「なぜ?」より「どうすれば?」
この時期、仕事帰りにクリスマスツリーやイルミネーションを見ると、思わず写真を撮ってしまいます。
いくつになっても、クリスマスのキラキラした飾りつけは、見ていてワクワクします!
昨日は、病院で4年目の看護師さんを対象にしたキャリア研修でした。
広島市にある4つの病院の合同研修で、4年前から担当させていただいています。
採用時に新採用研修を受講してくださった方も何人かいらっしゃいました。
採用時は、目標だった看護師になれた喜びと希望に満ち溢れていて、研修も終始、熱心で一生懸命でした。
しかし、時間が経ってくると、仕事にも慣れ、日々の業務に忙殺されるのか、表情には笑顔もなく疲れも感じられます。
また、採用された年に関わらず、毎年、勤続4年目の方たちからは、関心のなさ、不満、冷めた様子を感じています。
彼女たちがそうなってしまう職場の雰囲気や、指導の在り方、関わり方にも問題があるのかもしれません。
彼女たちが何らかの不満や抵抗感を持っていても、彼女たちに必要だから実施している研修です。
「この研修を受講してよかった」「明日から、●●を大切に仕事に取り組んでいこう!」と思ってもらえるように彼女たちを導いていく講師の力量が問われます。
研修がスタートした時に感じられた、白けた雰囲気は、4時間後にはすっかり消えていました。そして、
「周りの人に支えられていることを忘れずに、明日からも仕事に取り組みたい」
「ワークを通して、私が一番満足感を持っているときは、やりたいことに取り組んでいるときだと気づいた」
「なりたい自分になるには、思っているだけじゃなく、行動が必要なんだ」
「いいことだけじゃなく、嫌なこともたくさんあったけど、周りの助けがあったから乗り越えられたことを忘れてはいけない」
「ほとんど初対面のメンバーとも、こんなに打ち解けてたくさん意見交換が出来た自分にびっくりしている」
「メンバーからインタビューされて、自分がこれからも大切にしたいことに気づくことができた」 など
一人一人にとって、明日からの一歩に繋がる気づきを持ち帰ってくださったように思います。
昨日の研修に限らず、私が担当させていただいている研修の半分以上は、受講に後ろ向きな方を対象にしています。
冷めた様子も、構えられている様子も、私にとってはいつものこと。私自身が動揺することも、不安になることもありません。
たった一つのことを大切にしていれば、受講される方がどんな状態でも、夢中で取り組めるのです。
それは、「どうすればいい?」です。
想定外のことや、思わしくない状況に遭遇したとき、多くの人は
「なぜこんな状態なの?」
「なんでみんな無反応なの?」
「どうして質問に答えてくれないの?」
と思ってしまいます。
これは、自分の目の前の様子をきちんと受け止めることができていないのです。
相手だけでなく、自分も相手の様子を受け止めていなければ、いつまでも白けて無反応な状態は続きます。
質問して反応がなくて、
「だれも答えてくれないんですか?」
「研修なんだから、もっとしっかり考えてください」
なんて言えば、ますます相手は心を閉ざしてしまいます。
「どうすればいい?」は、現状をしっかり受け止めているから出てくる言葉です。
「どんな問いを投げかけたら、みんなが考え始めてくれるだろう?」
「どんなワークにすれば、意見交換が活発になるだろう?」
「次にどのようなワークや説明を行ったら、場が少しずつ活性化するだろうか?」
研修は、講師が準備した内容を、予定通りに進めるものではありません。
受講してくださる方の反応を見ながら、質問やワークを変え、進め方を変えて、ゴール(研修の目的やテーマ)に導いていくことです。
これまで高い評価を得た内容や進め方でも、自分の得意とする分野であっても、いつも相手に受け入れてもらえるとは限らないのです。
時間をかけて準備していても、使えそうにないとわかれば、捨てる勇気を持ち、現状を見ながら、作り変えていく冷静さも必要です。
そのために私はいつも、「どうすればいい?」を一つしっかり握りしめて、研修に臨んでいます。