3スプリットメモを中学校の授業で活用する
夏休み前後から、学校の先生方の研修会を担当させていただくことが
多くなります。
最近は、先生方だけでなく、小学生や中学生の皆さんの授業を担当させていただくことが増えてきました。
多くは、道徳の時間で、コミュニケーションや人間関係についてワークを用いた授業なのですが、最近は、一つの学校で複数回授業を担当するように
なりました。
先日、中学校で3年生の「自己表現」の授業を担当させていただきました。
「自己表現」は、広島県で、高校入試試験課題です。
1人5分間、自分自身についてプレゼンテーションを行うことになっています。
入試課題としてではなく、
将来必要となる、
・自己を認識する力
・自分の人生を選択する力
・表現する力
を身につけてもらうために設けられた課題です。
今、伺っている中学校では、3月に卒業した3年生から、授業を担当させてもらうようになりました。
昨年度を振り返ってわかったことは、志望動機を含め、自分自身について何をどのようにアピールすればよいか苦戦している生徒がたくさんいたことでした。
学校の指導は、原稿用紙を渡して「自分が伝えたいことを書きましょう」なのです。
しかし、いきなり原稿用紙を渡されても書ける生徒は1割もいませんでした。
その後の授業を通して、生徒たちは、書けないけれど、たくさんの考えや思い、目標を持っていることがわかり、原稿用紙に書けなくても、表現できるように導いていきました。
今年は、昨年より早い段階で授業を担当させていただいていて、昨日が2回目の授業でした。
少しでも、自分自身について話せるようになってもらうため、拙書を出版したときに開発した「3スプリットメモ」を活用することにしました。
このメモを使って、頭の中にあるものを単語でもいいから書き出してもらい、書いたものをもとに1分くらい話せるようになってもらうことを授業の目標にしました。
シートに書き出してもらう前に、このメモをどのように使えばよいか説明しました。
テーマは
「勉強について」
「部活動や委員会活動について」
「学校生活について」
「趣味や習い事について」
「将来の夢や目標について」
の5つに分けて、それぞれのテーマについて、何をどこに書くかを説明したシートを作りました。
説明のあとで、生徒たちにテーマを選んでいただいて、書いてある質問に従って頭に浮かんだことを書いてもらいました。
すると、ほとんどの生徒が、枠を埋めていっていました。記入している様子を見ながら、「もう少しこういう点を書いてみてください」とアドバイスをすると、嬉しそうにまた書き進めてくれていました。
「ここまで埋めてみたんですが、見てもらえますか?」や
「○○くんがあまり書けていないので、みてあげてもらえますか?」
という声がかるようになりました。
そして、ある程度書けたら、テーマごとに分かれて、お互いが書いたものを見比べながら、さらに書き込んでもらいました。
生徒たちに、このシートを使った感想を聞いてみると、
「原稿用紙に書くより書きやすい!」
「書いてある質問を見ていたら、いろいろ浮かんできた!」
という感想が多く、作成中の様子もとても楽しそうでした。
1時間目は、シートに記入する時間作成に充てて、2時間目は、グループの中から代表者を選んで発表してもらいました。
自分から立候補してくれた生徒も、ジャンケンで負けて代表になった生徒も、みんなの前で発表するときは、落ち着いて話していました。
シートに文章で書いていなくても、単語だけしか書いてなくても、自分が書いた言葉だから、みんなしっかり話せるんです。
授業の目標だった1分も軽くクリアして、みんな1分30秒から2分話せていました。
発表は、数名でしたが、聞いてくれている他の生徒たちはみんな、真剣に聞いてくれていました。
発表した友だちの内容がきっと参考になったのだと思います。
授業は、2クラスを2時間ずつ、3回担当させていただいたので、1時間目から6時間目までぶっ通しでした。
でも、生徒たちが楽しそうに取り組んでくれている様子を見ていると元気をもらったような気がします。
みんな、たくさんの可能性を持った素晴らしい生徒さんたちです。
ずっと授業に立ち合ってくださっていた担任の先生方に感想を伺うと、
「私たちまで楽しく取り組めました」
「みんなの表情がイキイキとして素敵だった」
と喜んでくださっていました。
入試本番は、1人5分間のプレゼンテーションなので、生徒たちには、引き続きシートに書き足しながら、自分の伝えたいことを準備してもらうように伝えました。
そして先生方には、煮詰まった生徒には、質問しながら、内容を深めてもらうよう指導をお願いしました。
3スプリットメモは、私が考案し、2022年9月に出版した「手書き・3分割で情報を整理する3スプリットメモ術」(同文舘出版)にまとめました。
出版後は、この「3スプリットメモ」を学校現場で、授業のワークや、感想レポートなどに活用しています。
考えていることを整理し、自分自身の体験や気づきを表現するために効果的であることを実感しています。
授業の中では見かけなくなったメモやノートを取る場面。
でも、3スプリットメモは、みんなせっせと書き込んでくれています。