岡口裁判官、弾劾裁判所に訴追さる!
2021年6月16日、岡口裁判官が、弾劾裁判所へ罷免を求め訴追された。
訴追を求められているのは、以下の二件のツイートについてである。「精神的苦痛」を受けたとして、ツイートをされた「被害者」たちが訴追を訴えた。
(1)・2017年12月、東京都江戸川区の女子高校生が殺害された事件について「無惨(むざん)にも殺されてしまった17歳の女性」と投稿。東京高裁が公開している判決文のURLを拡散。
(2)・18年5月、拾われた犬の所有権が、元の飼い主と拾った人のどちらにあるかが争われた裁判を取り上げたネット上の記事のリンクとあわせて「公園に放置された犬を保護したら、元の飼い主が名乗り出て『返して下さい』 え?あなた?この犬を捨てたんでしょ?3か月も放置しながら…… 裁判の結果は……」と投稿した。
(3)19年11月、殺害された女子高生の遺族について「遺族は東京高裁に洗脳されて(自分を)非難している」などとフェイスブックに投稿
(1)については、特段被害者に対する侮辱を行っておらず、通常人であれば侮辱的と捉えることもあるまい。「無残に殺された」これのどこが侮辱なのか。中傷的な内容でもなく、そのように捉えることも不可能だ。判決文は、東京高裁が公開しているものであり、公開されているものをツイッターで拡散して、何が悪いのか。それが不可能なのであれば、判例研究などもできなくなるだろう。
(2)については、言いがかり以外の何物でもない。
(3)は、遺族を非難しているというよりも、東京高裁への批判であり、単なる愚痴の範疇であろう。しかも、フェイスブックという半ば閉ざされた空間の中の話である。
このような訴追請求であったからこそ、2019年3月18日に訴追請求されて以来、判断に長くかかっていたのだろう。
また、これらの投稿が、仮に第三者から見て侮辱と捉えられる内容であったとしても、弾劾に見合った行為とは到底言えない。これまで弾劾されたのは、ストーカー、盗撮などの犯罪行為や、政治的謀略への関与、訴訟の一方当事者から饗応を受ける、といった裁判官としての中立公正を害する行為である。「見方によっては侮辱的にも見える投稿」程度で弾劾罷免するとすれば、あまりにも裁判官の独立を蔑ろにした判断ではないか。そのような投稿が、「裁判官としての威信を著しく失うべき非行」と言えるのか。
罷免請求事件はこれまで9件あり、岡口裁判官のものが10件目に当たる。不罷免となったのは、9件中2件。その不罷免となった行状は、一週間の無断欠勤、摘発物資を不問に付すように警察署長に迫る、闇販売をしていた知人に家宅捜索がある事実を告げる、といったものである。岡口裁判官の投稿よりも、はるかに悪質に見える。
岡口裁判官が、およそ70年ぶりの不罷免者となることを祈る。