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14. 面倒くさいことには関わりたくない

女子大生がミスをしても「注意すると来なくなっては困るから…」と、何も言わなかった現場の人たち。

“注意の仕方を工夫すれば、そんなことを考えなくても済むのに…”
と私は思うのですが、伝え方というのはなかなか難しいものです。
過去に、上手く伝えられなくて、反抗的な態度を取られたり、辞められたりしたことがあれば、尚更、躊躇してしまいます。

面倒なことに巻き込まれるより、もっと楽に回避したい。
ここで時間を取られては、仕事が回らなくなる。
ということなのかもしれません。しかし、それではいつまでたっても問題は解決しません。

〝こういうことって、今に始まったことじゃないよなぁ~”
と思いました。私が物流会社に務めていた頃、苦い経験があります。

私は、入社当初から、
「仕事には男性も女性もなく、責任感を持って取り組むべきだ」という考えを大切にしていました。
要領が悪くてミスも多かったですが、注意されたことは改善して同じミスを繰り返さないように心がけていました。雑務と言われるもの(お茶を出すこと、掃除をすることなど)も、〝なんでこんなことまで、私がやらなければいけないんですか?”と一切言わず、思わず、やるべきことはやっていました。
そのような仕事ぶりが認められて、はじめて責任ある仕事が任せてもらえるのだと思っていました。ですから、先輩や上司は、私に何でも言いやすかったのだと思います。良く叱られましたし、小さなことでも指摘していただきました。

入社して半年経った頃、支店長からいきなり「あなたは、今日から、会社が取り組んでいる●●(CS向上に関する取り組み)の女子リーダーですから、頑張るように」と言われました。
支店には、入社5年目を筆頭に、5人の先輩女子社員がいたにも関わらず、入社して間もない私が女子社員のリーダーに任命されたのです。

支店長の考えは、〝改善は、年功序列ではなく、やる気のある人に”
という思いがあったのでしょう。選ばれたことは、とても光栄なことでしたが、先輩たちが黙っているわけがありませんでした。

一番上の先輩は結婚されていて、あとどれくらい会社に勤務できるかわからない状況でもあったので、支店長の考えには納得してくださっていたようでした。
しかし、それ以外の先輩からはブーイングの嵐でした。特にナンバー2の先輩からは、ロッカールームに連れていかれて
「出来ません、下ろして下さいと言いなさい!」
と詰め寄られたことは1度や2度ではありませんでした。
私も、そんな脅迫に〝わかりました”と言うほど、ヤワな人間ではないので、絶対屈してなるものか!と譲りませんでした。

そして、ナンバー2は、一番上の先輩を抱き込んで、「あなたがリーダーなら、私たちは協力しません」と言いだしたのです。
男性の同僚、先輩、上司の前では、
「新入社員なのに、あの支店長に指名してもらって、凄いよね~」と言って協力しているような素振りを見せ、私には「新入社員のくせに生意気な!」と言う。

困って、男性の先輩に相談したことがあったのですが「ほっとけ、どうせそういう奴らなんだから」「我慢していたら、そのうちみんな辞めていく」という言葉しか返ってきませんでした。

たとえ仕事が出来る人たちであっても、所詮、このような面倒なことには介入したくないんだと言うことを思い知りました。

支店長からは、「取り組みの状況はどうなっている?」と再三尋ねられ、完全に板挟み状態。私は仕方なく、自分ひとりで取り組み内容を考え、1人で実行して報告書を作成していました。
成果を出すことが何より大事と思っていた私は、無力な自分を情けなく思いました。

しかし、私もかなりの強情で負けず嫌いです。当時は、先輩たちに屈することは「負け」と思っていましたので、折れることもお願いすることもせず、一人でやれることをやろうと決めて、名ばかりのリーダーを続けました。
先輩たちは、そういう私のことが余計に憎らしかったと思います。でも、「出る杭は打たれるけれど、出過ぎた杭は打つと余計に面倒くさくなるもの」です。嫌味や文句は減り、無視に変わっていきました。

男性には女性が、女性には男性の考え方や気持ちが理解できない部分があります。それは仕方がないことだと思っています。わかろうと思わないし、分かってほしいとも思いません。

でも、現場で何が起きていて、どうしなければいけないのか?起きていることが仕事全体に支障が出ることなら、介入して改善する必要があります。
そこに、相手が「男だから」「女だから」「大学生だから」「アルバイトだから」は、関係ないと思っています。

「へそを曲げられては困る」「落ち込まれたら困る」
「もう来なくなったら困る」「辞められたら困る」

それが困るのなら、そうならない伝え方を考えればよいことです。私は、その言葉を聞くたびに
「どう伝えたら、それを回避できるかがわかっていないための言い訳」のように聞こえます。

何を言っても、どういう言い方をしても、反発され、無視され続けたら、それがトラウマになって言いたいことも言えなくなり、自分で抱え込んで身何度も身体を壊したこともありましたが…。

相手に伝わるように、シンプルな言葉で、でもしっかり言葉を選んで伝える。
伝えた後に、相手の言い分も聞きながら、一緒にどうすればいいかを話し合う。

どんな仕事をしていても、相手が誰であっても、それはとても大切なことだと痛感しました。

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