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新戦力評価:PSG

ジャンルイジ・ドンナルンマ(GK)

P:14 GC:10
評価:A

各クラブのGK需要の少なさも相俟って、年齢と実績、FAの割には低額な年俸で獲得できた世界ナンバーワンGK。獲得に疑問視の声もあったが、ケイラ―・ナバスの年齢と稼働率を考慮すれば、不必要と断罪することはできなかった。現状でも、ナバスと比較して身長的アドバンテージは感じるし、ナバスに少し翳りが見えていた部分である判断能力でも一歩先と評価できるのではないか。不安定な起用をやめて、ハッキリとローテーションすればもう少し安定して機能するはず。性格以外、特に言うことはない。

アクラフ・ハキミ(RB)

P:25 G:3 A:3
評価:C

かなり高額な移籍金(6000万ユーロ)での加入だったが、現状は移籍金ほどのパフォーマンスとは言い難い。3バックのWBとしての獲得だったはずだが、フィジカルレベルが高いリーグ・アンでは、スピードがそこまでアドバンテージにはならず、フィジカル的にも平均的。序盤で各クラブからボールの奪い所として設定されてしまったのもあり、あっさり4バックへと戻す要因となった。
4バックのRBとしては、距離が伸びた分スピードを利した上下動が活きるようになり、DFとしての意識づけが効いたのかネガティブ・トランジションの際のポジショニングも修正されている。一方で、4バックで新たにタスクとされたRWGとの連係に難を抱えている通り、オフ・ザ・ボールのムーブが不十分。移籍金の高いセサル・アスピリクエタのような状態になっている。

ヌーノ・メンデス(LB)

P:21 G:0 A:2
評価:S

2021年のみならず近年屈指の、ネイマール&エンバペすら凌ぎかねない大当たり補強。現状はサイドでの上下動や突破力を求められており、それを十分にこなせているが、組み立てのビジョンやタッチダウンパスも持ち合わせている。現状でも十分にトップクラスだが、できることの多さも、そのレベルの高さも過去に類を見ないレベルに達する可能性を秘めているのではないだろうか。エンバぺ方式(1年レンタル+比較的高額の買取オプションで早期確保)で獲得したのは優秀だったと言わざるを得ない。問題はその能力のバラエティーに監督が気づいていなさそうなところと、万能が故に組み合わせるWGの選り好みをせざるを得ないところか。ディフェンスは手抜き気味だが、要所は抑えている。
エンバぺの残留が決定した移籍期限終盤にスムーズにパブロ・サラビアとのトレードが完了したため、恐らくエンバぺの移籍金をテオ・エルナンデス(ACミラン)に注ぎ込むつもりだったのだろう。しかし、五体満足で産まれてきてエルナンデスの方が良いとなるのは両親に詫びたほうがいい。エンバぺ売れなくてよかった~、マドリディスタキメェし

ジョルジニオ・ワイナルドゥム(MF)

P:25 G:3 A:2
評価:D

オランダ人不毛の地リーグ・アンに乗り込んだオランイェの副将。リーグ・アンと互換性が高いプレミアリーグからの加入で不安要素はないと思いたかったが、左サイドに張る形の独特のポジショニングがハマらず、自身が中盤でボールを動かす中心でないシステムへの戸惑いもあって、前半戦は適応に苦しんだ。徐々に修正されてきたものの、順応してきた矢先に負傷したのも痛かった。他のMF陣の多くと違って欲をかかない堅実なタイプで、ポジショニングの良さとオフ・ザ・ボールのムービングなど脇役らしい仕事には適性があるだけに、挽回の余地は十分にあるはず。ただし、年俸はいささか高すぎる。

リオネル・メッシ(FW)

P:18 G:6 A:5
評価:E

スペイン系のテクニカルアタッカーの例に漏れず、リーグ・アンへの適応に苦しんだ。ハキミと同様にスピードやアジリティのアドバンテージが打ち消されるリーグで、スペースもあまりない状況は想像以上に厳しいようだ。技術的なところに疑いはなく、逆に言えばそこを押し出していくだけである程度支配できるリーグではあるため、そろそろ適応してほしいところだ。サイドの選手としてはフィジカル的に厳しい印象を受けるため、アテム・ベン・アルファやニコラ・ペペのように2トップの一角が適性かもしれない。ただし、その場合もキリアン・エンバぺとの共存はディフェンス的にもオフェンスの相性的にも難しそうで、ジョーカー兼ローテーションでの起用が今季は落とし所になるだろう。幸い、国外との対戦では結果が残っている。彼の主問題はヘキサゴンの中にある。

セルヒオ・ラモス(医務)

P:5 G:1 A:0
評価:F

そもそも稼働しないので、評価は最低となる。パワプロ方式でGにしたかったところでFに留めたのは、呪いの背番号からティロ・ケーラーを解放したからである。
ビルドアップの貢献度こそ一定程度認められるものの、肝心のディフェンスはステイするばかりで前に出ることも後ろに下がることも叶わない。リスクが大きすぎるため、さすがに中堅相手以上の試合で使いたいとは思わない。正直前所属で相当フィジカル面での衰えを見せていただけに、よりフィジカルレベルが高いリーグ・アンに連れてきたのはかなり不可解。対人系のCBは実質プレスネル・キンペンベだけだったので確かに補強は必要だったが、高年俸・低稼働で控えとしても機能しないレベルの選手は求めていない。現有戦力へのリスペクトを。

【総評】
実績組が適応に苦しむ一方で、若い選手は貪欲に吸収して適応した印象だ。この逆転現象は決して好ましいものではなく、実績組が補強の中心だったのも鑑みて、適応に難を抱えているワイナルドゥムとメッシには早急に最適解を求めてもらいたいところ。現状のスカッドで重視されるのは未来ではなく現在のはず。それを考慮すれば、昨夏の補強は結果的に的外れになっている。ドンナルンマとメンデスは無視できないくらい大きな存在だが、それを含めても総合的な評価はCからDといったところだろうか。
辛めに評価したハキミでさえ適応には高い評価をした通り、現状では実績組の経験値よりも若手の貪欲さや渇望にかけたほうが良いように見える。中盤ではエリック=ジュニオル・ディナ・エビンベ、最終ラインでは気力の充実が見えてきたティロ・ケーラーや前十字靭帯断裂からの復活に懸けるフアン・ベルナトなどをトップレベルの試合で絡ませてみたい。貢献度を否定はしないものの、ラテン系選手は環境の良さに甘えている部分も見え隠れしており、やはり監督まで南米人なのもバランスの悪化に係わっているのではないだろうかと思える。人種差別ではなく、人種の多様性は確保できているからこそ、ラテンアメリカに偏りつつあるバランスを監督人事で修正すべきだろう。それは、過去に成功した監督と失敗した監督を思い浮かべてもわかるのではないだろうか。

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