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無性に食べたくなる『ナポリタンの不思議』を読んで

ナポリタンをはじめて食べたのはいつだったのだろうか。なんとなく、小学生の時に食べたお弁当用の冷凍食品のような気がする。

その影響なのか、今でもどこかナポリタンは付け合わせのようなイメージがある。おそらくハンバーグやエビフライの下にも存在するからだろう。ただのオイルパスタの場合もあるが、ケチャップ風味の偽ナポリタンだと少し嬉しい。

私は作るナポリタンは、ウインナー、ピーマン、玉ねぎは必ず使う。本来なら一晩寝かせたパスタを使いたいが、いつも急に食べたくなるので寝かせた試しがない。

「ナポリタンの麺は一晩寝かせると美味しい」そう知ったのは、喫茶店を取り上げていたテレビ番組だ。

その店の店主がパスタを茹でた後、大きな銀のボウルに移し、冷蔵庫で一晩寝かせていた。なんてめんどくさいパスタ料理だと思った。乾麺は食べたい時に茹でてすぐ食べられるのが良さなのではないのか。

一度茹でた麺を冷ますというのも当時の私からしたら衝撃だった。茹で後冷やすのは、そうめんやそば、うどんなど冷たいまま食べるものだけだと思っていた。温めて冷やして温めるという工程がどこか無駄な気がしていたのかもしれない。今なら一度冷やすことによって、あの独特な食感が生まれるというのが理解できる。

書店を散策していると『ナポリタンの不思議』田中健介 著を見つけて、思わず購入した。食べ物の本には弱い。

ナポリタンは喫茶店のイメージが強い。しかも提供される皿は銀の皿か鉄板だ。なんとなくナポリタンは懐かしく、古き良き日本を思い出す。しかし、私は外食であまりナポリタンを食べた記憶がない。訪れたお店のメニューにナポリタンがなかった可能性もあるが、大抵カルボナーラかミートソースパスタを食べる。

なぜ、外食であまりナポリタンを食べて来なかったのか。それは、私がついつい家で作ると面倒なものを頼んでしまう癖があるからだ。

ナポリタンはカルボナーラやミートソーススパゲティに比べて簡単に作れる。「外食では家で作るのが大変なものを食べよう!」という気持ちがナポリタンを隅に追いやっているのかもしれない。

『ナポリタンの不思議』では、ナポリタンが危機的状況に陥った要因の1つに、家庭料理として手軽に食べられるようになったことを挙げていた。私が外食でナポリタンを食べない理由と一致する。

スーパーやコンビニではレンジでチンすればすぐに食べられるナポリタンが売っている。パスタコーナーにはあえるだけのパスタソースも置いてある。珍しい食材も複雑な調味料も必要ない。わざわざ外食時にナポリタンを食べようという考えにならない人は私だけではないようだ。

私がナポリタンを一番食べていたのは大学生のころだ。愛知県の大学に進学し、初めて鉄板ナポリタンを食べた。

ナポリタンと卵の組み合わせは初めてで、熱々の鉄板に敷かれた黄色い卵は見た目も華やかだった。黄色と赤のコントラストはオムライス以外ではじめて見たかもしれない。それから私の中でナポリタンといえば、鉄板ナポリタンになった。

鉄板ナポリタンは家で作るのは難しい。そもそも鉄板を持っている家庭はまずない。そうなると鉄板ナポリタンを食べるには外食する必要がある。

試しに地元でナポリタンを取り扱っているお店を軽く検索した。喫茶店は見つからなかったが、いくつかのレストランが見つかった。しかも、鉄板ナポリタンだ。今度食べに行こう。

『ナポリタンの不思議』では、ナポリタン歴史を紐解くにあたって多くのお店が紹介されていた。お金と時間があれば筆者と同じようにナポリタンを辿ってみたい。ただ、現実的には不可能なのでいくつかに絞っていつか訪れてみようと思う。

最後に、もっとも重要かもしれないが『ナポリタンの不思議』は決して夜中に読んではいけない。お腹が鳴り、どうしてもナポリタンが食べたくなってしまう。ナポリタンの材料を用意してから読んだ方がいいかもしれない。それかナポリタンを提供している喫茶店で読むのがいい。

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