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集英社オレンジ文庫「ノベル大賞」 要点まとめ

参考にさせていただいた記事



要点

  • 一次選考通過率が高い公募賞。4割近い応募作が選考を通過。その後も二次三次四次最終……と選考があり、受賞自体は難関といえるものの、確実に自信に繋がる数値。

  • 受賞者は数年以内に小説を出せていることが多い(Webコバルト、eコバルト文庫も含みます)。オレンジ文庫はまだ6年目だが、8割は生き残ってると思われる。書く気力さえあれば遅筆でも(数年に一冊ペースとかでも)書き続けられているようだ。実際ネットニュースに載ったオレンジ文庫の編集長のインタビューではノベル大賞出身者の育成に力を入れていると語っていた。

  • 集英社のライト文芸レーベル、オレンジ文庫が母体となっている。前身はコバルト・ノベル大賞。表紙がイラストで、文庫で発売されるところはライトノベルと同じだが、男の子向けというわけではなく、文学とライトノベルの中間ぐらいの位置づけ。オレンジ文庫は20代、30代の女性がキュンキュンするような内容が多い。

  • カテゴリーエラーはほとんどない。

  • 出版化は単行本ではなく「受賞作を加筆修正、または新作での文庫デビューを確約いたします」と書かれている。

  • 三次選考通過以上の小説に評価シートが出される。


応募要項

▶選考委員
今野緒雪、似鳥鶏、三浦しをん、丑尾健太郎(2024年ノベル大賞より)

▶応募資格
性別・年齢・プロアマ不問

▶募集原稿
日本語で書かれた小説で、幅広く楽しめるエンターテインメント作品。
自作、未発表のものに限ります。

▶応募規定
・小説原稿は1枚あたり40文字×32行で、80~130枚まで。
・800文字~2000文字程度のあらすじを作成してください。
・応募は一人3作品までとなります。

原稿、あらすじは、word・テキストファイル(ファイルの拡張子が「.docx」または「.txt」)でお願いします。

▶応募受付
応募フォームに必要事項を記入の上、ご応募ください。
※郵送による応募は受け付けておりません。

・応募受付後につきまして
応募受付が正常に行われた場合、「確認メール」をさしあげます。
「応募受付番号」はお問い合わせの際に必要となりますので、必ず控えてください。
2回以上同じ作品を投稿された場合は「先にご応募された作品を採用」という形で対応いたします。
データの破損などでご応募いただいた原稿が判読できないなどの場合は、その旨メールにてご連絡さしあげます。指定する期日までにご返信ください。


▶応募締切
2025年1月10日 23時59分まで

▶賞と賞金
大賞/賞金300万円 準大賞/賞金100万円 佳作/賞金50万円
※賞金はすべて税込です。書籍刊行の際は、賞金とは別に当社規定の印税をお支払いいたします。

▶入選発表
オレンジ文庫公式サイト等で2025年8月下旬に発表。
入選後 受賞作を加筆修正、または新作での文庫デビューを確約いたします。

▶評価シート
について 評価シートは三次選考を通過した作品のみを対象として、ご登録いただいたメールアドレスに送付いたします。

▶諸注意
ほかの文学賞等で選考中の作品、入選した作品を応募することはできません。
選考に関するお問い合わせにはお答えできません。
応募された方の個人情報は厳重に管理し、本企画遂行以外の目的に利用することはありません。
応募規定外の作品は選考の対象外となります。また個別にご連絡いたしませんので、ご注意ください。

▶著作権について
応募作品の著作権は応募者に帰属します。
応募は、第三者の著作権その他の権利を侵害したり、そのおそれがないと認められる作品に限ります。第三者から盗作等の指摘を受けた場合は、すべて応募者ご自身でご対応いただきます。
応募作品が受賞した場合、受賞者は著作者人格権を行使しないものとし、集英社は受賞作品を誌面・電子書籍等に掲載するにあたって、その一部の変更をお願いする場合があります。
受賞作品の出版、電子配信その他の二次的利用については、集英社が独占的に許諾を受けるものとします。(著作権法第27条および第28条に規定する権利を含む)ただし、これら条件の詳細については、別途、応募者と集英社で個別に取り決めるものとします。

▶主催
(株)集英社
公益財団法人 一ツ橋文芸教育振興会


▼ノベル大賞 歴代受賞作

2021年度(通算第52回)
大賞:『シラナイカナコ』- 佐久間泉

2021年度集英社ノベル大賞〈大賞〉受賞!
17歳の才能が抉り出す新世代小説。この青春は、あなたをブン殴る。

「先生。今、テレビに出てる人たちは本物ですか?」
男子部員はあたしたちを入れるのを嫌がった――だからあたしはバンドを組んだ、はずだった。高校入学を機にガールズバンドを結成した鳴海は、ロックフェスへの出場を目指して練習に没頭していた。だが高2の夏休み明け、メンバーのひとりが進路を理由に脱退してしまう。「女子限定」が条件の欠員募集に応募してきたのは、笑顔と口調がとんでもなく胡散臭く、そしてとんでもなくキーボードがうまい青年で……。(みるならなるみ)

「私は、彼らをこんな場所に貶めた世界を知りたかった」
ごく普通の女子中学生・四葉は「幸福の子」。新興宗教・運命共有教の救いの象徴として崇められ、信者同士で共同生活を行う家では他人を「お母さん」と呼び、家族には「四葉様」と呼ばれている。学校にも居場所がない四葉は、たった一人の友達である加子といつも一緒にいた。いじめられっ子である彼女に対し、四葉は友達だけど許せない、友達だからこそ許せない、ある「小さな」罪を犯してしまう。(シラナイカナコ)

ガールズバンドと新興宗教、全く異なる世界に属する少女たちの鮮烈で泥濘んだ感情を、生々しく繊細な筆致で描くデビュー作。

Amazon書籍ページより

準大賞:『花は愛しき死者たちのために』-花村はづき

硝子の棺に納められた、美しい少女の遺体。
彼女――エリスは決して腐敗せず、いつの頃から存在するのかもわからない。
棺は、黒装束の男に運ばれ、エリスは時代も国も超えてその姿を見せる。
あるときは孤独な墓守の青年の前に。
またあるときは友人の美貌に複雑な思いを抱く少女の前に。
ある成金貴族の息子は、エリスのための“秘密の集い”にのめり込んでしまう。
彼らはなぜ、エリスに惹かれてしまうのか。
その先に、自身の破滅が待ち受けているとも知らずに――。
「エリス、ほらご覧。また君のために人が死んだ」

2021年集英社ノベル大賞準大賞受賞作、文庫化!

2022年度(通算第53回)
大賞:『早乙女さん、特務です』- 森かおる(「このビル、空きはありません!」に改題)

オフィス仲介は戦場だ!!
2022年ノベル大賞<大賞>受賞作! 契約ゼロ新卒の崖っぷち奮闘記!

入社以来、契約ゼロを続けていたオフィス仲介営業の咲野花。
ついに初契約かと思われた案件も押印直前で壊れ、とうとう営業から謎の男性早乙女さんの一人部署・特務室に異動になった。
特務室に仕事はなく、同期には蔑まれ、花は退職を申し出る。
だが早乙女さんから「査定に響く」という理由で慰留され最後に一つだけクライアントの希望に合致するオフィスビルを探すのだが……。
見つからない。どこにどれだけ電話をかけても見つからない。
これだけ探して、1件も見つからないなんてことある?
花の中で、何かが弾けた。
辞めたかった花の中で、エンジンがかかる音がした。
それが崖っぷち社員の反撃の始まりだった――!

カズレーサー賞:『双蛇に嫁す』- 氏家仮名子

2022年集英社ノベル大賞〈カズレーザー賞〉受賞!

皇帝と妃、双子同士の結婚。圧倒的スケールで描かれる、激動の中華王朝婚姻劇!!

草原の民アルタナの娘、シリンとナフィーサ。異母姉妹ながら共に育ち、容姿も双子のように瓜二つの2人だが、シリンは活発で弓と騎馬が得意、ナフィーサは気が優しく刺繍と料理を愛する。ある日、族長である父はシリンとナフィーサを本当の双子に仕立て上げ、南方の大国・濫に輿入れさせることを告げる。濫国は双子信仰が盛んであり、折しも現在の皇帝も双子だった。その彼らが、双子の娘を後宮に探し求めているというのである。

草原の和平のためアルタナを離れ長い旅の末、濫国の王城・永寧宮にたどり着いた偽りの双子姫。シリンは弟帝の暁慶の後宮に迎え入れられ、「杏妃」なる名を与えられるが、初夜の床にて「私は永劫、お前を抱くつもりはない」と言い放たれてしまう。故郷の花嫁衣装も、名前も、全てを奪われ、体を繋がぬまま濫の妃となったシリンの運命は、やがて濫国とアルタナを巡る、大いなる時代の奔流に呑み込まれていく――。

2023年度(通算54回目)
大賞:該当無し

優秀賞:『甘いたぬきは山の向こう』- 西東子(「天狐のテンコと葵くん」に改題)

夜の仕込み前、葵が店の裏に出ると、遠くに見える山の稜線は美しい赤に染まっていた。

『キッチンハルニレ』で働く葵は、ある日、怪我をした狐を拾う。翌朝目を覚ますと狐は少女の姿をしていて!? 混乱する葵に「わしは御山を守る山主じゃ」と偉そうに話す少女。神通力を失ってしまい、回復するには「たぬきケーキ」が必要だという。葵は一緒に探してあげるはめに。しかし、彼女が本当に探しているものを知り、料理人としてある大事なことに気づき――。

集英社オレンジ文庫 書籍ページより


優秀賞:『レディ・ファントムと灰色の夢』- 栢山シキ

オルランド王国の伯爵令嬢クレアは、幼いころから霊を見ることができた。その噂は社交界にも広がり、レディ・ファントムという不名誉なあだ名で呼ばれるようになっていた。そんなクレアの唯一の親友ともいえる子爵令嬢アネットが、ある日亡くなってしまう。土砂降りの雨の夜、王都名物とも言える大階段から転落したのだという。事故か他殺か自殺か――。事故死として処理はされたが、真相は分からないまま。なぜ雨の夜に貴族の令嬢が、供も連れずひとりで出歩いていたのか。そんな中、王都の伯爵邸を刑事だという二人の青年が訪れた。クレアが幽霊から何かの情報を得ているのではないか、というような質問をぶつけてきて……?

2023年集英社ノベル大賞<準大賞>受賞のヴィクトリアン・オカルトミステリー!

佳作:『私のマリア』- 東雲めめ子

誰もがマリアに恋い焦がれていた。
殺してしまいたいほどに――
美しい女子高生はなぜ消えたのか!
2023年集英社ノベル大賞<佳作>受賞、失踪からはじまる青春ミステリー!

全寮制の名門女子校白蓉女学院で“白蓉のマリア”と謳われる女子高生・藤城泉子が消えた。事件か事故か、あるいは泉子の自由意思による失踪か。動揺に追い打ちをかけるように、泉子の実家で放火殺人が起こり、犯人と目される大学生を15歳の少年が刺傷する事件が発生。寮で同室だった鮎子は泉子を案じ、泉子の従兄の藤城薫と行方を追うのだが、薫は泉子がすべてを仕組んだと言い出して……。

彼女がいて、私がいて、それで完璧だったはずなのに。
従兄弟、幼馴染み、ルームメイト、王子…マリアの失踪に、やがて周囲は歪み始める――。

▼集英社が行っているほかの文学賞の直近回受賞作

小説すばる新人賞
青波杏『楊花の歌』

1941年、日本占領下の福建省廈門。
大阪松島遊廓から逃走して、上海、広州、香港と渡り歩き、廈門に辿り着いたリリーは、抗日活動家の楊に従い、カフェーで女給として働きながら諜報活動をしていた。あるとき、楊から日本軍諜報員の暗殺を指示され、その実行者として、琥珀色の瞳と蛇の刺青が印象的なヤンファという女性を紹介される。
中秋節の晩をきっかけに強くヤンファに惹かれていくリリーにとって、彼女と過ごす時間だけが生への実感を持てるひとときになっていた。
しかし、楊から秘密裏に出されていた指令は、暗殺に失敗した場合はヤンファを殺せというものだった……。
戦時下の中国・廈門を舞台に流転する女性たちの愛と葛藤を描く、圧巻の熱量を放つ第35回小説すばる新人賞受賞作。

逢崎遊『正しき地図の裏側より』(遡上の魚)

定時制高校に通いながら無職の父に代わり働く耕一郎は、ある冬、苦労して貯めた八万円が無くなっていたことに気づく。
このことを父に問い質すと、父は金を使ったことを悪びれもせずに認めた上、予想を超える衝撃の言葉を言い放った。
衝動的に父を殴り飛ばした耕一郎は、雪の中に倒れた父を放置して故郷を逃げるように去る。
しかし、僅かな所持金は瞬く間に減り、逃亡生活は厳しくなる一方。
遂に金が底をつき、すべてを諦めようとしたそのとき、
「……なに、訳あり?」
公園の隅、小さなホームレスの溜まり場から、ひとつの手が差し伸べられる。
出会いと別れを繰り返し、残酷な現実を乗り越えた先、故郷へと帰る決意を固めた耕一郎を待ち受けていたものは──。

社会から切り離される圧倒的な絶望と、心と心が深く繋がるやさしさを描いた、25歳の若き著者による感動のデビュー作。

水無月神野『我拶もん』

第36回小説すばる新人賞受賞作。

寛保二年。大名や旗本の駕籠を担ぐことを生業とする陸尺の桐生は売れっ子として江戸で人気を誇っていた。ある日、芝居小屋の《市村座》で木戸番と陸尺の大乱闘が勃発。相方の龍太が巻き込まれたと知った桐生は仲間の翔次と共に駆けつける。だが龍太は捕えられ、騒ぎを収めようとしたはずの桐生も結託した仲間に裏切り者扱いされ仕事を干されてしまう。暇を持て余していた八月のある日、大雨により江戸で大洪水が発生。桐生は辛うじて生き延びるも商売道具の右腕に大怪我を負い、かつて恋仲であった娘・おみねも目の前で濁流に呑まれてしまう。何もかも失った桐生は《市村座》の騒動を機に知り合った玄蕃頭・有馬頼徸に救われ屋敷で世話になることになり、懇ろだった深川芸者の粧香とも再会。一方、頼徸の近習である坂西小弥太は、主君が桐生を気に入り、また幼い頃から恋心を抱いていた頼徸の姉・梅渓院までもが執心であることに苛立ちを覚えていた。そして、使い物にならず腐っていた桐生を痛罵し、桐生は有馬家を去るのだが……。

須藤アンナ『グッナイ・ナタリー・クローバー』

 霧の町、チェリータウンのモットーは「壊れていないなら直すな」。軽犯罪に溢れ、誰も彼もが俯いて歩く日々。酒場を経営する支配的な父、父の暴力から庇ってくれない兄・エディ、出て行った母。人生に絶望し夜を恐れる十三歳のソフィアは、向かいに住む無口な老人、ミスター・ブラックの家にやってきた、ナタリー・クローバーという少女と出会う。彼女は事故の後遺症で一週間ごとに記憶喪失になってしまう、自称「毎週生まれ変わる」少女。親戚中をたらい回しにされ、夏休みが終われば孤児院に戻らなければいけないという。チェリータウンを訪れた記録を残すため、ナタリーは町を歩き回り地図を作り始める。町から出たことが無いソフィアは、週ごとに喋り方や態度が変わる破天荒なナタリーに困惑し時に反発するが、その自由さに憧れを抱いていく。
 ナタリーとの交流を通じて、ソフィアは自分が本当は父を愛していないこと、父から離れ自由に生きることを願っているのだと思い知らされる。そして本当の自分となるために「ディーン・フェイ」という名を自らにつける。ナタリーは隣町へ通じる橋の上に立ち、橋を渡って町を出よう、過去を捨てて生まれ変われと叫ぶ。しかしソフィアは父の呪縛から逃れられず、家に戻ってしまう。
 父の暴力により怪我をしたソフィアは、ミスター・ブラックから声をかけられる。彼からナタリーの生い立ちを聞いたソフィアは、改めてナタリーと友情を育み、初めて書いた詩をプレゼントする。
 数日後、ミスター・ブラックが老衰で亡くなり、孤児院から迎えがくるまでナタリーはソフィアの家で過ごすことに。二人は家の中で宝物探しをするが、物置に隠されていた手紙を父が見つけてしまう。その手紙は家を出た母からのもので、もうすぐソフィアたちを自分が引き取れるという内容だった。ソフィアはナタリーと共に、激昂する父から逃げようとするが、追い詰められてしまう。終わりを悟り最後の抵抗をしようとすると、エディが父の背後から現れ、父を殴り倒した。エディは警察と母に電話し、事情聴取を終えた兄妹は母に会うため町の外へ行くことに。ナタリーは別れの品としてもう一枚書いていた町の地図をプレゼントする。二人は互いの地図にサインをし、ソフィアは地図を手にエディと二人で橋を渡る。

集英社ライトノベル新人賞

お茶ねこ『勇者の弟子を派遣します』

遊んで暮らしたいがために魔神を倒して勇者の称号を得た主人公。だが強制依頼を次々と受けさせられることになり、ぜんぜん望みの人生を送れていない。そこに弟子志願の少女がやってきた。その少女を代役に立てることで、悠々自適のニート生活を送れると大喜びした主人公だが、鍛えているうちに情が移り、少女の初任務は陰からこっそり見守り助けている始末。そして二人目の少女が現れた。このままどんどん弟子が増えていくのか!?

最終選考委員講評より

Praiseぽぽん『ただし探偵は魔女であるものとする』

記憶喪失で目を覚ました主人公が、置いてあったメモのアドバイスを頼りに行動して、助けてくれる協力者のもとを訪ねる。そこでわかったのは、異能者の組織が世界の裏には存在していて、自分はそこでナンバー2の実力者だったということだ。しかしその人物(自分)は既に殺されている……はず。
主人公は協力者とともに、以前の自分を殺した敵を探すことになる。

最終選考委員講評より

集英社オレンジ文庫 短編小説新人賞

【第230回受賞作】
白坂小深『転生したら超つまらないOLになってしまったと嘆く人物が、私の後輩になった件』
本江蛹子『望月の下人語る』

【第231回受賞作】
山田麻矢『宝くじの行方』

つなべ夏『夏の橋渡り』


☃Note主のひとこと☃
集英社はライトノベルとそれ以外でキッパリカテゴリ分けがされているようですね。
ノベル大賞は割と間口広めですが、なろう系のようなライトノベルは受賞していないので、避けた方が無難。

編集側コメント

「講評指摘傾向」、もしくは項目内の選評をご参照ください。

受賞者コメント

柳井はづき氏
長いので抜粋。


Q.文学賞やインターネットへの投稿歴を教えてください。

小学校6年生(12歳?)のとき、小学館主催の「12歳の文学賞」に応募したのが最初です。それ以前から「小説家になるには何かの賞に応募しなければいけないらしい」くらいの認識はあったのですが、朝のニュース番組か何かでこの賞が紹介されていて、受賞者の男の子が小学生で作家デビューしているのを見て「これは出すしかない」と思いました。なお結果は箸にも棒にも引っかからず、1次選考で落選です。中学高校の間は田辺聖子文学館が主催しているジュニア文学賞へ応募を重ねていました。(この頃に雑誌コバルトを読んでいて短編小説新人賞のことを知り、「いつかは自分も」と思っているうちに休刊になってしまったので、当時はだいぶヘコみました……)
集英社の新人賞への投稿は、大学2年生の時に応募した第194回短編小説新人賞が初めてです。その後、文藝春秋社のオール読物新人賞へも1度だけ別の名前で応募しました。長編に苦手意識があったので、100枚以下の短編で応募できる賞にばかり投稿していました。ノベル大賞に応募したのは今回が初めてです。
ネット公開は性に合わなかったようで、アカウントは作りましたが1作投稿したきり更新がありません。

Q.投稿生活中一番思い出に残っているエピソードはありますか。

選考の結果が出た時のことは全て印象深いですが、短編小説新人賞で最終選考に残った時のことが一番思い出に残っています。なぜかサークルの部室で夜ひとりきりのタイミングだったのですが、結果発表のページを開いて自分の作品を見つけた瞬間でっかい声が出ました。三浦しをん先生が、プロの編集者の方々が、自分の書いた小説を読み批評までして下さるなんて、こんな嬉しいことがあっていいのかとひとしきり悶えました。この時に頂いたアドバイスと、なんとなく生まれた「やれるかもしれない」という自信が、その後投稿を重ねていく原動力になったので本当に感謝しています。

Q.受賞作を書こうと思ったきっかけは?

デュマ・フィスの『椿姫』の序盤に、見ず知らずの女性のお墓をとても愛しんで大切に世話している墓守が登場するのですが、そこから「恋した死者に毎朝花を捧げる年若い墓守」という映像が浮かんだのがきっかけです。

Q.受賞作は、小説を書き始めてから何作目ですか。

小説を書き始めてからは覚えていませんが、新人賞に投稿を始めてからは4作目です。

Q.受賞作の執筆にはどのくらいの期間をかけましたか?

物凄く遅筆なうえに紆余曲折あって結局1年以上かかりました。

Q.受賞作を書いていて一番苦労したことは何ですか?

何につけても、辻褄を合わせなければならないところです。書きたいシーンは最初から決まっていたのですが、そこへ持っていくまでに無数の矛盾や疑問点が浮上し、それらを違和感なく理屈づける作業に苦労しました。また、主人公が思いのほか特殊な人間に育ってしまったので、自分とは全く異なる精神構造をもつ人間の感情がどのように変化していくのか、想像するのに骨が折れました。

Q.執筆スタイルを教えてください。

コツコツやるのが苦手すぎるので、締切を決めたものについては書けるときに一気に書くパターンが多いです。

Q.執筆環境を教えてください。

ノートPCで、Wordを原稿用紙設定にして書いています。思いついた展開や文章・台詞はスマホのメモ帳に残してあるので、適宜参照します。
執筆するのに決まった場所は特にありませんが、自宅以外だとファミレスが多いです。

Q.月に何冊くらい本を読みますか?

コンスタントに読める方ではなく、おまけに何冊も併読する悪癖があるので、本当に月によってバラバラです。平均すると4、5冊くらい……? 殆どが小説です。青空文庫もよく利用しています。怪奇・幻想・耽美な雰囲気のある作品が好きなので、最近はそういうジャンルに偏りがちです。

Q.どんな時にアイデアが浮かびやすいですか?

シャワーを浴びている時や、自転車で移動している時など、他に何も出来ないタイミングが多いです。また、本や漫画、アニメ、映画など、作品を鑑賞しているときに連想ゲームのようにアイデアが浮かんでくることもあります。

Q.キャラ、ストーリー、シーンなど、どの要素から物語を作りますか?

まずシーンが浮かんで、そこからストーリーを考えるパターンが多いです。

Q.設定を考えてから書くタイプ? 書きながら設定を考えるタイプ?

設定を作ってから書くタイプだと思っているのですが、書いているうちに出現する設定の方が多いような気もします。

Q.小説を書くときにこだわっていることはありますか?

文章のリズムは気にするようにしています。同じ表現が続かないようにしたり、逆に対句のように繰り返してみたり。朗読したときに映える文章になれば良いなと思っています。また視覚的にもわかりやすいよう、漢字が続かないようにするとか。どこに読点をつけるか、どの字を開くかで、ずっと同じ文章ばかり眺めていることもあります。

Q.書き終わった小説は自分で読み返しますか?

作業を始めるときに毎回それまでの部分を読み返すようにしているので、受賞作も数え切れないほど読み返しました。ただ締切ギリギリまで書いていたので、終盤に近づくにつれ読み返す回数が減り、推敲が疎かになったことが今でも心残りです。

Q.大好きな作家を三人教えてください。

京極夏彦先生、森見登美彦先生、あと時代は遡りますが江戸川乱歩が好きです。

Q.大好きな小説を三つ教えてください。

京極夏彦『姑獲鳥の夏』、森見登美彦『宵山万華鏡』、江戸川乱歩『押絵と旅する男』

Q.小説以外で大好きな作品を三つ教えてください。

ミュージカル「オペラ座の怪人」、映画「ルパン三世 カリオストロの城」、アニメ「ユーリ!!! on ICE」

Q.作家を目指して投稿を考えている方に、アドバイス等あればお願いします!

一度書き始めた作品は時間がかかっても最後まで書き上げたほうがいいです。これは私自身が強く感じたことですし、実際に編集者の方も仰っていたことなので、結構信憑性が高いです。先が続かないという難関を一つ乗り越えるたびに、確実に書く力は上がっています。それに、その物語にエンドマークをつけることが出来るのは書き始めた人だけですから。自分の作品に思い入れをもって向き合うのが大切なのではないかと思います。
あとはもうとにかく「書き続けてください」。これに尽きます。


森ノ薫氏
あんまりノベル大賞に関係ない内容ですが、記事リンクを置いておきます。


傾向

  • カテゴリーエラーは余り見られない。女主人公・男主人公・成年・学生・社会人・ミステリー・ヴィクトリア朝や江戸時代が舞台の小説など、幅広く受賞している。敢えて傾向を言うなら、普段オレンジ文庫から出されていないタイプでありながらオレンジ文庫に寄せた小説

  • 逆にオレンジ文庫やライト文芸界で人気の「お仕事小説」「後宮小説」「あやかし物」は質が求められる。書くのが大好きで、小説にも愛が溢れてるような物の受賞が多い。

  • 色々なジャンルを受賞させている事も、女性向けでありながら男性の受賞者もいる事も魅力です。コバルト文庫時代同じジャンルを出し続け失敗した過去があるので、とにかく面白さ第一。

  • ただし、なろう系は早々に落とされている。

短編賞のゲスト選考員になった青木祐子さんはハッキリと「そしてこの賞はとても緩いです。エンタテインメント小説で、読者は女性が中心、軽い読み口のもの、というような制限はありますが、もともとコバルト文庫は少女に支持されるものでありさえすればジャンルは不問だったのです」と言っている。短編賞での話ではありますが、このスタンスはノベル大賞にも引き継がれていると予想される。

ほかに参考までに、
ノベル大賞でなく、短編小説新人賞の方ですが、「創作沼」様の記事リンクを記載します。


講評指摘傾向


上記4記事、最終選考作品5本に向けた選考委員による選評について、それぞれ指摘点をまとめるようチャットGPTに指示したもの。正確性は期待しないよう。

▶三浦しをん氏

1. 『Decks―ハンティングエリア―』物語の要素
近未来設定:「特権階級」と「非選択子」の分断社会。
密室サスペンスミステリ:豪華客船内で連続殺人事件が発生。
ラブストーリー:特権階級の女性(マイラ)が庶民男性(テグ)と協力し、自己解放を果たす。
肯定的評価
各要素が絡み合い、物語の展開がスムーズ。
主人公マイラが「世界への愛を取り戻す」という成長が心に響く。
課題
サスペンスミステリの要素に「無理」が感じられ、後半の展開に疑問が残る。
描写が曖昧なシーンがあり、登場人物の行動や位置関係がわかりにくい(例:客室のシーン)。

2. 『いつか忘れるきみたちへ』
物語の魅力
登場人物の多層的な心理描写:一人称で語られるが、批判的視点を内包しつつ、バランスの取れた表現。
読者に「他者理解」のきっかけを与え、説得力がある。
課題
誤字脱字が多く、推敲不足が目立つ。
描写の矛盾があり、キャラクターの行動や位置関係に混乱が生じる(例:ダイキとすずりのシーン)。

3. 『みなと荘101号室の食卓』
物語の魅力
食を通じた癒しの過程:茜と千裕の距離感が丁寧に描かれ、読者に共感を与える。
的確な比喩表現が印象的。
課題
ストーリーの進行が遅い:登場人物のトラウマが明かされるまで時間がかかり、推進力に欠ける。
周囲の人間関係の距離感が場面によって変動し、エピソードの配置が不自然。

総評各作品は独自の魅力を持ちながらも、描写の精度やストーリー展開に改善の余地がある。
特に『Decks』と『いつか忘れるきみたちへ』では、キャラクターの成長と他者理解が重要なテーマとなっている。
推敲や描写の工夫が加われば、さらに完成度が高まる可能性があると指摘されている。

▶今野緒雪氏

『いつか忘れるきみたちへ』
内容:主人公・憂と馨の兄弟関係を描き、憂が片付け業を通じて成長する物語。
指摘:兄弟のトラウマや憂の心酔の理由が不明瞭。
二人の同居生活が省略され、生活描写が浅い。
「いつか忘れるきみたちへ」というタイトルが内容に合わない。
表現が繰り返される箇所があり、整理が必要。

『Decksーハンティングエリアー』
内容:豪華客船が舞台のミステリー。階級差がある社会を背景に、主人公が事件を解決しようとする。
指摘:事件の首謀者の動機や計画が不明確。
特性(ネイチャー)の設定が物語に活かしきれていない。
キャラクター同士の関係が感情的だが結末が平坦。
科学的な設定に対する説明不足が気になる。

『みなと荘101号室の食卓』
内容:食事を通して心に傷を抱える登場人物たちが癒やされていく過程を描いた物語。
指摘:ラストで茜が味覚を完全に失う理由が不足している。
比喩表現に違和感があり、推敲が必要。
作中の介護設定に現実とのズレがあり、細部が不自然。

『春になれば、桜は。』
内容:心に傷を負った少年少女が交流し、家族の問題に向き合う話。
指摘:家族の問題が話し合いだけで解決するのは現実味が薄い。
父親の存在感が希薄で不自然。
緑のトマトを生で食べる描写に誤りがあり、伏線も弱い。

『筆と踊る』
内容:パフォーマンス書道を題材に、登場人物たちの過去と成長を描いた作品。
指摘:途中で視点が切り替わる構成が不安定。
キャラクターの心情や過去が会話のみで説明されている。
女性キャラクターの個性が類似しており、描き分けが必要。
八重桜先生の行動に問題があり、物語の整合性に欠ける。

総評:全体的に魅力はあるが、細部の矛盾や説明不足が目立つ。
特にキャラクターの心情描写や設定の整合性を高めることで、物語の深みが増すと指摘されている。
推敲を重ね、書き続けることで改善の余地がある作品群と評されている。

▶似鳥鶏氏

特に「書き手の好き」が読者の「面白い」につながる方法や、物語作りでの工夫の重要性が述べられています。選評では、作者が自分の「好き」を追求することで物語に魅力が生まれると評価する一方、掘り下げや調査が不足している作品に対しては改善点を具体的に指摘しています。

主な指摘点と改善の提案:
全体の趣旨:
新人賞は「競争」ではなく、編集者の「宝探し」に例えられている。
小説は「自分の好き」を掘り下げる作業だが、単に好きなものを書くだけでなく、しっかり調べる必要がある。

『春になれば、桜は』の評価と指摘:良い点:
シリアスなテーマでも読みやすい文章。
十代の視点をうまく表現した言い回し(例:「わたしとゆみちゃんの関係」についての葛藤)。
「読者の視野を狭め、後で広げる」という構成が良い。
問題点:
前半と後半で話の重さがアンバランス(前半は軽いが、後半は重すぎる)。
文章の掘り下げ不足:
平凡な表現や擬音が多用されており、表現に工夫が足りない。
設定の取材不足:
介護や視覚障害について事実誤認が見られ、説得力が欠ける。
登場人物の行動に不自然さ:
周囲の大人が無責任に描かれている。
解決があっさりしすぎ:
母親との和解が簡単すぎて、深掘りが不足。
改善案:
プロットを事前にしっかり組む
表現を再考し、立ち止まって掘り下げる
書き上げた後に時間をおいて再読・修正する

『いつか忘れるきみたちへ』の評価と指摘:
良い点:
人物造形が立体的で、登場人物がリアルに感じられる。
主人公の「選ぶことがストレスになる」というユニークな心理描写が面白い。
奈々さんの片付け術や仕事ぶりにリアリティがあり、説得力がある。
問題点:
説明不足:
なぜ主人公が「選択」に対してそこまで負担を感じるのかが不明。
行動に疑問点:
友人たちが酩酊したすずりを初対面の男性に任せる展開が不自然。
背景の深掘り不足:
キャラクターの極端な行動に、理由が明確でない部分がある。

まとめ:
両作品に共通するのは「好きなことを書いている」という点で、作者の熱意が伝わる一方、物語の掘り下げや調査不足が課題として指摘されています。作者が自身の作品を客観的に見直し、設定や表現に磨きをかけることが、より「面白い」作品につながると助言されています。

▶丑尾健太郎氏

総評:選考委員の視点と感想
脚本家として「異なる視点」を持つことが求められ、選考に参加。
選考会の過程は長時間で濃密な議論が行われた。
各作品に対して公平かつ具体的な講評を提供し、長所と短所を明確に指摘。

各作品の要約と指摘点
『いつか忘れるきみたちへ』
評価
:洗練された文章と巧みな心理描写が魅力。主人公が前向きであり、読者が共感できる内容。
指摘:結末が既視感のあるものだが、そこに至る過程の丁寧さが魅力。映像化には不向きな面もある。

『Decks―ハンティングエリア―』
評価
:パワフルな文章と緊張感ある描写で、読者を引き込む力が強い。
指摘:設定と展開にズレがあり、初期の期待感が裏切られる。主要キャラの死が雑に扱われるのもマイナス。

『みなと荘101号室の食卓』
評価
:味覚障害をテーマにしたユニークな視点と、リアルな会話描写が優れている。
指摘:主人公にドラマ性が欠け、物語が進む方向性が不明瞭。また、展開が唐突に変わる場面がある。

『春になれば、桜は』
評価
:テンポ良く読みやすい文章で、若い読者に親しまれる可能性が高い。
指摘:家庭問題や色覚異常の描き方が典型的すぎて深みが欠ける。物語のご都合主義的な部分も目立つ。

『筆と踊る』
評価
:題材がユニークで青春映画に適しており、作者の執筆の楽しさが伝わる。
指摘:「全てを描いてしまう」冗長さがあり、省略と強調が不足。全体的に一本調子で起伏に欠ける。

総合的な指摘
良い点:どの作品も独自の魅力があり、作者たちのポテンシャルを高く評価。
課題:冗長さやご都合主義、物語の方向性が曖昧な点など、改善の余地がある。

この講評は、作品の長所と短所を的確に指摘しながらも、各作者の将来への期待を示し、建設的なフィードバックを与えています。

ChatGPT的には評価が高い文章らしい


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