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「上陸旅」#4.甘い空気

元惑星、退勤後趣味で通った日本語会話教室

僕:先生、今年の日本語能力試験ですが、4級に応ずることを考えていますが…

(当時の基準で4級は一番低い易しいレベル)

先生:…それは、先生に対する冒瀆です。

結局、4級に応ずる後、あまり勉強もせず、

クールに(?)落ちました。(先生、すみませんーー;)

ー翌年、春ー

全てが冒険でした。

言葉があまり通じない事は

人に不安感を持たせるに十分です。

羽田空港で宅急便カウンターを探して

重たい手荷物をこれから暮らす正しい住所まで頼む。

切符を買ってモノレールに正しく乗る。

不動産契約と鍵受領のため

管理事務所がある五反田までたどり着く

契約を結び、借りた家の鍵をもらう。

電車に正しく乗る。

最寄り駅へ正しく降りる。

紙の地図を見ながら暮らす家までたどり着く。

スマホがある今は道が分からなくても、

言葉が中々通じなくても

解決できる時代ですが、

ただ、15年前はこういう時代でしたね。

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駅へ降りて階段を下りたら

こんな華やかな風景が目の前に広がって、

見ごろの桜がトンネルを作り迎えてくれました。

「ようこそ、日本へ!春へ!」

明るい日差し、

真っ白、

恥ずかしいそうな薄いピンク色の桜

ちょうど良い微風は

新しい春の香を空気に乗せて

鼻の先まで届いてくれました。

甘い…

出発した朝から

先までの

冬の影からやっと

抜けられた感じでした。

桜トンネルの上にはモノレールが悠々と通って

これは夢ではないのかと思いました。

やっとマンションに着きましたが、

今度は1階の玄関ドアが開かず、

確認しても自分の家はこのマンションです。

どういう事かとしばらくうろうろしたら

他のお住まいの住民が玄関で鍵を指して回したら

ドアが開きました。

(住民方にはきっと怪しい者に見られたと思います(-_-))

「あ!そういうことか!( 一一)」

こんな所に住んだこともないカントリーボーイにとっては

すべてが冒険でした。

やっと家に入りました。

狭いワンルームでしたが、

この惑星で唯一心身を安らぐところ。

「宜しく!」

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ベランダ外を望んだら

目の前に羽田空港までつなぐ

モノレール線路が浮かんでいました。

ええ?

この距離だったら音も凄いだろうけど、

モノレールの乗客と目の合いそう( 一一)

後は服装(?)気をつかないと!

簡単に荷物を整理して、楽な服装に着替え、

家を出ました。

東京湾と近いところなので川か海かその境界があいまいな

水路がつなぐ公園がありました。

川に見えるけど、海の香が濃いです。

ベンチに座ってぼーっといたら

日が徐々に沈んでいました。

ここはどこか。

僕は何でここにいるのか。

これから一人暮らし

これは現実か。

昨日まで、朝までの周りの環境から

丸ごと変わった現実

これは正に、

別の惑星でした。

「空気が甘い惑星」

もって勉強して3級くらいどれば良かったな…




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