お金をもらっているんだからそれくらいして当たり前?
さいきん困ったことがあります。それは、店の店員を見る目が厳しくなってしまったことです。きっかけは、職場で上司にお客様対応について細かく指導されるようになったことでした。
コンビニの店員や、ホテルのフロント、病院の受付など。お客様対応をする仕事はあげればキリがありませんが、お店によって、あるいは人によってその対応は様々です。
そして、わたしたちは感じの良い接客をしてもらうととても気分が良いし、逆に横柄な接客をされるととても腹がたちます。前者に対しては、なんてサービスの行き届いた店だと思うし、後者に対しては嫌な店だなぁと思います。
わたしがいつも嫌だなぁと思う対応は明らかに自分の機嫌を仕事に持ち込んでいるタイプ。わたし今機嫌悪いんで~といった感じのふてぶてしい店員にあたると、「あんたお金もらって働いてるんだからもっとちゃんとしなさい」と思います。
自分が接客するときに細部にまで気を配るようになってからは、ひどい接客にあたると、これで許されるなんて納得がいかないし、自分は逆に気を遣い過ぎなのかと思ったり、なんだか損をしているような気持ちになったりします。
日本では、お客様は神様だくらいの認識がどこかにあって、「わざわざこのお店にきて、ここの商品を買ったんだから感じ良くしてもらって当然」という意識がどこかにあります。普段は対等な関係にあったとしても、客と店員という立場になると客の方が立場が上で、店員は客に対してへりくだります。
でも、よくよく考えればわたしたちは接客に対してお金を払っている訳ではないんですよね。その店の商品に対してお金を払うわけで、感じのいい接客も、感じの悪い接客も0円なんです。感じよく接していればチップをもらえるなんてことも日本ではありません。コンビニの店員が感じのいい接客をしてくれたところで、その店の商品をもっと買おうと思わないように、良い接客が必ずしも商品の売れ行きに影響する訳でもありません。
そう考えると、「お金を払っているのに、それくらいして当たり前でしょ?」という感覚はおかしいのかもしれません。
お客様に対してどこまで感じの良い接客をするかどうかはボランティアに近いのではないでしょうか?じゃあ、どこまでそのボランティアをやればいいんだろうと思います。
愛想の良さにはその人の特性のようなものもあると思います。頑張らなくても自然と笑顔になれる人と、意識しないと笑えない人。人の使えるエネルギー量には限度があるので、接客にばかり力を費やしていると他の仕事をする力が残りません。そうなってくると、接客って個人によって程度がちがって当然なのかもしれません。
マニュアル化しにくい部分だからこそ、その程度の差がでやすくて、上を追求すればキリがないだろうし、手を抜こうと思えばどこまでもサボれます。かといって、接客そのものが利益をうみだすわけでもないので、オプションとしてどれだけの付加価値をつけていくかは、自分の特性やお店が求める水準によります。
しかも、それは受け手によっても求める基準がちがうので、自分が出来る限りの誠意をつくしたとしても、相手によっては「それじゃ不十分だ」となるかもしれません。
考えていくとゴールがなくて堂々巡りを繰り返してしまうのですが、わたしは自分が頑張れる範囲で感じのいい接客を目指したいですし、かといってそれはボランティア的なものなので、それを第一に考えて仕事をすることは難しいなと思います。なので、もう少し他の店員さんを見る目をやさしくして、自分の中にある「客なんだからこれくらいしてもらって当たり前」という感覚にも疑問を持っていきたいなと思います。
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