浄土宗全書7附言

附言は浄全初版の付録で、底本の情報など重要な記述があります。

しかし紙切れのため無くなりやすく、全てを確認していません。

もし手元の浄全初版に上記の附言がはさまっていたら情報よろしくお願いします‼

附言にどのような内容が書かれているか知らない人もいると思いますので、文字データを公開していきたいと思います。(とっくに著作権は切れているので)
今回は明治40年(1907)12月に刊行された『浄土宗全書』第7巻に付録された附言を紹介します。編集の大変さが伝わってきます。
なお旧字を常用漢字等現在通用の漢字に直し、適宜読点を加え、カタカナをひらがなに直しています。

   附言
一、浄土宗全書は宗祖円光大師七百年御忌の記念として法恩の万一に酬ひ奉らむが為に之を発刊す、
一、本書の内容は浄土宗に関する正依傍依の経論、及び之に属する支那日本の人師の疏釈等を網羅し、兼て宗史寺誌紀伝の類をも蒐輯して剰さす、是一は宗義研究諸士の座ながらに数千の経疏を繙き得らるゝ便宜を図り、一は之に依りて宗内貴重の書籍を広く世に紹介して其道芽増長に資し、併せて是等の書籍の散逸を防くにあり、
一、本書は漢文と和文とを問はす古態を存せむか為に渾て原本の儘を載せたるものとす、而かも之か編輯校合につきては諸種の版本、或は稿本を比較対照して其善きものを採れり、
一、本書の校正は四校以上を経て専ら誤謬なからむことに努めたるを以て聊か其完美を庶幾するを得む、
一、本書の返点送仮名に就ては最初之を附せざるの予定なりしも、斯くては頗る難解のものたらむを憂慮し渾て之を附することゝしたるを以て、組版及校正上云ふへからさる困難と手数とを経たることを諒せられたし、
一、本書第七巻を以て第一回出版となしたるは、宗祖大師浄土宗を開き給ひし立宗の御趣意に基きたるまでにて敢て他意あるにあらす、故に今後と雖も編輯上の事情に依り巻次時に不順なることあるべし、乞ふ諒せよ、
一、本書の第一回出版が予定の期日に遅れたることは、予約諸彦に対して本会の不本意之に過きざるも、創業の際諸般の準備を要したるのみならず、組版方針につき前陳の如き困難なる事情に遭遇したることを賢察せられたし、第二回以後諸般の方案に依り続々出版の功を挙くることは本会の誓て期するところなり、
一、本書を編纂するに方りて宗教大学及太田密道、竹川弁中、越智専明、神谷大周、松濤松巌、吉川沢誠、不染信翁、大谷文祐、松濤舜海、井上玄真、浅井法順の諸師は各其秘蔵せる図書貸与の便を与へ、或は編纂上に対し懇切なる注意を寄せられたり、茲に厚意を謹謝す、
因に巻頭の標題及脊文字の執筆を辱うしたる福田循誘師、表紙の意匠体裁に考案せられたる平子鐸嶺、結城素明両画伯の労を感謝す、
 明治四十年十二月廿五日 浄土宗宗典刊行会

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