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個人と組織の一体化 ~第3章 動機的制御:組織内決定

オーガニゼーションズ 第3章の後半、P63~103を要約していきます。これまでのまとめは以下を参照。

満足度と生産性

上司の仕事として、部下のやる気を出させることが大事だとよく言われます。やる気があるかないかで、仕事の能率・生産性は大きく変わってきます。しかし調べてみると、仕事への満足度が高いほど生産性が高くなるとは必ずしもいえないそうです。

満足度の低い従業員が取りうる行動として以下の3つがあります。
1. 組織を辞める
2. 組織の生産規範に従う
3. 生産を上げずに満足機会を探す

3について補足すると、もし仕事をサボっても罰されずにそこそこの給料をもらえたら、生産を上げずに満足できる機会を見つけたと言えます。グールドナー・モデルでもでてきた、残念な学習をしてしまった状態になります。

組織としては、2になってほしい。現状をより良くするために会社のために頑張ってほしい。どうやったらそういう動機づけができるでしょうか。

ここで個人の動機づけに影響を与える3つのステップがあります。
 ①代替案:どの選択肢のことを認識しているか
 ②期待値:選択肢を選んだ結果どうなると予想しているか
 ③価値観:各選択肢をどのように評価しているか
この3ステップについて詳しく調べていきます。

①代替案:どの選択肢のことを認識しているか

まず、現状に満足していたら、現状の代替案を探そうとも思わない。何かしらのきっかけがあって不満が生じて、それに対してどんな代替案を選択しようかな、と考える。その不満のきっかけには以下の4パターンがある。

a) 管理職の動きがきっかけとなる
仕事が単純な職場では、細かく監視するほどストレスを感じて効率が悪くなり、大まかな監視をして個人の意志を尊重した方が効率的になる。一方、仕事が複雑な職場では逆に、細かく監視した方がミスが減ってよい。

b) 仕事自体がきっかけとなる

c) 仕事の報酬がきっかけとなる
革新的な活動に対して報酬を出せば、みんながより良い仕事の代替案を探して仕事がよくなる。個人の活動成果に対して報酬を出すと、個人の努力は大きくなるが、会社規模でみると小さな代替案しか生まれない。

d) 同僚がきっかけになる
たとえば工場のラインでとなりの労働者の速度が、自分のペース設定のきっかけとなる。

②期待値:選択肢を選んだ結果どうなると予想しているか

これについても3つのパターンに分けて説明する。

a) 外部環境状態
組織の外によい代替案があれば、社内の結果は重要でなくなる。社内がうまくいかなければ転職すればいい、となる。逆に社外に失業者があふれていれば、組織内の結果が重要になってくる。

b) 集団圧力
・個人の依存度が高い集団からの圧力は強く受ける。たとえば家族という集団は個人に対して強い影響力を持つ場合が多い。
・集団の一様性が高いほど強い影響を受ける。みんなが同じ意見だったら自分もそれに従いたくなる。
・集団が競争にさらされていないほど、個人への圧力が強くなる。世間から隔絶された新興宗教ほど個人にいろんなことを強いる。

c) 組織の報酬
昇進や報酬が業績に連動しているほど、個人はやる気を出す。自分の工夫・頑張る余地があるほど好ましい。日給のような固定給にしたり、個人の頑張りと無関係な報酬にするとやる気が下がる。

③価値観:各選択肢をどのように評価しているか

組織の目的と個人の目的がどれくらい合致して、一体化しているかが重要となる。では、どういう状況で、組織と個人の一体化が進んでいるか調べると、5つのパターンに分類される。

a) その集団の名声が大きくなる
集団が社会的に見て高い地位にあり、それが自分にとって誇らしいこと。

b) 集団メンバー同士で目的を共有する

c) メンバー間での交流が盛ん
接触回数が多いこと、生い立ちや境遇が似ていること、コミュニティが小さめなこと。

d) 集団が自分のいろんな欲求を叶えてくれる
個人の目的達成に寛容であること。あまりルールが厳しくないこと。

e) メンバー間での競争が少ない
報酬が各自で独立していること。相対評価しないこと。

まとめ

組織と個人の目標が一体化して、やる気を出して働いてもらうために望ましいことをまとめる。

管理職として
①監督が大まかであること
②政策決定に参加させること
③生産性向上よりも従業員を大事にすること

組織として
①組織内で多様な関係が築けること
②性悪説で監視するのではなく、性善説で受け入れてあげること
③個人の目的達成に寛容なこと
④名声が高いこと

課題

・仕事やアルバイトを辞める理由を考えてみよう。
・生産への動機づけと組織内競争の関係を考えてみよう。
・規範の類似性の低い複数の組織に同時に所属した例を挙げてみよう。

1つ目は簡単。各自の考えを率直に書けばいい。

2つ目は組織内で競争が盛んな場合、一体化が阻害されるという話があったので、その具体例を考えればいいのかな。

3つ目は、2つの組織に所属したとき、それぞれのルールが全然違ったらどうなるでしょう、という話。

私の回答

仕事をやめる理由は、やりたいことができないから、だろうな。まぁ一度も転職したことのない私が理由を語るのも変ですが、自分がやりたいことがこの組織ではできない、と感じたら、居続ける理由はないと思います。

組織内で競争が盛んな場合、たとえば営業さんが売り上げを競うとかよくあると思う。そうすると、本当はお客さんごとにじっくり話し合って最適な商品を紹介したいと思っている人でも、競争に勝つためお客さんを騙して高額な契約を結んだ方が評価される、みたいに認知が歪んでくる可能性が高くなっていく。それって本当は自分のやりたい営業じゃないよね、って思うと一体化が進まなくなり、転職の理由になる。

研究開発でも、謎の基準で相対評価されると、ちゃんと評価される、価値のありそうな研究をみんながするようになるので、長期的な研究、すぐには価値が理解できない研究などは淘汰されてしまう。それって長期的に見て良いことなの? という気持ちになる。

2つの組織のルールが全然違うとき、おそらく居心地の良さが全然違って、どっちか自分の好みのルールの方に長くいたいと感じると思う。そうしたら、好きじゃないルールの組織からはいずれ去ることになるんだろうな。

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