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【齋藤麗王 選手】師でもある父に背中を押されてボクシングを再開。そして11年ぶりの再戦に挑む

齋藤麗王選手ってどんな人?

★WBO Asia Pacificスーパーフェザー級5位

所属:帝拳ジム
生年月日:1998年4月23日 (26歳)
出身:宮崎県日南市
デビュー:2022年7月2日
通算成績:6戦5勝(5KO)1敗(1KO)
スタンス:オーソドックス


昨年の敗戦で「ボクシングを辞めよう」。再びリングに戻ったきっかけは、師でもある父。

ーー2024年1月 中井龍選手(角海老宝石)を相手に初めて負けを経験されたと思います。その時のお気持ちをお伺いしてもいいですか。

負けた後は「ボクシングを辞めよう」と思ったくらい気持ちが沈んでいましたね。負けると思っていなかったですし、ここで負けていたら話にならないよな、と。敗戦後、腫れた自分の顔を見るだけでいらだっていました。

僕、普段はスーパーポジティブ人間なので落ち込むことはほとんどないんです。それでも、中井選手に負けた試合の後はどん底でしたね。「もう全部何でも良いや」と思ってしまうくらい。あの時は、どう頑張ってもポジティブに変換できなかったです。周りには「まだ1回しか負けてないじゃん」と言われたんですけど、「何が分かるんだよ、1回負けたら終わりでしょ」と思っちゃってましたね。

中井戦の後は、1か月ほどボクシングから離れました。その間も帝拳のメンバーが「ジムに早く来いよ」とメッセージをくれて。応援してくれている人達も「また麗王の試合をみたい」と言ってくれて、すごく力になりましたね。

また頑張ろうと前を向けた一番の出来事は、父が「これからも面白い試合をし続けろよ」と言ってくれたおかげです。
父は空手の先生をしていて、自分が初めて「先生」と呼んだ大人が父だったんです。父でもあり、先生でもある人に求められなければ、ボクシングを続ける意味はない、と思うほど偉大な存在です。
前向きな気持ちになってから、試合を振り返ってみて良い経験だったんじゃないかなと思えるようになりました。将来的にも、「意味のある負けだった」と言えるように自分のレベルを上げていきたいです。

ーーご自身と向き合うきっかけとなった試合だったんですね。

そうですね。
中井選手との試合では自分が試合してて面白くない、楽しくないボクシングをされたんです。なので、再起戦である前戦では対策を練って挑みました。
パンチをもらうことが一番よくないので、しっかりもらわないように、距離やガードを中心に練習していました。再起戦の興行では帝拳ジムの出場選手は僕だけだったんですけど、尾川さん(尾川堅一選手)や他のジムメンバーが来てくれて、応援されているんだなと改めて実感しました。

ーー周りに愛されていることが伝わってきます。ジムメイトとは実戦練習で多く関わられていますよね?

そうですね。今回は、幹士先輩(中野幹士選手)や健児さん(藤田健児選手)とスパーリングをさせてもらっています。アマチュアの頃から憧れている超トップ選手と実践練習をすることで、自分の立ち位置が分かりやすいです。2人ともスタイルが違いますよね。そもそもボクサーっていろんなスタイルがいるので、相手のスタイルに自分をどう柔軟に当てはめていくかを重視しながら練習できています。とても良い練習になっていますね。

ーー藤田健児選手がこの間のインタビューで「麗王とのスパーは激闘だから心が折れる」とおっしゃっていました。

でも、僕からしたら近い距離にしないと僕の心が折れるので(笑)
藤田さんとは攻撃のタイミングが若干似ていて、「2人とも行き切ったらやばい」みたいなタイミングで攻撃をする時があるので、周りは見ていて面白いらしいです(笑)いつもスパーリングが終わったら、「ここが嫌だった」「このパンチ良かった」などフィードバックをお互いにしていて、切磋琢磨できていると感じますね。

2024年1月20日(土) WHO'S NEXT DYNAMIC GLOVE on U-NEXT Vol.10
Sフェザー級8回戦
齋藤 麗王(帝拳)VS 中井 龍(角海老宝石)
出典:ボクシングモバイル

高校1年生の九州大会での11年ぶりの対戦。
「ついにきたかと思いました」

ーー今回の試合は、「保坂剛選手(三迫)と決まるかもしれない」などのお話はあったんですか?

まず「上の階級だとどこまでできる?」と聞かれましたね。
契約体重での試合が初めてだったので少し困惑したんですけど、アマチュアでは60kgまでやっていたので「60kgまでならできます」と答えました。その返答を聞いて「保坂君どうかな?」とその場で聞かれて、「60kgで相手が大丈夫ならやります」という感じでしたね。

保坂さんは自分の2個上で、2014年の九州大会で対戦したことがあるんです。当時、保坂選手はユース五輪日本代表で下馬評でも相手が有利だったんです。そこで自分がそんな相手に勝利できて、「凄い1年生がでてきた!」と注目してもらったんです。その後にインターハイで負けちゃったんですけど…(笑)保坂選手はその年に優勝していましたね。

自分がプロになってから「いつか保坂さんとやるだろうな」と思っていたので、今回の話を聞いて「ついにきたか」と思いました。両親にも話したとき、同じような反応でした。九州大会で戦った時も60kgだったので、10年後に同じ体重で、しかもプロのリングで戦うのは感慨深いですよね。
保坂選手は日本ランクを持っているので、勝てばいいきっかけになりますね。

ーー試合のテーマなどありますか?

相手が嫌だなと思うことを積み重ねていきたいですね。
何もさせない、という言い方だと言い過ぎかもですけど…、最終的に相手が何もできなくなる状態にしたいです。スパーリングの時から、空間を意識しながら練習しているので、相手が嫌がる攻撃をしつつ自分の距離にもっていくことが今回のプランです。
2025年は、どうにかベルトに手をかけられる位置にいく年にしたいので、今回必ず勝って次に繋げていきたいです。

2014年6月22日 アマチュア時代の九州大会
齋藤 麗王(当時:日章学園高)VS 保坂 剛(当時:東福岡高)
出典:ボクシングモバイル

スーパーポジティブ人間!
思考が切り替わったきっかけとは…?

ーー先ほど、ご自身のことをスーパーポジティブ人間とおっしゃっていましたが、元々ですか…?

元々は、落ち込むとかよりも正義感からのいら立ちの方が強くて。
友達が間違ったことをしている時に「正さないと」といら立つ場面が多かったですね。でも、大学生になってからいら立っている分、損しているなとふと気づいて。自分の時間を誰かに使う時、相手が僕を大切にしてくれないのに僕が相手に尽くす必要はないなとふと思ったんです。

それからは「求められたら尽くす」という思考にいつの間にか切り替わりましたね。今は苛立つことも減って、自分や周りの大切にすべき人に集中する時間が増えました。これが大人になったということなんですかね…(笑)
SNSでの嫌なコメントもスルーすることができるようになりました。「住所、電話番号、名前を書いて送ってこい。玄関まで行ったるわい!」みたいな(笑)

幼い頃の齋藤選手
出典:ご本人Instagram

理解しがたいものに興味津々!?プライベートで“ある場所”へ行ったお話。

ーー中野選手、藤田選手のインタビューでディズニーランドに行かれたとお伺いしました!

そうなんですよ。元々、テーマパークへ好んで行くタイプではなかったので、ディズニーで忘年会をすると聞いた時は「まじか…」とはなりました(笑)でも、意外と楽しかったですね。

スプラッシュマウンテンが楽しかったんですけど、前に座っていた翔吉君(岩田翔吉選手)が水をうまく避けたので、自分に全部かかりました…(笑)


ーー世界王者の岩田選手のディフェンス力、さすがですね(笑)年末年始どのように過ごされましたか?

年末の最後の日曜日に弾丸で日光東照宮に行きました。ずっと行きたいと思っていて、時間ができたのでふらっと。雪が降っていて寒すぎましたね…。
子供の頃に見るものってどれもスケールが大きかったと思うんですけど、大人になってからは「こんな感じか」と驚くほどの気持ちが出てこなくて…(笑)想像以上!という感じではなかったですけど、行くことができて良かったです。

他に行きたいと思っているのは、兵庫県にある竹田城ですね。日本のマチュピチュと呼ばれていて、綺麗なんですよ。

僕、歴史や城というよりも“理解しがたいもの”に興味があって…。「これってどうやってできているの?」とパッと見ても分からない謎な建物とかが好きなんです(笑)
建物だけじゃなくて都市伝説とかも好きですね。誰も正解を知らないからこそ、色々な憶測が立っていくのが面白いんです。

ーーなるほど!探求心が強い齋藤選手の11年ぶりの再戦、楽しみになってきました!

日光東照宮へ行った際のお写真
出典:本人ご提供

★U-NEXTでの視聴はこちらから

2月1日(土)17時35分配信開始 17時45分試合開始
https://video.unext.jp/livedetail/LIV0000007880


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