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聡明さとは、違和感から逃げない(逃さない)こと。バチェラー4、松本妃奈子さんの魅力を語りたい。

バチェラー4もいろいろあったね…。
番組に対して思い、気持ちを掘り下げたいので長く語ります。

全力でネタバレしているので、未視聴の方はご注意ください。





1.推しはタイトル通り、松本妃奈子さん
以下ひなっぴって呼ぶ。
ひなっぴは、放送前の自己紹介動画から何となく気になっていました。
私自身が家族社会学的な話に興味があることもあり、よく調べたらサイバーセキュリティの研究もなさっていて夫の仕事とも重なる部分があって、ものすごいエリートだけど勝手に親近感を覚えていました。
ジェンダー問題に研究者という立場で取り組み、結婚制度に懐疑的でいながらバチェラーに参加する理由を、「心情を曲げてもいいと思えるような大恋愛がしたくて」というのも良かったです。フィールドワークってことよな。
自分の手足を動かして物事を考える人はすごく好きです。

2.実は最初は推してなかった
でもバチェラーの放送でひなっぴを追っているとき、物足りなさを感じていました。
本人も言っていたけど、黄さんとは浅い話しかできていなかったです。それに、女性メンバーと仲良くなりすぎていたように見えました。一緒にいる時間が長いから仲良くなるのは自然だとは思いますが、他の女性に対して「残ってほしい」って言うのってルールに矛盾しているのでは?って思っていました。
私は他のバチェラーシリーズを含め、他の女性メンバーの背中を押す言動や態度をする人が好きになれなかったのです。悪い言葉で表現すると、偽善に感じていて…。
ひなっぴが黄さんから「旅のモチベーションがわからない」と言われたのも、結果的にローズを渡されず去ることになったのも、まあそうだろな、って思いました。
他の女性メンバーも、かわいいな〜美しいな〜とは思うのですが、心を強く惹かれる1人、いわゆる「推し」は特に定まらず。
ちなみに1は鶴さん、2は小口さん、3は田尻さんでした。キャラが立っているけど力が抜けてて、利他と利己のバランスが良い人が好き。

3.ひなっぴ騒動により思ったこと
でもそれからも、なんとなくひなっぴの存在は気になり続けていて、noteを見てみました。
売春に関する考察は、ペイトマン(政治学者)のフェミニズム思想を用いて非常に分かりやすく、ひなっぴの言葉で表現されていました。
え〜やっぱりひなっぴ面白いじゃない!って思って、ツイッターやインスタを追ってみたら、運営に対する違和感を表明されていることを知りました。
更に、その表明に対して、視聴者層から
「せめて番組が終わるまで黙っていてほしい」という声が多数あったことに、非常に驚いたというか、これは何が起こっているんだ?と混乱しました。
考えた結果、
「あっ、女性メンバーが結婚を目的とするっていうシンデレラ・ストーリー的な前提は最早ないんだ」
「それなのに運営が婚活サバイバル要素を入れ込み続けるから、なんかおかしくなってるんだ」
「でもこのおかしさは明らか過ぎる。違和感込みのコンテンツとして、リアリティショーのあり方を敢えてグチャグチャにしているのだろう」
と、自分なりに整理したのです。

5.もはや婚活番組ではない
私含む視聴者層の一部は、バチェラーという番組に分かりやすいシンデレラ・ストーリーを求めていたんじゃないでしょうか。
バチェラーとの結婚を目指す"普通の"女の子たちが、それぞれのアピール方法でバチェラーと関係を深めて、最終的に誰かが選ばれ、結婚を勝ち取る。
そういう過程を見て、あーだこーだ言って楽しむつもりだったんだと思います。
なので、バチェラー4でのんちゃんが「学生終わったばっかりだし、正直すぐに結婚したいとは思ってない」的なことを言ったとき私はめちゃくちゃ冷めてしまったんです。
でも藤原さんに限らず女性メンバーのモチベーション的に婚活サバイバル要素が既にありません。別にそれはそれで良いのです。
ひなっぴも、最初からバチェラーと結婚したくて参加したわけじゃありませんでした。
自己紹介動画では、結婚制度への疑問が覆るほどの恋愛をしたいと語っていました。恋愛によって結婚制度への疑問を持つ気持ちに変化が起こるかどうかを実験したい、という意味だったのかなぁと思っています。
自分の目的がはっきりしていて、表明しているひなっぴはすごく素敵です。
だけどそのモチベーションに婚活サバイバル要素やシンデレラ・ストーリー要素はあまりにもそぐわない気がします。

6.でも、運営は婚活番組を作っている
だけど運営側にはまだ婚活サバイバルノリが全然残っています。
編集の仕方やMCメンバーのコメントには、やはり「バチェラーとの結婚を目指す"普通の"女の子たちの戦い」という絵が常にありますよね。
でも実際は、身も蓋もない話ですが、女性たちのそれぞれが、それぞれの目的のために番組を使い、番組を作っているわけで…。
"普通の"女性なわけがない。
"戦う"つもりもそんなにはない。
そこを全く理解していないとは言わないです。。
だけど、オールガチではないにせよ、夢見る女の子たちの婚活サバイバルである「てい」では見ていました。
ですが今回は女性メンバーのモチベーションにその「てい」がそこまで無かったような。まず、事前にバチェラーが明かされてないのに私この人と結婚したいぞーって来るわけないし…。
などなど、シンデレラ・ストーリー的婚活サバイバルである「てい」が崩されているにも関わらず、運営がその枠にはめようとしているのが無理があったのかな…と。

7.リアリティなのかショーなのか
ひなっぴが指摘した、悪意ある自己紹介動画の編集は、視聴者にあーだこーだ言わせることが目的で作ったものだと思われます。
ここまで来たら、話題の匂わせも怪しく感じます。細々仕込んで、視聴者のあーだこーだを操作しようとしているのでは…と感じます。
これがハッキリと脚本ならば妙と言えるけれど、だけど、登場人物は本当に実在する人たちなのです。
仕事や生活も多少明らかになっている。視聴者は身近さを感じて、本当に起こっていることとして応援したり、批判をしたりする。
それなのに、登場人物は、番組が放送されている間は黙っていてほしい(役者に徹してほしい)と言われる。実在しているにも関わらず。
そうなってきちゃうとちょっと、リアリティショーの"リアリティ"の部分はほとんどなくなって、ただのショーじゃんって感じなんですけど、
全部全部わかった上で、ショーとして楽しみたいという思いがあるってことなのでしょうか。
リアリティショーとは、実在している人たちがただの登場人物となる作品なのでしょうか。
作品なんだったら、登場人物は役に過ぎないんだから、あーだこーだは言っていいですよね。むしろ批判されればされるほど役者冥利に尽きる。
でもそうじゃないですよね。ちゃんと傷つきますよね。だって実在している自分のことを言われるわけだから。
そうなるとリアリティショーって、どこまでが作品で、どこまでが現実なのでしょうか…。

8.違和感との対峙
…っていう混乱というか気味の悪さというか、違和感をじっくり考えるきっかけをくれたのがひなっぴだったのです。
ひなっぴは批判を恐れず、オープンに言論することで、リアリティショーの登場人物たちが実在している「てい」になることを防いでくれた、と思っています。
リアリティショーと、それを楽しめる自分に対する違和感はまだ解けていないんだけど、ひとつだけ思ったのが、ショーだろうがなんだろうが、実在する人に対して真摯に向き合わねば、ということ。
そして私を違和感から逃してくれないひなっぴは、聡明で、魅力的な人だと思います。

…もし、ここまでAmazonとひなっぴが手を組んでたとしたら?
それはそれでもう天晴です。

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