうか…」
 
  そんな思いが頭から離れませんでした。
 
 

 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?