浄土宗全書2附言
明治41年(1908)2月に刊行した『浄全』第2巻に付録された附言を紹介します。
なお旧字を常用漢字等現在通用の漢字に直し、適宜読点を加えました。
附言
一、本巻所載の書目稿本の種類と蔵書家左の如し
(書目) (稿本種類) (稿本蔵家)
観経四帖疏 (天保年中、義山上人考訂上梓本、但旧紙数に現行の科本に依て之を附す) 宗教大学
同伝通記 (文政年間、音澂上人校讐上梓本) 宗教大学
同略鈔 (上梓年代未詳、本会校合) 宗教大学
一、本巻には伝通記見聞(遅沢鈔)合冊の予定なりしを以て、其完本を捜索すると共に其校合に従事せり、然るに本書は写本にして伝写展転、年を閲する数百、人の手を経る幾何なるを知らず、啻に烏焉魯魚の誤あるのみならず、脱落差舛の多き枚挙に難し、仍て疑似は数本に対照し、引文は本拠に正し、其業に努むる事百有余日、辛して其大部を了せりと雖、惜哉、散善義伝通記見聞の一部欠損せるものゝみにして未だ其完きものを得ず、荏苒時日を費す内印刷の業務は大に進渉し、本書を除くの外皆結了せしを以て、遂に本書の出版を向後に譲りたり、
一、本巻を刊行するに丁り、口絵に就ては京都百萬遍執事及鎌倉光明寺転法輪行念師の好意を謝し、書籍に就ては稿本又は参考として宗教大学及神谷大周、松濤松巌、越智専明、大谷文祐、不染信翁、吉川沢誠、佐伯音海等の諸師貸与の同情を寄せられたるを謝す、
明治四十一年七月二十日 浄土宗宗典刊行会
追記 本巻の次には壱巻にして壱千有余頁の伝通記糅鈔に着手し、第九巻(一枚起請漢和語灯録類)の成期は来月下旬の予定なり、