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3か月の審判が下る日(3)

島根の専門学校の講義は、24年前から担当しています。
最初は4年生を教えていましたが、3年生の科目になり、2年生の科目に変わり、1年生の科目になりました。

人と関わることが苦手で、同じクラスの人ともあまり話したことがない。隣に座っている人とも話さない、話せない。
そんな学生たちが、4年後には、関わったことのない異世代でもある高齢者のリハビリに従事します。

「まず、隣の人と関わること。話したことのない人がずっと隣に座っていると居心地が悪いでしょ。その居心地の悪さや不安を自分の力で解消しましょう!そのために、私の講義を役立ててもらえたら嬉しい!」という思いで、講義を担当しています。

24年前からテキストの内容はずいぶん変わりました。

でも、講義の進め方はあまり変えていません。
もう一つ、最初からずっと続けているのが、感想レポートを介しての学生一人ひとりとのやり取りです。

講義の終わりに「今日の気づき」というタイトルの感想レポートを作成してもらいます。

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用紙の上部に、講義の感想や質問、悩んでいること、自己PRなど、何でも書いてもらいます。目的は、自分が考えていることや気持ちを、自分の言葉で表現するトレーニングです。そして下にある枠は、レポートを読んで私がコメントを書くスペースです。

学生のコメントがたとえ1行、一言であっても、私はこの枠にぎっしりコメントを書いて次の講義を始める前に返す!
24年前に、そう決めて始めました。


24年前は、3学科全員で90名いました。講義は、2週間に1回のタイミングだったこともあるし、3日間連続だったこともあります。
それでも、次の講義の日には、ぎっしりコメントを書いて返しました。
これまでに、約10,000枚のコメントを書いています。もちろん内容はすべて違います。

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学生たちが何かに気づいて、一歩踏み出してくれるなら労力は厭わない。喜んでコメントを書かせてもらおう!
と決めて続けています。

この7回のやり取りが、修了試験のレポートに繋がっています。

「この講義を受けてどのようなことに気づきましたか?」という問いに対して、「講義が面白かった」「楽しい講義だった」という私の講義に対するコメントよりも、自分自身にどんな変化が起きたか?どんな行動に繋がったか?を書いてもらう方が嬉しいのです。

成功体験だけではなく、うまくいかなかった体験でもいい、
その体験から何を得たか?次はどうしたいのか?
私のことなんて構わず、自分自身と向き合ってあーしたい、こうしたい!これもいいな、あれもいいな!と独り言のように自分を語ってくれているような内容。

レポートの内容が、私の講義に対する真の評価。

大したことはできませんが、
とことん寄り添って、あとは信じてじっと見守る。

そういう私の今のスタイルを創ってくれた、かけがえのない鍛錬の場でもあります。

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大好きな鬼滅の刃の1節

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