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川越ネットカフェ立てこもり事件公判傍聴記・2024年7月1日(被告人:長久保浩二)

2024年7月1日
東京高裁第1刑事部
720号法廷
事件番号:令和6年(う)第117号
罪名:逮捕監禁致傷等
被告人:長久保浩二
裁判長:島田一
右陪席裁判官:平塚浩司
左陪席裁判官:大西直樹
書記官:新城賢二

開廷表には、罪名について、相変わらず逮捕監禁致傷等とだけ書かれていた。しかし、起訴罪名に強制性交等致傷が含まれているのは、周知の事実である。なぜ裁判所は罪名までを隠そうとするのか。
9時35分から傍聴人が並び始め、5,6人ほどとなった。しかし、結局それ以上、傍聴人は増えなかった。法廷はほとんどが空席であり、傍聴しやすかったが、寂しさも感じさせた。
記者席は5席指定されており、4人が座っていた。女性記者もいた。
弁護人は、控訴審としては珍しく、二名ついていた。一人は、柔らかい髪を固めた、鷲鼻の中年男性。難しい顔をしており、薄い記録を机上に出していた。もう一人は、髪の短い若い男性だった。控訴審に向けての熱意はあるのだろうか。
検察官は、眼鏡をかけた髪の長い中年女性。被害者参加代理人は、その隣に座っており、眼鏡をかけたショートカットの中年女性である。一審でもこの人だったような記憶がある。
書記官は、目の下のクマが目立つ、髪を七三分けにした中年男性。
被告人は、弁護人の方にかすかに礼をし、入廷した。被告席に座ってからは、少し傍聴席の方を見ていた。眼鏡をかけており、丸坊主。ひげは剃っているが、揉み上げは長い。中肉中背であり、肌色の肌。一審と違い、マスクはつけていなかった。Adidasのロゴが前面に入った白いTシャツ、長いジーンズという服装であった。
裁判長は、白髪の眼鏡をかけた初老の男性。裁判官は、眼鏡をかけた中年男性と、眼鏡をかけた丸坊主の中年男性。
長久保浩二被告人の控訴審初公判は、10時より開廷した。

裁判長『開廷します、立って』
被告人は、証言台の前に立つ。
裁判長『名前は』
被告人『長久保浩二です』
やや呂律が回っていないような声だった。
裁判長『生年月日は』
被告人『昭和54年12月20日です』
裁判長『本籍は』
被告人『愛知県岡崎市(略)』
裁判長『住所は』
被告人『不定です』
裁判長『仕事は』
被告人『無職です』
裁判長『逮捕監禁致傷等被告事件について、審理を始める。戻って』
被告人は、被告席へと戻る。裁判長は、被害者特定事項について、控訴審でも秘匿することを告げる。
弁護人の控訴趣意は、控訴趣意書記載のとおり、訴訟手続きの法令違反、事実誤認、量刑不当。
検察官は、控訴趣意にはいずれも理由がなく、控訴棄却が相当、と答弁する。
弁護人は、5月24日付の趣意書で、精神鑑定を請求する。
検察官は、5月27日付の意見書で、不必要と述べる。
裁判長は、精神鑑定は必要性がないとして、却下する。
弁護人『異議があります。ただ今の決定は、329条(?)の適用を誤っている』
検察官『異議には理由がない』
弁護人の異議は、棄却された。
裁判長『以上で』
弁護人『今後の進行について。一審段階で、慶応大学の村松先生に相談している。採否決定の出た段階で、当事者鑑定を進めたい。これから、鑑定却下されましたけど、当事者鑑定のため、期日続行を』
検察官『続行の必要性、特段ないと思料します』
裁判長『続行の必要性ない。結審し、次回判決とする』
被告人は、裁判長の方を見ていたが、この時、眉をぴくっと動かした。「ああ、やっぱりな」とでも言いたそうであった。結末には、元々期待していなかったのか。
判決は、8月16日10時30分に指定された。被告人は、どこか不満そうに見えた。
裁判長『閉廷します』
10時5分に初公判は終了した。わずか5分で結審したのであった。
被告人は、傍聴席の方をちらっと見て、退廷した。
何も証拠調べを行わず、結審したのであり、控訴棄却の判決となるであろう。
傍聴人としては、被告人の本性が掴めないまま終わったのが、残念であった。被告人は反社会性人格障害なのか。ならば、その根源は成育歴か、あるいはサイコパスなのか。被告人が語った、身の回りの人間への加害は事実なのか。それらは、全て曖昧に済まされてしまったように思う。被告人がどのような人間か理解することは、矯正教育においても重要ではないかと思うのだが。
やはり、裁判所は、一審で心理鑑定か精神鑑定を行っておくべきではなかったか。また、被告人の家族を証人として呼ぶべきではなかったか。しかし、何を言おうとも虚しい希望に過ぎない。一傍聴人としては、ただ、判決を待つしかない。

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相馬獄長
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