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酒を止めてるのになんで・・・
断酒21年のヨウスケです。
断酒して3年目くらいまでの話です。
身体の調子も良くなり、食欲も旺盛になってきて、もうすっかり回復した気持ちになっていました。
日雇い派遣のアルバイトで繋いでいましたが、断酒後2年くらいして知人の会社で働くこととなりました。全く未知の分野の仕事で多少のストレスはありましたが、さほど飲酒欲求が出ることもなく、わりと機嫌良くやっていました。
しかし、ある上司と相性が悪く、注意を受けても生意気にも反論することがありました。
そのころの自分は
「今まで物事がうまくいかなかったのは全て酒のせい」
「酒を止めて頭もすっかりクリアになった俺は間違っていない」
という傲慢な思い違いをしていました。
進学校を出たのに大学は中退し、転職を繰り返している自分への劣等感。早くマイナスを取り返したい焦り。
それに、あの酒浸りの日々の情けなさ、恥ずかしさを忘れたい。そのためには早く仕事の面で結果を出して、成功者への道へと進みたい。
酒を止めた俺は絶対にできる。
そんなことを思っていました。
会社の方でも仕事のスキルをアップさせるため社外研修に何度か出してもらい、やり甲斐も感じ出し、おぼろげながら明るい未来が見えて来たと思い始めた年明けの仕事初めの日。
仕事が終わって、社長から話があると呼び出され、言い渡されたのは
退職勧奨
要は辞めてくれないかということ。
あえて理由は聞きませんでした。
上司(社長ではない)との折り合いが悪かったのが主な原因だろうと思ったのだが、そういう時にごねるのは嫌なので
「あぁ、そうですか」
と、あっさり退職することにしました。
今までなら即ヤケ酒コースです。
仕事の面では売上もかなり出した月もあったし、突然の退職勧奨には納得いかない。しかも仕事初めの日に。
全くもって理不尽である。
十分に飲む理由になる。
しかし、なぜか酒に手が伸びることはありませんでした。
「酒も止めて頑張ってやっていたのに何故?」
怒りの感情より、魂が抜けたような無気力な状態になり、何もすることができませんでした。
2週間くらいそんな状態が続いたように覚えています。
さっさと次の仕事を探せば良いのに、やはり「アルコール依存症だった」
(アルコール依存症だったという表現が適切かどうかは分かりませんが)
という事実が、
「バレたらどうしよう・・・」
という不安を掻き立て一歩前に進む勇気が出ません。そして、とりあえず向かうのはパチンコ屋という体たらく。
「一体俺は何をしているのだろう・・・これでは酒を止めてるだけで、何も根本的なところは変わっていないのではないか・・・?」
そんな思いも出てきます。
しかし、一日何もしないで居ることに耐えられず、失業保険が出るまでハローワークに顔は出して、その後はパチンコ屋にいそいそと通いつめる生活がしばらく続きました。
依存する対象がアルコールからパチンコに変わっただけで何も変わってません。
アルコール依存、パチンコ依存、ニコチン依存の三拍子からパチンコ依存、ニコチン依存に減ったので、ちょっとはマシになったかと勝手に自分を納得させていました。
そして、断酒3年目を迎えた夏頃になって、気持ちも落ち着いて、次の仕事を探そうという気になってきた頃に登録していた派遣会社から仕事の依頼がありました。