平和教育のあり方を考える時間
8月6日は、午後から、小学校で開かれた平和学習会に参加しました。
昨年から参加している会で、声をかけてくださったのは、その小学校の校長先生です。校長先生は、教育委員会にいらっしゃった頃、広島市の公立学校で平和学習のときに用いられている「平和ノート」を作られた方です。
今回、3年生の平和ノートに載せていた「はだしのゲン」と高校生の平和ノートに載せていた「中沢けいじさんの講演録」が理由が曖昧なまま削除されました。
そのことが、NHKのクローズアップ現代で取り上げられ、校長先生も取材を受けられて番組に出ておられます。
を詳しく話してくださいました。その内容は、別のブログでご紹介したいと思っています。
今回のこの件に、私自身、憤りに近い気持ちを抱いていましたが、昨日の講義は、私たちに前を向いて共育することの大切さを強く認識させていただく内容でした。
講義は、毎年、校長先生が教職員に向けて行っておられます。
「子どもたちの口から、軽々しく『平和が大事』『核や戦争反対』という言葉を語らせるべきではない。自分たちの身近で平和につながる取り組みや活動は何かを考えるように導くのが、平和教育」という考えのもと、平和ノートの内容を引用して、先生方が意見交換を行うようにされています。
今年は、校長先生が四年生のときに担任だった奥原球喜先生をお招きして、お話を伺いました。
奥原球喜先生は、教員生活最後の4年間を校長として、本川小学校に赴任されました。
本川小学校は、爆心地から350メートルのところにありますので、多くの先生や児童が亡くなっています。
赴任される前から、平和教育について
「何か違う」
「学習している子どもたちの心はどこにあるんだろう」
「平和という言葉がふわふわ踊っているような気がする」
「平和集会や平和の授業が形骸化している」
という疑問を持たれていました。
そして、本川小学校に赴任し、被爆体験者のお話を直接伺う中で、平和教育の目的を明確にし、地域の方や先生方と協力して「日々の生活の中にある平和教育」を小学校に築き上げた方でした。
平和教育は、人格を高め、戦争をしない有権者の一人として成長し、平和な社会の担い手となる子どもの育成を目的としています。
日々の学びや活動は、全てこの目的に通じています。
この目的のために、
目指す子ども像、子ども観、教育観、指導観を明確にすること。これらが複数存在しても、皆が話し合いによって合意形成を行うこと。
子どもたちの活動や学習は、そのねらいをしっかり共有、認識して指導にあたること。
奥原先生は、ご講演内容を書面にまとめて配付してくださりながら、具体的な実践例や子どもたち、先生方の変化や成長についてご紹介くださいました。
その内容は、市教育の部長がクローズアップ現代の中で語られた「平和学習に成果をだす」という考えとは、大きく異なるものでした。
また、先生のお話しは、
小学校での指導にとどまらず、内容は全て、私の行っている仕事にも通じていました。
研修ではなく共育という視点を大切にしているか?
私にいただいた課題にも思えました。
普段はこの小学校に勤務されている先生方が受講される講義ですが、一昨日は、奥原先生に縁のある方がたくさんいらっしゃっていました。
市立大学で教職課程の担当をされている方、教育センターの所長、次長、市役所の人権啓発部の方、奥原先生と本川小学校で平和学習を推進されていた地域の方。
皆さまと、心を揃えともに目指す方向を見定めて学びを深める濃い時間でした。
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