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18. 選抜三次試験

三次試験の日は、私は朝から仕事が入っていました。
次女は、一度も行ったことのないし、行き方も知らない高校だったので、前夜はとても不安そうでした。だから、仕事に行く前に一緒に高校まで行くことにしました。

バスの中で次女は私に
「母さん、忙しいのに、ごめんね!ゴメンね!」と何度も謝っていました。
私は、「そんなこと気にせずに、試験に全力投球しておいで!」
と励ましました。

選抜三次試験を受験することになった高校は、落ちた高校と同じように、山の上の住宅街の中にありました。
でも、校舎の上には、どこまでも広い空が広がっていて、思わす、見上げて深呼吸したくなるように気持ちの良いところでした。

校門をくぐり、試験会場になっている校舎まで一緒にいくと、若い女性の先生が、「こちらへどうぞ」と笑顔で次女に声をかけて下さいました。
そして、別の先生が次女を試験会場に案内して下さり、私にも、

「お母様も控え室にご案内しますのでどうぞお入りください」
と声をかけてくださいました。
私は、仕事があるのでとお断りし、「よろしくお願いします」とあいさつをして学校を出ました。

校舎から離れながら、今まで一緒に訪れた、あの落ちた高校には感じなかった暖かさとのどかさを感じていました。
このとき初めて、
「ちーちゃは、ここに入れるといいな!」と思ったのでした。


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