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私の前世は女王様らしいです。2025/2/2【日記】
「あなたの前世はね、女王様」
池袋の占い師にそう言われた。
時間は18:00を過ぎたあたり。池袋駅から少し歩いたところにあるビルの4階で占いを受けた。
私は占いが好きなので度々占ってもらう。占いを信じているというより暇つぶしとして、「何か面白いことないかな」という気持ちで何も考えずにフラッと訪れることが多い。
占い師はその時の直感で決める。今回は一番最初に目に入った女性占い師にした。タッチパネルで鑑定を受ける時間を選択し、予約。占い師の待つ個室に入る。
個室に入るとぱっと見占い師とは思えないようなおばちゃんだった。占い師の見た目はさまざまでTHE占い師というような恰好をしている人もいれば、普通の人だったり派手な髪のバンドマンみたいだったり、ロリータファッションの人もいる。色々なタイプの占い師を見るたびに、私が知らないだけで街中には占い師が溢れかえっているのではないかと不思議な気持ちになる。
とりあえず切羽詰まった悩みもないので王道の恋愛と仕事を占ってもらう。
最初に恋愛から。
そこでさっきの「あなたの前世は、女王様」という発言が飛び出した。そもそも前世を占ってほしいとは言っていないのだ。
女王様ですか?私が?率直な感想である。
ごくありふれた一般市民の間違いでは?という気持ちになった。この占い師は私に特別な存在であることを伝えて優越感に浸らせるようしているのではないか。とも思ったが前世がいくらすごい人でもねぇ……という気持ちになった。
「今世は、市民の暮らしを体験するために一般人をしてるのよ」
お城で何不自由なく暮らしていたのに市民の暮らしを体験しようとしたせいで私は今社会不適合者の枠組みにすっぽりハマっているのか。なんて余計なことを……そう思わずにはいられない。
女王様が市民暮らしを体験したいと思わなければきっと私はお金持ちの子供だっただろう。
「女王様だから貴方は周りから声をかけられるのを待っているの」
受身ってことか〜。
そうだよね。女王様は自分からガツガツ行かなかっただろうし縁談とかも来ていてそれなりにモテていただろうよ。
「あなたはいつでも結婚できるのよ。やる気になればスピード結婚する。女王様だから。」
前世が女王様ってやる気になれば何とでもなる感じなのか……
「普通の人は好きにならないね。フリーターとか芸術家、アーティストとかそういう感じの人を好きになるの。」
それはそうかもしれない。
私は、変な人が好き。普通はつまらないと思っているタイプであり、何かを突き詰めて没頭できるような人が好きである。
そう話したら「でしょでしょ」と言われた。直感で選んだこの占い師、とてもフレンドリーで話しやすかった。占い師といえばのようなミステリアスな雰囲気はない。親しみやすくて昔からの知り合いみたいに話せた。
「マッチングアプリ良いって出てるよ。あと飲み会。あとはアンテナをよく張っておくこと。人といっぱい喋ること。」
全部難しい。アプリはメッセージのやり取りが苦手な上に昔ちょっとしたトラブルに見舞われてから挑戦する気にならない。
飲み会は1人で飲むことが多すぎる。そして異性を呼べる友達がいなさすぎる。
アンテナってどうやって張るんだ。
人といっぱい喋るだと!?普段、家族と歯医者としか話さないのに……??
「とりあえず明日誰かと話してから帰りなさいね。」
「申し訳ないのですが明日も誰かと話す予定はなくて、お笑いを見て帰るだけなので……」という言葉が口から出かけたがとりあえず「頑張ります!」と答えた。
仕事に関しては、大器晩成、スポンサーがつく、10年後に何になりたいか計画を立てることが大切、自分の価値を把握する。
そんな感じだった。
大器晩成はよく言われる。言われすぎている。大器晩成の晩成っていつですか?
調べたら40歳以降が一般的らしい。遠い。
さらに大器晩成は「才能がありながら不遇である人に対する慰めの言葉としても用いられる」と書かれていた。
「慰めの言葉かぁ」と思いながら「そもそも才能がないのでは?」とも思った。「大器晩成型だからさ〜」と言い続けて死ぬのではないだろうか。
最後に引いたオラクルカードには「無難な生き方はやめなさい」と出ていた。今の生き方が無難なのかはよく分からないけれど、新しいことを始めるチャンスなのかもしれない。
私は占い師に「頑張ります!」ともう一度告げて部屋を後にした。
次の日。
占い師の「とりあえず明日誰かと話してから帰りなさいね。」を頭に浮かべながら歩く。
私は昨日と今日、お笑いライブを見るために長野県から東京にやってきた。話す相手など店員以外にいないことは明白である。
別に誰とも話さなくても悪いことが起こるわけではないので誰かに話しかけられたら話せば良い。そう思って歩いた。これは前世が女王様が故の「誰か私に話しかけなさいよ。」なのだろうか。
お笑いライブは3本。全て見終わった。最後はどこかでご飯を食べてバスに乗るだけだった。
誰とも話すタイミングがなかったな。私も誰にも話しかけなかったし……
そう思って会場を出た。
……そうだ、出待ちしてみよう。
私はこれまでの人生で出待ちをしたことがない。
バンドの追っかけをしていた時は、終演後、会場内のグッズ販売コーナーで話してから帰った。大きなバンドになれば出待ちは禁止だった。
本を読んで待っていたのでどのぐらい待ったのかは全然覚えていない。
快く出待ち対応をしていただき写真も撮ってもらった。永遠に思い出せない私の質問を一緒に考えてくれた。いっぱい話した。
想像していたより私にとって話しやすい人だった。もっとあたふたするかと思っていたけれど、なんとなくまったりとした優しい流れに乗せてもらった気がする。とても良い人だった。
占い師の「とりあえず明日誰かと話してから帰りなさいね。」を受け、なんとなく今までしたことがなかった出待ちをした。
たまには占い師の言うことを聞いてみるもんだ。「出待ちをしろということじゃない」と言われるかもしれないけれども。
ただ、誰かと話して帰ったらどうなるのか聞き忘れた。
幸せな気持ちでいっぱいになったからいいか。良いはずだ。
またライブに行こう。
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とても素敵な1日でした!
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