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書いているのではなく対話している
5月から、専門学校の前期の講義が始まりました。
25年前から講義に行っていて、昨年から前期と後期の授業を担当させていただくようになりました。
25年の間に、授業でお伝えする内容やワークの仕方、学生の人数など
少しずつ変わっていますが、ずっと変わらずに行っているのが、提出してもらった感想レポートにコメントを書いて返すことです。
今年は、57名の学生さんのうち19名が留学生です。
先日、前期講義の7回のうち4回が終わりました。「コミュニケーション論」という科目を担当してるのですが、レポートの内容を読むと、皆が自分事として取り組んでくださっていることがわかります。
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レポート用紙を、3分割して「上段に要点」「左下に感想」「右下に質問やPR」を書いていただくようにしています。
19名の留学生は、放課後、日本語の勉強をしながら講義を受けている方もいらっしゃるので、書いたり話したりに苦労されていますが、講義はとても熱心に受講してくださっています。
要点や感想も、「中国語や韓国語で書いてもらってもOKですよ」とお伝えしていますが、「これも勉強になるから」と、日本語で書いてくださっています。
でも、感想や質問は、ときどき中国語や韓国語になっていることもあります。
思いや考えをしっかり伝えようと思ったら、日本語でも母国語でもいいのです。私も、中国語や韓国語で書いてある場合は、翻訳アプリを使いながら、コメントを書いています。私が鬼滅の刃が大好きで、時透無一郎が一番好きだと話したら、何人かがイラストを描いてくれました。
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せっかく書いてくださったイラストなので、
色を塗って お返ししています。
毎年のことですが、講義が進むにつれ、レポートに書いてあることもどんどん増えていっています。
文字や言葉に書いてみることで、気づきや自分の考えがどんどん発展しているのだと思います。
講義が終わって、提出してくださるときも、みんな笑顔で「お願いします」「ありがとうございました」「今日もいろんなことに気づけました」と言葉を添えてくださるようになりました。
知識を得るためだけではなく、自分のコミュニケーションの取り方について考え、学んだことを実践するために講義を受講してくださっていることが、私の励みであり、やりがいに繋がっています。
提出してもらったレポートに、次の講義までにはコメント欄にコメントを書いてお返しする。25年欠かすことなく続けてきました。
講師仲間や友人から、「大変じゃないですか?」「私もやってみたけど、なかなか続きません」というコメントをいただくことがありますが、講義を担当する中で、一番楽しみにしていることなのです。
コメントを書くことが目的だったら、しんどいことだと思いますし時間のかかることですから、続けるのは大変だと感じるでしょう。
でも、私は、コメントを書くことを目的にしていません。
「この人は、どんなことを思ったんだろう?」
「もっと、詳しく聞いてみたい」
レポートに書かれた内容を読みながら、そういう気持ちが大きくなっていくのです。コメントを読んでいるというより、話を聞いているという感覚です。その学生さんの声まで聞こえてくるような気もします。
話を聞いて一緒に考えるから、「話してくれたことは、こういうことだったんですか?」「一番気になっているのはどんなことですか?」というメッセージが浮かんできて、思いも伝えるように、夢中でペンを走らせています。
何を目的にしているか?
その目的に、心から納得しているか?
実績を作るためとか、私はこんなに頑張っているですよ!ということを誰かに認められたいからアピールしているのか?
ほんの少しでも、そういう気持ちがあれば、やっていてだんだんとしんどくなります。疲れるか、ワクワクするかの違いは、そこにあるような気がします。
このレポートを一人一人に渡すのが、一番楽しみな瞬間です。