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06.仕事がしたい!

資格を取ったことで、自分に自信が持てるようになったのはよかったのです。でも、今度は、“せっかく取った資格なんだから、早く活かしてみたい!”という気持ちが沸々とこみ上げてきて、抑えても抑えても、頭をもたげてくるようになりました。

そこで、何人かの知人に連絡を取りました。
最初は、「会社を辞めても、私はこれだけ頑張ってるのよ!」ということを、ただ、伝えたかっただけでした。子どもを産んだばかりですから、たとえ短い時間でも、仕事と家事・育児の両立は絶対に無理だと思っていました。

ところが、タイミングが良いというか、悪いというか、彼女たちから次々と仕事の紹介を受けたのです。

「専門学校で、秘書科の講師を探しているんだけど...」

「そんなハイレベルな資格があるんだったら、うちの会社の専務秘書をやってみない?」

「派遣会社の教育インストラクターの話があるんだけど......」

どれも喉から手が出るほど、条件もよく、私がやってみたい仕事ばかりでした。
「でも、子どもを産んだばかりだし、やっぱり無理よ」と、断ると、
「あなただったら大丈夫よ。フルタイムじゃないし、絶対にできる!」という言葉が返ってきました。

子どもがいなければ、自分で決めて仕事を始めることができますが、子どもがいる今、ひとりで判断できることではありません。
夫に相談するたびに、返ってくるのは「ダメ!」という答え。予想はしていたことですが、あまりにもあっさりと言われるので、
“この人は、もう私を家庭に縛り付けておきたいんだ。”と、だんだんと腹立たしく思うようになってきました。

何度目かのやりとりのとき、わたしはとうとう気持ちを抑えきれなくなり、「どうして、わたしは仕事に出ちゃあいけないの。やってみなけりゃわからないじゃない。こんなにチャンスが来てるのに、断る身にもなってよ!」と叫んでしまいました。

それでも、返事は「ダメ!」。でも、その後に続いた言葉に、私はハッとさせられました。

「確かに、条件としては悪くないものばかりだけど、君は本当にその仕事がやりたいの?取った資格を活かしたいという気持ちが先走ってるだけじゃないの?そんなわがままな気持ちで、今の状態で子育てと仕事を両立していける自信はあるのか?それで、しわ寄せができて、“やっぱりできませんでした”じゃあ、取り返しがつかないんだよ。努力して取った資格を活かしたいという気持ちはわかるけど、まだ早すぎる。焦らずに、もうちょっと準備をするべきだと思うよ。今、これだけ君に仕事の依頼がきてるんだ。もっと実力をつけて、生活に余裕がでてくれば、それ以上の仕事の依頼が絶対に来るはずだ!だから、今はまだ、早すぎる!」

悔しいけど、完全に私の心の中は見透かされていました。そして、夫の方が客観的に、冷静に判断していると思いました。資格を取ってみたものの、実際のところ、私に何ができるのかどんな働き方をしたいのか?
確信できるものは何もなかったのです。

泣きたいほど残念で悔しかったけれど、仕事の紹介を全て断りました。断りながら、“夫はああ言ったけど、もうこんなオイシイ話は二度と来ないかもしれない!”という不安に駆られ、また置き去りにされたような気持ちになり、しばらくはふさぎこんでしまいました。

夫は、そんな私に、「家で勉強することばかりじゃなく、たまにはお袋に子どもを預けて外に出てみたら?」と言ってくれたのです。(いいところ、あるじゃない!)

それからは今までどおり、家事と育児の合間を縫っての勉強と、子どもを預けたり、子連れでのイベントや交流会の参加など行動範囲は広がっていきました。そして、少しずつ、会社に勤務していた頃とは違った友人が出来はじめました。

“もう少し、ネットワークを広げて勉強を続けていこう!”_心からそう思えるようになった矢先、今度は実家の父が倒れたという知らせが入ってきました。

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#仕事することより続けること #秘書検定を活かす  


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