03. 出来ない!わからない!聞けない!
めちゃくちゃ落ち込んだ初出勤の日
宅配センターでの仕事内容は、荷物を配達エリアごとに仕分けることでした。営業所長と面談をしたときには、作業の詳細説明はほとんど受けていませんでした。
「大丈夫ですよ、誰でもできる簡単な仕事です。出勤した日に、スタッフから説明を受けてください」
と、所長はニコニコしながら話されていました。
初出勤の日は次女がお休みだったので、ホントに大丈夫かな?と不安に思いながらも、現場のスタッフの方に教えてもらいながら作業することにしました。
「とりあえずこれを見て仕分け作業をしてください」
元気よくあいさつをしたのに、ろくに返答もしてもらえず、ぶっきらぼうなリーダーから渡されたのはたった1枚の紙。
表は倉庫内の見取り図、裏は配達エリアと住所を一覧表になっていましたが、縮小印刷されてたので字が小さいし、書き方がわかりにくい(というか不親切な書き方)!
「1つ1つ荷物をこの紙を表や裏を見ながら、送り状を見て仕分ければいいですから…」と言われたのですが、
✓配送センター専属のドライバー(社員)と委託ドライバー(契約スタッフ)の荷物仕分ける必要がある。
✓着払い・代金引換の荷物がある。
✓配達日指定・時間指定の荷物がある。
✓荷札のフォームが様々で、見分けがつきにくいものがある。
など、荷物には様々な種類がありました。
さらに、宅配センターに届いた荷物の中には、別の宅配センターの荷物が間違って届くこともあります。
配達エリアごとに荷物を仕分けるのは単純な作業ですが、すぐに出来る仕事ではありません。
わからないことだらけだし、送り状を見て確認するのに時間がかかります。誰かにちょっと聞きたいと思っても、みんな忙しそうだし、説明されても、言っている意味がわからないこともたくさんありました。
初日は、読みにくい紙切れを表にしたり裏にしたりして荷物を仕分けました。でも、少しするとリーダーや他のスタッフから「これは、ここではありません。あっちです!」と、荷物を他の場所に移動するように言われました。「あっちってどっちですか?」と聞こうにも、忙しく動き回っている人たちになかなか声をかけることができませんでした。
”情けない!こんな簡単なことも出来ないなんて!!”私にしては珍しく落ち込んだ初出勤の日でした。
しかし、どんなに簡単な仕事でも1人で出来るようになるには、時間がかかります。言い換えれば、ある程度時間をかければ、仕事は出来るようになるのです。
仕事を覚えて出来るようになるためには、
①作業に必要な内容を覚えて出来るようにしていくこと
②誰かに説明してもらったり、教えてもらって出来るようにしていくこと
この2つが必要だということを、改めて気づくことができました。
そこで、帰宅してすぐ、「①作業に必要な内容を覚えて出来るようにしていくこと」のために、あの分かりにくい紙切れをまとめなおしました。
まず、この紙を表裏交互に見なくてもいいように、片面1枚に手書きでまとめることにしました。トラックの配置図を書き、トラックが担当しているエリアを配置図の中に記入しました。
そして、ポケットにたたんで入れられるくらいの大きさにまとめ、暗くても見えるように蛍光ペンで色付けをしました。
手書きで作成したのは、書きながら内容を頭に入れるためでした。
リビングのテーブルでせっせと見取り図を描いている様子を見て、次女が「気合が入ってるね!」と笑いながら言いました。
「当たり前じゃん!やるんだったら、母さんはとことんやるよーー!」
仕分け作業がしやすいように、せっせと仕分け作業表を作っているうちに、落ち込んだ気持ちは跡形もなく消えて、翌日の出勤が待ち遠しくなっていました。