浄土宗全書11附言
明治44年(1911)10月に刊行した『浄全』第11巻に付録された附言を紹介します。
なお旧字を常用漢字等現在通用の漢字に直し、適宜読点を加えました。
第十一巻附言
(口絵)
記主白旗両上人の尊像と真筆 鎌倉光明寺蔵
(書目) (稿本種数) (稿本貸与主)
浄土宗要集 (文政版) 野沢俊冏師
同五巻見聞 不染信翁師
同十巻見聞 (寛保活字版) 松濤松巌師
述聞制文 (転写) 本会
浄土述聞鈔 (天保版) 宗教大学
同見聞 (天保版) 宗教大学
同口伝切紙 (天保版) 宗教大学
同口決鈔 (天保版) 宗教大学
浄土十六疑問答 (会本十六疑問見聞中より転写) 本会
右の内、東宗要十巻見聞は今を去る百六七十年前、即ち寛保年中縁山篤学の師某該書の善本を得て之に校訂を加へ、伝写の労に代へんがため今日の所謂活字を木製し、実に二十三万有余の数多き文字を一枚につき四百六十余字の割合に収め、一々之を組立て五百余枚に製版摺成したるものなれば、当時に於ける其業の艱難察するに余りあり、然るに之を検するに其艱難に伴ひ文字の舛降差誤を生ぜし点尠からざる、のみならず全く無点なれば初学の者の繙読に便ならず、是以今回手沢本を参照して訓点を附し聊か校正を施せり、古人曰く校書は風前の塵の如し払ふに随て即ち生ずと、惟恐る校讎粗漫塵を増すのみならざりしかを、希くは大方の諸賢叱正を給へ、
一、本巻口絵登載に就て多大の厚誼を寄せられたる鎌倉光明寺貫主並に本巻の原稿参考書等貸与諸師の好意を謝す、
一、本会創立以来五年経営の結果、漸く全部二十冊の中経論疏釈列祖賢徳の撰述及伝記の一部を収め、今茲に第一巻より第十六巻に至る十六冊を発行するに至れり、余す所の四冊の中には伝記寺誌宗史等を収むる予定にて、之が編輯中なれば最後の完結を告げ御忌報恩記念の実を挙げんこと遠きにあらざるべし、請ふ予約者諸彦微意の存する所を諒し、援助保護以て有終の美を完からしめ給はんことを、
一、因に既刊十六冊の内容及刊行年月を記せは左の如し、括弧内の数字はその発行順を示す、
第一巻(15)〔明治四十四年四月発行、総頁七百九十八〕
三経並異譯。傍説経論集。往生論論註並末釈。讃阿弥陀仏偈。略論安楽浄土義。安楽集並末釈。
第二巻(3)〔明治四十一年七月発行、総頁六百二十〕
四帖疏。同伝通記。同略鈔。
第三巻(5)〔明治四十一年十二月発行、総頁一千五十一〕
四帖疏伝通記糅鈔。
第四巻(7)〔明治四十二年五月発行、総頁七百九十八〕
法事讃並末釈。観念法門並末釈。往生礼讃並末釈。般舟讃並末釈。臨終要訣。
第五巻(6)〔明治四十一年十二月発行、総頁六百九十七〕
浄影嘉祥元曉憬興の大経疏。浄影嘉祥天台法聡知礼元照戒度の観経疏。天台慈恩元暁元照戒度の小経疏。
第六巻(9)〔明治四十二年十一月発行、総頁一千百四十四〕
群疑論同探要記。十疑論。註十疑論。西方要決。五会法事讃。遊心安楽道。浄土論。念仏三昧宝王論。万善同帰集。楽邦文類並同遺稿。
第七巻(1)〔明治四十年十二月発行、総頁九百二十四〕
選択集。徹選択集並末釈。選択決疑鈔並末釈。
第八巻(2)〔明治四十一年四月発行、総頁八百五十五〕
選択大綱鈔。選択伝。選択文前綱義九門立談私志記等。選択密要決。選択私鈔。選択名体決。選択肝要義。選択註解抄。疑謗釈難書籍十一部十六巻。
第九巻(4)〔明治四十一年八月発行、総頁八百五十一〕
一枚起請末釈八部十二巻。漢和灯録。和語灯日講私記。小消息諺解。往生記等。
第十巻(12)〔明治四十三年六月発行、総頁七百二十三〕
授手印並末釈。西宗要並末釈。念仏名義集。念仏三心要集。鎮西名目問答並末釈。識知浄土論並末釈。三心私記。行者用意問答。浄土大意抄。
第十一巻(16)〔明治四十四年十月発行、総頁六百七十七〕
東宗要並末釈。述聞鈔並末釈等。
第十二巻(8)〔明治四十二年九月発行、総頁八百五十一〕
頌義並末釈。浄土略名目図並末釈。十八通並末釈。心具決定往生義。観心要決集。破邪顕正義等。
第十三巻(10)〔明治四十三年一月発行、総頁七百二十九〕
大経小経直談要註記。当麻曼陀羅疏。名号万徳鈔等。
第十四巻(14)〔明治四十四年三月発行、総頁八百八十五〕
望西大経鈔。義山三経随聞講録。大原問答並末釈。
第十五巻(13)〔明治四十三十月発行、総頁八百九十七〕
九品往生義。往生要集並同義記。往生十因並私記。往生講式。決定往生集。菩提心集。勧心往生論。念仏住生決心記。善導大意。浄土源流章。諸家念仏集。戒経義疏。授菩薩戒儀並要解。顕浄土伝戒論。
第十六巻(11)〔明治四十三年六月発行、総頁一千四〕
善導大師別伝纂註。円光大師御伝翼賛等。御伝縁起並目録。
第十七巻〔乃至〕第二十巻 未刊
伝記寺誌宗史目録索引解題等
明治四十四年十月祖日 浄土宗典刊行会