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意思決定の実践的フレームワーク
ドラッカーの意思決定論をベースに、日常的に活用できそうなレベルで意思決定のエッセンスをまとめておく。
意思決定の本質
意思決定とは、現状から望ましい未来の状態へ到達するための行動方針を決定すること
「何をすべきか」を明確にし、それを実現するための具体的な行動に落とし込むプロセス
意思決定とは単なる選択行為ではなく、組織の目的達成のための体系的なプロセスである
不確実性の中で、リスクと機会を見極めながら判断を行うこと
「意思決定」は、正解のないものに対して、熟考して導き出す決断であり、それに対して、「判断」は特定の専門性によって論理的に結論が導き出せるものである
意思決定の主要プロセス
例えば、何か意思決定をする場面で、時間tで意思決定するAさん、時間t + nで意思決定するBさんがそれぞれいたとする。それぞれの時間nの使い方を考えてみると、Aさんは意思決定結果に基づいて時間nを使い、新しい情報を集めたり、フィードバックをもらって仮説をブラッシュアップすることができる。Bさんはよりふわっとした状態で時間nを使うことになる。
この差分tの積み重ねによって、情報収集量や課題の打ち手の実行量や実行強度、軌道修正の質やスピードの差が指数関数的に広がっていくことを想像すると、意思決定の重要性が直感的に理解できる。
1. 問題の定義と分類
問題が一般的な問題なのか、特殊な問題なのかを見極める
問題の本質は何か、その重要性はどの程度かを明確にする
解決すべき真の課題は何かを特定する
2. 問題の分析
必要な情報を収集し、分析する
問題の背景にある要因を理解する
利害関係者への影響を考慮する
3. 代替案の創出と評価
複数の解決策を検討する
各選択肢のメリット・デメリットを比較検討
制約条件や実現可能性を考慮する
4. 意思決定と行動計画の策定
最適な選択肢を選定する
具体的な実行計画を立てる
必要なリソースを明確にする
5. フィードバックと修正
実行結果を評価する
必要に応じて修正を加える
学習を組織の知識として蓄積する
※これらのプロセスは必ずしも順序通りに進むわけではなく、
反復的(各ステップ間を行き来する)
同時並行的(複数のステップを同時に進める)
状況に応じて柔軟に適用する
という特徴を持つ。
意思決定における重要な考慮点
1. 未来志向性
過去の延長線上ではなく、望ましい未来からバックキャストして考える
変化をチャンスとして捉える姿勢を持つ
2. 優先順位の明確化
限られた資源の中で、何を優先すべきかを明確にする
重要度と緊急度を区別する
3. 実行可能性の重視
理想的な解決策よりも、実行可能な解決策を重視する
組織の能力と制約を考慮する
4. コミュニケーションの重要性
決定事項を関係者に適切に伝達する
合意形成とコミットメントを得る
意見の不一致(Disagreement)の重要性
1. より良い意思決定への貢献
多様な視点からの検討が可能になる
見落としていた問題点や機会の発見につながる
前提の妥当性を検証する機会となる
2. 創造的な解決策の源泉
異なる意見の統合から新しいアイデアが生まれる
既存の考え方に縛られない発想が促進される
より革新的な選択肢の創出につながる
3. リスクの低減
集団思考(グループシンク)を防ぐ
楽観的すぎる判断の抑制
複数の観点からのリスク評価が可能
4. 効果的な意見の不一致のための条件
事実に基づく議論を行う(感情的対立ではなく)
相互理解と尊重を基盤とする
組織の目的や価値観を共有した上で建設的な方向付けを行う
まとめ
意思決定において、特に重要なことは、
問題への答えではなく、問題について理解すること
意思決定の中に実行の手順と責任を組み込んでおくこと
実行につなげること
かなと思います。