21. 桜の並木を歩く
一週間の間、桜が満開した。
この惑星に上陸して16番目迎える春。
あの頃も今も美しいのは同じだが、
いろんな事が変わった。
毎年の春、満開した桜を見ると
初めて来たばかりの頃を思い出す。
まさか、
こんなに長くここにいるなんて
夢でも考えてなかった。
もしかしたらこれは
これは
長い夢ではないかと…
起きたら2006年の春の
母惑星の田舎の家、
小さな自分の部屋…
まだ若いお父さんは
元気で生きていて、
まだ若いお母さんは
台所からジュースを持って
[何の夢をそんなに長く見たの?]
と言いそう。
......
どうせ、
人生自体が長い夢なのに…
うちの街の桜の並木は
毎年の春になると、
真ん中の道路を挟んで
両手を開いてお互い繋ぎ、
美しい桜トンネルを作ってくれる。
ただ、見るだけで
幸せになる。
穏やかな春の日差しを
だっぷり照りつける日
息子の手を繋ぎながら
桜トンネルを歩くと
もしかして
これが夢ではないのかと…
一方、
息子が生まれて
初めて迎える春
孫に会いに来た
義父も思い出す。
華やかに咲いた
桜の木の前で
孫を抱っこして
幸せな顔をした義父の姿、
2年前今日の様に
桜が満開した日
この世と別れた
義父の事も思い出す。
桜は
いろんな人生の思い出を抱いて
今年も新しく咲いていく。
新しい春を迎える事に、
美しい桜を見る事に、
穏やかな春の日差しだっぷり
浴びながら
桜の道を歩ける事に、
生きている事に
感謝。