KADOKAWA社「電撃大賞」 要点まとめ
参考にさせていただいた記事
https://archive.md/2020.05.08-024718/http://dengekitaisho.jp/novel_interview_05.html
要点
『硬派で独創性が高いファンタジー』『介護や孤独死といった社会的なテーマを取り入れたライト文芸』、『不思議な要素を含んだ青春モノのライト文芸』など、男性向けのライトノベル作品が受賞している
面白い=いかに先が気になるように書けているか を重視している
好きなこと=これからの流行を創れる作家(作品)を求められている
応募要項
電撃小説大賞のここがすごい!
・受賞作は、電撃文庫・メディアワークス文庫・電撃の新文芸などから出版されます。
・最終選考に残ると、受賞する、しないにかかわらず必ず担当編集がつきます。
・1次選考以上を通過すると、電撃文庫&メディアワークス文庫&電撃の新文芸の編集者による選評が必ずもらえます。
・出身作家の作品が続々とメディアミックスしています。
・受賞を逃しても、選外からデビューした作家が多数活躍しています。
第32回電撃大賞 電撃小説大賞
応募要項
大賞及び各賞受賞作品は弊社から出版されます。
1次~2次選考通過作に選評をお送りします。
3次選考通過作(最終選考作のぞく)に複数名による選評をお送りします。
最終選考作の作者には、担当編集がついてアドバイスします。
※選評の送付時期は受賞作の発表後、2025年12月末頃を予定しております。
募集内容
オリジナルの長編及び短編小説。
ファンタジー、SF、ミステリー、恋愛、青春、ホラーほかジャンルを問いません。
未発表かつ日本語で書かれた作品に限ります (他の公募に応募中の作品は選考対象外となります)。
ご自身で執筆された物だけが選考の対象となります。
賞・賞金
大賞 正賞 記念品+副賞 賞金300万円
金賞 正賞 記念品+副賞 賞金100万円
銀賞 正賞 記念品+副賞 賞金50万円
メディアワークス文庫賞 正賞 記念品+副賞 賞金100万円
電撃の新文芸賞 正賞 記念品+副賞 賞金100万円
※いずれの賞も、該当作品が選出されない場合があります。
※各賞受賞作は、電撃文庫・メディアワークス文庫・電撃の新文芸などから出版されます。
※各賞⾦の金額は、消費税込の⾦額であり、 また、別途源泉所得税が徴収される場合があります。
応募資格
不問。
最終締め切り
2025年4月10日 23:59
選考方法
2025年4月10日の締め切り後、1次~最終選考を電撃文庫、メディアワークス文庫、電撃の新文芸編集部が行い、大賞及び各賞の受賞作品を決定します。
※「カクヨム」で応募された作品については、カクヨムでの読者評価と編集部からピックアップされた作品が1次選考作品としてエントリーされます。
最終選考審査員
電撃文庫編集部
メディアワークス文庫編集部
電撃の新文芸編集部
特別選考委員
支倉凍砂(作家)
発表
受賞作品は、2025年11月中旬より、以下の媒体にて発表予定です。
電撃大賞の公式ホームページ上
https://dengekitaisho.jp/
※なお、各選考段階 (1次~4次) の通過者については、2025年夏頃より上記媒体にて順次発表していきます。
作品規定
▶「Web応募サイト」での応募規定
・応募できるデータ形式は、テキスト(txt)、MS Word(doc, docx)、OpenDocument(odt)、一太郎(jtd)、PDF(pdf)のみとなります。これら以外のデータ形式でのご応募は不可とします。
・応募できるファイルサイズは、1つにつき10MBまでとなります。
・MS Word2007、OpenDocument、一太郎形式の応募用フォーマットを用意しておりますので、応募の際にご利用頂くと便利です。(本フォーマットを使用しなくても、応募規定を満たしたファイルであればご応募可能です)
〔長編〕 = ワープロ原稿の場合 80~130ページ。 テキスト(.txt)以外の形式の場合は縦書き。
〔短編〕 = ワープロ原稿の場合 15~30ページ。 テキスト(.txt)以外の形式の場合は縦書き。 ※1ページ=42文字×34行で設定してください。
・ファイルの0ページ目に作品タイトル、ペンネーム、あらすじ(800字以内)を記載し、本文は1ページ目から開始してください。
・一度アップロードした作品の修正・削除はできません。アップロード前によくご確認のうえ、アップロードをお願いします。
カクヨムからの応募規定
▶応募方法
応募作品を「カクヨム」の投稿画面より登録し、紹介文に800字程度のあらすじを記入してください。
小説投稿ページにあるタグ欄に「第32回電撃小説大賞」 のタグ(※32は半角、タグに「」は含まれません)を入力することで応募完了となります。
応募が完了した時点で、応募者は本応募要項を契約の内容とすることに同意したものとして取り扱われます。
※「カクヨム」から応募する場合は、「カクヨム」に会員登録していただく必要があります。
※2025年4月10日23:59の時点で「第32回電撃小説大賞」(32は半角、タグに「」は含まれません)のタグがついている作品のみ、選考対象となります。
※応募方法に不備があった場合は選考の対象外となります。
▶作品形式
・応募受付期間の締切時点までに本文が
〔長編〕10万字以上15万字以内で完結していること。
〔短編〕1万字以上3万字以内で完結していること。
・応募受付期間の締切時点までに「あらすじ」の入力が完了しており、800字程度に収まっていること。また、完結した作品には「完結」にチェックをつけてください。
・既に「カクヨム」上で公開されている作品についても、小説作成画面から応募することが可能です。
・応募受付期間の終了後に作品の修正をしても、審査には反映されません。また、応募受付期間終了後であっても、応募作品を非公開・削除すると、当該作品は選考対象外となる場合があります。
応募方法/応募先
「Web応募サイト」での応募 ・ご応募いただく場合は、予め「Web応募サイト」への登録が必要です。 ・作品の応募は、ログイン後のマイページから行なってください。 「カクヨム」での応募 ・「カクヨム」から応募する場合は、「カクヨム」に会員登録していただく必要があります。 ・応募作品を「カクヨム」の投稿画面より登録し、「紹介文」スペースにあらすじを800字程度で作成してください。 小説投稿ページにあるタグ欄に「第32回電撃小説大賞」のタグ(※32は半角、タグに「」は含まれません。「」を記載すると応募できません)を入力することで応募完了となります。
▶注意事項
・複数の別作品を応募することは可とします。
・同じ作品を同時期に、他のコンテストに応募すること(二重投稿)、他のコンテストに入賞実績のある作品を応募することは禁止させていただきます。これらに該当することが判明した場合、当該作品は選考対象外となります。
・「Web応募サイト」と「カクヨム」それぞれでの別作品の応募は可とします。(同一作品の二重送付は不可とします)
・選考に関する問い合わせにはお答えできません。
・営利を目的とせず運営される個人のウェブサイトや同人誌等での作品掲載は、未発表とみなし、応募を受け付けます。(ただし、必ず掲載したサイト名または同人誌名を明記してください)
・ご応募いただいた作品は、応募期間中(ご応募されてから、受賞・落選が判明するまで)は、新たに同人誌などに掲載することをお控えください。また、「カクヨム」以外のウェブサイトに掲載されている作品は、ウェブサイトへの掲載を取りやめるか非公開設定にしてください。
・未成年の方は、保護者(法定代理人。以下同じ)にも本応募要項をお読みいただき、保護者の同意を得たうえでご応募ください。応募完了の時点で、本応募要項を契約の内容とすることにつき、保護者の同意があったものとして取り扱われます。
・応募者は、応募完了の時点で、応募作品が第三者の著作権その他の権利・利益を侵害していないことを保証したものとして取り扱わせていただきます。
・第三者の著作権その他の権利・利益を侵害する又は侵害する可能性が高い作品(パロディ、模倣を含みます)、特定の個人・団体を誹謗・中傷する作品、過度な性描写・残虐描写を含む作品、公序良俗に反する内容の作品、カクヨム利用規約に違反している作品、本応募要項に違反している作品、その他選考委員が相応しくないと判断した作品は選考対象外となります。
賞
大賞 正賞 記念品+副賞 賞金300万円
金賞 正賞 記念品+副賞 賞金100万円
銀賞 正賞 記念品+副賞 賞金50万円
メディアワークス文庫賞 正賞 記念品+副賞 賞金100万円
電撃の新文芸賞 正賞 記念品+副賞 賞金100万円
※いずれの賞も、該当作品が選出されない場合があります。
※各賞受賞作は、電撃文庫・メディアワークス文庫・電撃の新文芸などから出版されます。
※各賞⾦の金額は、消費税込の⾦額であり、 また、別途源泉所得税が徴収される場合があります。
入選点数
10点未満
注意事項
・2025年11月以降に都内にて贈呈式を行う予定です。
・受賞者(各賞を受賞した者。以下同じ)は、株式会社KADOKAWA(以下「弊社」といいます)に対し、応募作品が受賞した時点(受賞者に対し弊社から受賞のご連絡をした時点又は結果発表時点のいずれか早いほう)で、受賞作品の利用(書籍化、電子書籍化、コミック化、アニメ化、実写映像化、ゲーム化、商品化、デジタル商品化等、受賞作品を翻訳・翻案・複製等したうえ利用することをいい、当該利用を第三者に再許諾すること等を含みます。以下同じ)を独占的に許諾することにつき、予め承諾するものとします。
・応募作品が受賞した場合には、受賞者は、弊社の事前の書面による承諾なくして、受賞作品を自ら利用し、又は弊社以外の第三者に利用させることはできないものとします。
・受賞者は、応募作品が受賞した場合、弊社との間で、受賞作品の利用に関する契約を締結すること、受賞者が当該契約の締結を行わない場合には受賞が取り消されることがあることにつき、予め承諾するものとします。なお、受賞作品の利用が行われた場合には、弊社から受賞者に対し、当該利用の対価として、弊社所定の金員が支払われます。
・受賞者は、KADOKAWAと前項の契約を締結するにあたり、法令、規程等(公務員の服務規律に関する法令及び受賞者の所属企業等の服務規律に関する規程を含みます。以下「法令等」といいます)を遵守するとともに、必要な手続きがある場合は、法令等に従い、契約締結日までに当該手続きを行うこと、また、当該手続きが履践されていない場合には、受賞が取り消されることがあることにつき、予め承諾するものとします。
・結果発表後に選考対象外となる事実が認められた場合、受賞が取り消され、賞金等をお返しいただく場合があります。
・応募者は、自己の責任と負担において本コンテストに応募するものとします。
・本応募要項に違反した結果、応募者が弊社又はその他の第三者に損害を与えた場合、当該損害を賠償していただきます。
・弊社は、本コンテストに関連して応募者に生じた損害については、弊社に帰責事由がある場合を除き、一切責任を負わないものとします。なお、弊社が責任を負う場合であっても、弊社に故意又は重過失がある場合を除き、弊社が応募者に賠償する損害は、応募者に現実に生じた直接かつ通常の損害に限られ、応募者の特別損害、間接損害、逸失利益及び弁護士費用並びにこれらに類する損害については、弊社は一切責任を負わないものとします。
・弊社は、弊社が必要と判断した場合は、応募者の同意を得ることなく、本応募要項を変更することができるものとします。なお、本応募要項を変更する場合、弊社は、その変更の時期及び内容を電撃大賞の公式ホームページに掲載し、又は応募者に通知します。
・応募者の個人情報は、弊社の個人情報保護の方針の定めるところにより、取り扱わせていただきます。なお、弊社は、1次選考以降の通過者の氏名(ペンネーム)を公表いたします。
・本応募要項は、日本国法に準拠し、日本国法に従って解釈されるものとします。また、本コンテストに関連して弊社と応募者との間に紛争が生じた場合は、東京地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所として、当該紛争等を解決するものとします。
主催
株式会社KADOKAWA
▼電撃小説大賞 歴代受賞作
【2022年】
大賞
榛名丼 「ドッペルゲンガーは恋をする」(レプリカだって、恋をする。)
金賞
四季大雅「ミリは猫の瞳のなかに住んでいる」
彩月レイ「勇者症候群」
メディアワークス文庫賞
塩瀬まき「賽の河原株式会社」(さよなら、誰にも愛されなかった者たちへ)
銀賞
五月雨きょうすけ「マリーハウスにようこそ 〜ファンタジー世界の結婚相談所〜」(クセつよ異種族で行列ができる結婚相談所 〜看板ネコ娘はカワイイだけじゃ務まらない〜)
選考委員奨励賞
成東志樹「透過色彩のサイカ」(君が死にたかった日に、僕は君を買うことにした)
【2023年】
大賞
夢見大蛇之介(夢見夕利)「魔女に首輪は付けられない」
fudaraku「竜胆の乙女 / わたしの中で永久に光る」(竜胆の乙女 わたしの中で永久に光る)
金賞
那西崇那「歪み絶ちの殺人奴隷」(蒼剣の歪み絶ち)
↑この作品については、作者ご本人の考察記事があります。併せて是非ご覧下さい。
メディアワークス文庫賞
羽洞はる彦「残月ノ覚書 ―秦國博宝局心獣怪奇譚― 」
銀賞
長山久竜「億千CRYSTAL」(星が果てても君は鳴れ)
柳之助「簡単なことだよ、愛しい人」(バケモノのきみに告ぐ、)
選考委員奨励賞
畑リンタロウ「Bloodstained Princess」(汝、わが騎士として)
奈々宮熊財(芝宮青十)「フィギュアのお医者さん」(美少女フィギュアのお医者さんは青春を治せるか)
にのまえあきら「偽盲の君へ、不可視の僕より」(無貌の君へ、白紙の僕より)
【2024年】
大賞
電磁幽体『妖精の物理学―PHysics PHenomenon PHantom―』
なんと! 今ならまだ無料で読めちゃいます。
kakuyomu.jp
金賞
神宮寺文鷹『君の電波にノイズはいらない』
メディアワークス文庫賞
姉崎あきか『タロットループの夏』
メディアワークス文庫賞・川原礫賞
アズマドウアンズ『古典確率では説明できない双子の相関やそれに関わる現象』
電撃の新文芸賞
水品知弦『明けの空のカフカ』
こちらも無料で読める。
kakuyomu.jp
銀賞
助六稲荷『怪奇! 巨大な亀に街を見た! 聖女とチンピラとデカケツ獣人VS邪悪な黒ギャル軍団』
▼KADOKAWA社が行っているほかの文学賞の直近回受賞作
角川春樹小説賞
第16回角川春樹小説賞
『真令和復元図』 桜田 光
MF文庫Jライトノベル新人賞
最優秀賞
滝波酒利「マスカレードコンフィデンス」(マスカレード・コンフィデンス 詐欺師は少女と仮面仕掛けの旅をする)
優秀賞
及川輝新「偶像サマのメシ炊き係!」(俺の背徳メシをおねだりせずにいられない、お隣のトップアイドルさま)
三船いずれ「青を欺く」
審査員特別賞
夜方宵「探偵に推理をさせないでください。最悪の場合、世界が滅びる可能性がございますので。 」
佳作
眞田天佑「不確定性青春」(多元宇宙的青春の破れ、唯一の君がいる扉)
改太(優汰)「この恋、おくちにあいますか?」(この恋、おくちにあいますか? 〜優等生の白姫さんは問題児の俺と毎日キスしてる〜)
小説 野性時代 新人賞
第15回〈小説 野性時代 新人賞〉
『海賊忍者』諏訪宗篤(すわ・むねあつ)
『みずもかえでも』関 かおる(せき・かおる)
角川文庫キャラクター小説大賞
第9回 角川文庫キャラクター小説大賞
『王は銀翅の夢を見る』佐木真紘
横溝正史ミステリ&ホラー大賞
北沢 陶「をんごく」
編集側コメント
上記記事より抜粋。今回は編集部でなく特別選考委員の支倉先生の記事です。
――もしも今、支倉先生が電撃大賞に応募するとしたら、どんな作品を書きますか?
支倉 いやあ……ちょっと想像できないですね。自分が『狼と香辛料』を応募した当時は学園異能ものが多くて、商人が主人公の作品で大きくヒットしたものはほとんどなかったとか、文芸に対するラノベの立ち位置もハッキリしていて、仮想敵を想像しやすかったです。そこで自分は一般文芸とラノベの間くらいを狙って作品を作って、ついでに趣味で獣耳を入れて……と戦略を立てやすかったです。結果からいってもそれがハマったのかなと。今はジャンルが多種多様になっていて、狙うべきものがわからないです。
電撃文庫編集部 今は日常もので、キャラクター(ヒロイン)に特殊な個性を付けて、その魅力で突っ走るような作品が多い印象です。
支倉 今は流行というものを語れない気がします。いろいろなジャンルの作品が出てきているので、多様性という意味では今が一番でしょう。そんななかで今自分が作家になろうと思ったら、ラノベの賞には応募しない気がします。大変すぎて(笑)。まだ文芸のほうがジャンルが絞られているので、戦略を立てやすい気がします。
――特別選考委員としては、投稿者にどういう作品を応募してほしいですか?
支倉 あまり特定のジャンルを送ってほしいみたいなものはありません。強いて言うなら、“前のめりな作品”が読みたいです。「よくできてるけど、こなれているな」という作品より、大分文章が怪しかったり展開が空回りしていたとしても、熱量を感じられる作品が読みたいです。
――支倉先生が読まれた書籍の中で、そうした熱量を感じた作品はありましたか?
支倉 パッと思い浮かぶのは『君の膵臓をたべたい』(住野よるさん著/双葉社/2015年)です。とにかく熱量がすごくて、持っているものを全部吐き出してる感が強烈で、ストーリーとは別のところでハラハラしながら読んでいました。こんなにすごい熱量で書いてしまったら次の作品書けるのだろうかと心配していたら……まったく問題ありませんでしたね(笑)。
――小説家として活動を続けるうえで大切だと思うようになったことはありますか?
支倉 資料を読み続けることです。歴史の本や、中世ヨーロッパに関する本が多いです。『狼と香辛料』を書いている時、ネタはすでに3巻くらいで尽きていましたから(笑)。常に外部から情報をインプットしていけば、なにかしらアイデアが降りてくる……というイメージです。
――ちなみに、作品を作るという目的で年間に読んでいる本の量はどれくらいですか?
支倉 80冊くらいです。そのなかで物語に直接役立つのは1~2割くらい、2割くらいはまったく役に立ちません。それ以外は自分の知識の周辺を埋めてくれるという感じですかね。とはいえ、何が後々役に立つかはわかりませんから、おもしろかろうがおもしろくなかろうが、定期的に読み続けるように心がけています。
電撃文庫編集部 以前何かを書こうとした時、最低3冊はそのジャンルの本を読むとおっしゃっていましたが、その3冊はどう決めているのでしょう?
支倉 学生の時は有名な本を選んでいましたが、今はランダムに決めています。ただしタイトルに“〇〇入門”と書いてある本は手に取らないようにしています。そうして2~3冊と読んでいくと、だんだん同じ話も出てきて、自分のなかに“地図”ができてくる感覚があるんですよ。“地図”ができてきたら、あとはまだきちんと描かれていない場所を埋めていく感覚ですね。
――そうなると、3冊目を読み終わったあとに1冊目を読み返すことなどもあったりしますか?
支倉 本当はそうしたほうがいいのでしょうが、“積ん読”している本が山ほどあるので、読み返すことはめったにしないです。ですが読む本が多くなってくると、以前読んだ本をまた買ってしまう……なんてことはありますね。ただ、同じ本を読んでも付箋を貼る位置が違っていたりして「旅を経た成果が出ているぞ」と感じたこともあります。最初に読んだときにすくい切れていない部分をちゃんと読めているという点に、喜びを感じました。まあ、そもそも同じ本を買う時点でダメなんですが(笑)。
――ご自身が小説を執筆される際に大切にしているポイントをいくつか教えてください。
支倉 “起承転結”です。自分は少年誌の連載みたいに起承転転転転……みたいな、ずっと盛り上げ続けるタイプの作品や日常ものは書けないと思っているので、起承転結を手掛かりにしています。起承転結をしっかり作るには何か事件が必要なので、そのネタを外から読書などで拾ってくるというのが、自分にとっての一種のスタイルになっていますね。
あとは“説明はちゃんとキャラクターにしゃべらせる”、“設定資料集にしない”などですね。たまに設定資料集になっていてもおもしろい作家さんもいますが……修羅の道だと思います(笑)。その他に自分のこだわりとしては“メインヒロインは1人”、“誰も死なせない”というのもあります。
――“誰も死なせない”というのはどういう狙いがあるのでしょう?
支倉 ハッピーエンドが好きなので、自分の好みとして大事にしています。“キャラクターたちが誰かの死を乗り越えていく”という作品はあまり好きではないので。多分自分の本を読んでくれる人たちも、そういうテイストは期待していないと思っています。一回ドン底に落ちたとしても、最終的には元に戻るようにしています。
――『狼と羊皮紙』シリーズを書くうえで大変だったことはありますか?
支倉 長く続いてきた『狼と香辛料』シリーズが下敷きとしてあるので、やれないことがすごく多いということが大変です。選択肢が少ないなかで、新しいことをしないといけないのが辛いところですね。『狼と羊皮紙』以外の作品を書いた時は「小説を書くのってこんなに簡単なのか!」と思いました。
――ご自身の経験から、書くことに苦しくなってしまった方に何かアドバイスはありますでしょうか?
支倉 それでもやはり書くしかないですね。辛くても、書いてから悩むしかないと思います。島本和彦先生の作品でも「駄作を作る勇気!」というセリフもありますし(笑)。駄作でも出さないよりはマシと思って書くしかありません。ちょっと前の「小説を書くのって……」というのはあくまで『狼と羊皮紙』と比べたら、ということであって、自分が小説を楽に書けたことは一度もありませんので、とにかく完成させてみることが大事だと思います。
――書く時のルーティーンみたいなものはありますか?
支倉 家では100%書けないので、起きてやる気がなくても喫茶店に行きます。喫茶店で原稿を書けなくても、何か資料を読む。それもダメなら書店に本を買いに行く。という風に、1日のなかで何かしら創作に関する前向きなことをするようにしています。
――現在小説を執筆されている皆さんに、特別選考委員として激励の一言をお願いします。
支倉 本を1冊完成させるのはそれだけですごいことです。頑張って完成させて、応募しましょう! 自分で書いていておもしろいか疑問に思う瞬間がきっとあるかと思います。自分も『狼と香辛料』を書いている時に全然おもしろくないと感じていたシーンが評判よかったりしたので、とりあえず書いてみることをオススメします。おもしろくないと思っても、ひとまず完成させることが大事です。
受賞者コメント
①渋谷瑞也先生 上記記事より抜粋
――これまでに漫画やラノベ、アニメといったサブカルチャーにも多く触れてこられたのでしょうか。
そうですね。小さい頃からゲーム、本、漫画には触れてきました。アニメを見始めたのが高校生の頃で、アニメ好きの友人に引き込まれました(笑)。当時は『けいおん!』や『化物語』が話題になっていた時期で、いろんな分野に一通り触れていたと思います。こちらは食べ物と違って好き嫌いなくいろんなものに触れてきました。
――なるほど(笑)。第25回では《金賞》が上位の賞となったわけですが、本作は剣道を題材にしたカテゴリとしては珍しいタイプの作品だと思います。あらためて受賞作『つるぎのかなた』がどんな物語なのか教えてください。
本作の主人公は剣道を辞めた少年、水上悠です。非常に強く敵なしの剣道の腕を持っていながら、剣道を好きではないと口にして、普通の生活を送ろうとしているんです。そして、本作には剣道がものすごく強い主人公級の乾兄妹も登場します。兄の快晴は18歳以下では最強と言われるほど強いんですが、そのことが全然嬉しそうではなくむしろ悲しんでいるかのような節さえある少年です。妹の吹雪も剣道は強く、兄の背を追いかけているものの、気持ちとしては何ひとつ満たされない日々を送っている少女です。剣道から去った少年と、思うものがありながらも剣道を続けている兄妹。そしてもう一人、悠を剣道の道に再び引っ張り込むことになる剣道初心者で後輩でもある深瀬史織。彼女の行動や考えによって、悠は剣道部へ所属することになり、乾兄妹の妹である吹雪との出会いを経て、彼を取り巻く環境が一気に変化していきます。剣道を辞めなかった人達の想い、強かったのに悠が剣道を辞めた理由、それぞれ雁字搦めでもがき苦しんでいる少年少女の交流と気持ちを描いた作品ですね。
――この作品では心理的な描写も多く描かれていて、特に印象深かったのが男性陣よりも女性陣の精神的な芯の強さでした。
そうですね。この作品の特徴でもあるんですけど、剣道の強さと人間としての強さはイコールになっていません。ある程度年齢を重ねてしまうと、1年や2年の年齢差は大した重みではなくなると思うんですけど、高校生の1年や2年という時間はとても重たいと思うんです。そんな中、悠は一人で袋小路に迷い込んでしまっているのですが、一年後輩の史織から見たらそこまで行き詰まるような話には見えていないんです。だから彼女は悠の事情をよそに、彼を剣道の道へ戻そうとするんです。これは時間の重みを重要と考えるからこそ、その重さを飛び越えてくる存在の重要性にも繋がると思っています。相手の心を読めるわけではないからこそ、キャラクターたちの立ち居振る舞いはかなり意識して描いている点でもありますね。
――少年少女の青春の一ページを切り取って描かれる本作ですが、剣道を題材にした理由はなんだったのでしょうか。
剣道を題材として選んだのはスポーツものをやりたくて選んだというわけではないんです。剣道はスポーツではなく、武道。これは武道の物語ですし、言うならばバトルものの亜流であるとも思っています。この作品は執筆を始めて5作目か6作目くらいだったと思うんですが、それまではタイムリープものであったり、難しい題材を扱っていました。そういった作品での応募を繰り返す中で、第23回の電撃小説大賞で3次選考まで残ることができ、自分の面白いと考えていることが大きくズレていないという確信を得ることができました。そこで考えたことが、奇をてらう設定は一度やめて、基本に立ち返ってシンプルに作品を書いてみようということでした。自分の面白さのベクトルがズレていなければきっと評価をしてもらえるに違いないと考えたわけです。剣道を選んだのは自分自身が中学・高校と剣道をやっていて取材をしなくても書ける題材だったことと、世の中に自分が納得のできる剣道ものがなかったということが大きかったです。
②榛名丼先生 上記記事より抜粋
――小説や漫画やゲームなど、エンタメ系でお好きなものはありますか。
遊び続けているゲームで言うと、スマホアプリの『Fate/Grand Order』はかなり長くやっていますね。あとは『艦隊これくしょん』もサービス開始時からずっと続けているので、趣味のひとつかなと思います。
――どちらもかなり長い期間運営されているゲームですが、長期間遊び続けている魅力はなんなんでしょう。
これはあくまで私の場合なんですが、私はどんなコンテンツでも、いわゆる「推し」ができると、のめりこんで何年間も楽しめるんですよね。何にハマるにしても、キャラクターにハマれないとあまり続かない傾向があります。Fateで言うと、それこそ『Fate/stay night』からギルガメッシュが好きで、FGOにもそのままのめり込むことになりました。『艦隊これくしょん』では五月雨ちゃんっていう可愛い女の子がいるんですけど、もうずっと好きで、その子を追いかけ続けるために遊んでいます。ライトノベルや漫画でも、キャラクターにハマらないとハマれない感じはしていますね。
――小説の執筆は小学生の頃からやっていたということですが、具体的に自分で書いてみようと思ったきっかけはなんだったのでしょうか。
これは明確に覚えていて、自分には2歳年上の姉がいるんですけど、小学生の当時、姉の真似をすることにハマっていたんですね。そして姉が突然「小説家になる」って言いだして、「それじゃあ私もなる!」みたいな感じで書き始めました(笑)。もちろんずっと書き続けていたわけではなく、大学生の頃からライトノベルなどもほとんど触れなくなってしまったんですけど、就職してから「小説家になろう」の存在を知って、また小説を書き始めるようになりました。
――お姉さんの真似からのスタートという、すごく小学生らしい理由からの始まりだったんですね(笑)。
そうですね。姉はその後小説家になることはありませんでしたが、読書量で言うと私よりも圧倒的で、毎日ずっと本を読んでいます。私がたまに小説の展開に悩んだ時に相談することもあって、アドバイス的なことはかなりしてもらっていますね。また、姉は図書館で働いていて、職場全体で応援もしてもらっているのもすごくありがたいです。姉経由でファンレターやプレゼントをいただいたり、サインを書かせていただいたり。ただ、相談には乗ってくれるんですけど、最近は積極的に私の本を読んでくれている様子はないですね。「読んだ?」って聞いても「ほかの本を読んでいる」って言われるので(笑)。
――ありがとうございます。それではあらためて、第29回電撃小説大賞「大賞」受賞の率直な感想をお聞かせください。
もともと担当編集さんからは「最終選考が終わった時点でお電話を入れる」とお伝えはいただいていました。でも電話がかかってきた時にいつもとは違う番号で、不審な電話だと思って取らなかったんですよ(笑)。その後よくよく考えると選考の件かと思い、またお電話をいただいてお話をしたんですけど、その一言目が「残念ですが……」って言われて(笑)。
――電撃文庫編集部の伝統は脈々と受け継がれていますね(笑)。
あれ伝統なんですか!(笑)。ただ、言われた身としては「残念ですが……」の一瞬で、頭の中をコスモが巡りましたよね。数秒ですけど、それこそ走馬灯みたいな。その後に「大賞です」って言われたんですけど、私自身ふわっとした感じになってしまって、うまく自覚できませんでした。それで連絡をいただいた日に夢を見たんですけど、その夢でもずっと「残念ですが」って言われ続けるという(笑)。何度も「残念ですが」と言われる夢を見て、もうどっちが現実なのかわからなくなりました。「残念ですが普通にダメでした」という現実を、私の脳が「大賞を獲った」って勘違いした可能性もあって、すごく不安な気持ちになりました。さすがに今は大丈夫ですけど、いまいち「やったー!」みたいな感情の発露はなかったんですよね(笑)。
――あらためて受賞を自覚、あるいは確信したのはどのタイミングだったんですか。
私自身、なんら確信を持てないまま贈呈式に向かったんですけど、その際にみなさんがすごい「おめでとうございます」って言ってくださって、「あ、現実だったんだ」って感じました。それまでは改稿作業こそ進んでいましたが、ずっと疑心暗鬼にとらわれていましたね(笑)。
――なるほど。榛名丼先生は既に作家デビューされている身ですが、電撃大賞にあらためて応募した理由はなんだったのでしょうか。
実はまだ作家デビューをしていなかった頃、第27回電撃小説大賞には応募していて、結果は普通に一次選考落ちでした。私自身、小学生の頃から電撃文庫さんの作品を読んでいたこともあり、「いずれ電撃大賞を獲る!」みたいなことを言い張っていた時期もあったんです。ただ、応募自体はまったくしておらず、このまま1回も応募しないのはさすがにダメだなと思って、第27回に送ったんですね。その後に小説投稿サイト経由でデビューが決まったのですが、私の書いているジャンルは電撃文庫さんのカラーとはだいぶ異なるジャンルだったので、このまま作家を続けていても電撃文庫さんと交わるのは難しいなとも感じていたんです。なのでもう1回ちゃんと送ってみようと考え、第29回へ2作品を応募し、ありがたいことにそのうちの1作品が受賞することになりました。
――「電撃大賞を獲る」と言っていたことからも、小学生の頃からより具体的に作家を目指していたということでしょうか。
そうです、と言いたいところではあるんですけど、普段から有言不実行といいますか、目標は立てるけど具体的に行動することが少なくてですね(笑)。もちろん書いてはいたんですけど、本にしたいとか、作家になりたいということを意識して行動していたかというと微妙だったんじゃないかなと。それこそ具体的に書籍化を思い描いたのは本当に最近で、就職後に小説投稿サイトで書き始めたくらいのタイミングです。そのあたりから真剣に取り組むようになりました。それまではほぼ趣味の範囲でしたね。
https://archive.md/2020.05.08-024718/http://dengekitaisho.jp/novel_interview_05.html
③成田良悟先生 上記記事より抜粋
小説を書き始めたのはいつ頃からですか?
TRPGやPBM※などでキャラクターを造ったり、それを動かす文章を書いたりという事はしていたのですが、長編として小説らしい小説を初めて書いたのは、大学3年から4年にかけての春休みです。はい、就職活動真っ盛りの時期です。ゼミの友人達は続々と大手企業に就職が決まっているのに、私だけ決まっていない、これは就職浪人コースかと焦りはじめた時、ちょうど電撃文庫の賞の応募締め切りが近いと知りまして……。
※TRPG(テーブルトーク・ロールプレイングゲーム):ゲーム機などを使わず に、参加者による会話によって楽しむロールプレイングゲーム。
PBM(プレイバイメール):多人数が郵便を用いて楽しむゲーム。
受賞するまでの投稿歴を教えてください。
「電撃hp」に応募しようと短編を書こうとしたら、全然規定枚数に収まらなくて無理矢理削ったのを送り見事に落選しました。そして、上の質問で答えた時期に、家族と大学には『就職活動してます』と誤魔化しつつ長編を書こうと決意し、2週間で無理矢理書き上げた初長編を投稿した結果、金賞を頂く事ができた形となります。
電撃小説大賞に応募しようと思ったきっかけ、理由を教えてください。
純粋に電撃文庫で出ていた作品をいくつも拝読していたという事と、〆切が4月10日というのを見て『これだ!』と思った事が重なり、一気に書き上げて投稿した形となります。それに間に合わなかったら、次に〆切が近かった富士見ミステリー文庫さんに投稿させて頂くつもりでした。
受賞作のアイデアは、何から着想を得たのでしょうか?
ギャング映画などが大好きだったので、それとファンタジーを組み合わせた作品をやりたいなというノリだったと思います。最初のアイディアは完成品と全く違うものでした。エニス(『バッカーノ!』のヒロイン)、最初は敵の使い魔のサキュバスって設定でしたからね。そんなサキュバスに一目惚れした主人公が、悪の魔法使いをギャングによる数の暴力で無理矢理倒して彼女を奪うという身も蓋もない話だったと思います。なのに書き始めて2週間経ったら『バッカーノ!』が出来上がっていたという不思議ミステリーです。
受賞作を書く際に心がけていたこと、工夫したこと、苦労したことを教えてください。
自分自身が1930年代のニューヨークにいける筈もないので、とにかく昼は図書館に通って資料を漁り、夜は家で執筆、という事の繰り返しでした。『異世界を1から造るのは、言語や文化、経済まで設定しないといけないだろう』という思いが当時からあって、そんな事は自分には無理だと判断し、『そうだ、実在の街なら、資料を調べるだけでいいじゃあないか! 取材するだけでいいだなんて、これは楽だ!』と短絡的な結論に到ったわけです。取材や資料漁りの大変さを知らない愚か者の考えです。しかも、結局授賞式の時に審査員の先生に『読んでて思ったけど、君、資料とかで調べただけで、実際にNY行ったことないでしょう』と指摘されてしまったという恥ずかしい思い出があります。
応募した後、各選考段階の発表などはチェックしていましたか? 結果を待っている間はどんなお気持ちでしたか?
『受かるわけないよな。今回は、ほら、雰囲気を掴む為の実験? そう実験って奴だよ』と、落ちた時のショックを和らげる言い訳をしつつも、心の奥底では『ある日突然編集部から電話が来て、「おめでとう。デビューが決まりました」とか言われたらどうするよ俺! ブヒャヒャヒャヒャ』と気持ち悪い妄想をしたりしてました。
そして、一次選考通過の結果、『バッカーノ!』のタイトルと共に自分の名前が「電撃hp」に載っているのを確認した瞬間、本屋で「おひょっ」と気持ち悪い声を上げたような記憶があります。下高井戸駅の2階にある本屋で買ったという事までハッキリ覚えています。
「やったー、これで、親に『見てよ、一次選考通過はできたんだから、あと1年小説を書く時間をくれ!』と交渉の材料にする事ができる! 就職活動しなくて済む!」と、親に苦労かける気満々という最低な事を考えながら小躍りしていると――ある日、知らない電話番号から携帯に着信がありました。
「もしもし。電撃文庫の●●と申します」
おかしい。なんのドッキリだ? 電撃に応募したって事は5人ぐらいにしか言ってない筈だが、誰の差し金だ?
しかし、どうやら相手は本物のようです。この時点で一瞬頭が真っ白になった後、私は自分の妄想してきた「デビュー」という単語が頭を過ぎり、嬉しさに叫びそうになりました。
が、次の瞬間――
「あなたの原稿、印刷方向を縦横間違えてて読み辛くて審査員の先生方に渡せないから、文書データをメールで送って貰えませんか。こちらで印刷しますんで」
と言われてしまい、大恥を掻くことになるのですが。
ちなみに『審査員の先生に見せる=最終選考に残った』という事実に気付いた時にも奇声を発したような覚えがありますが、もう頭が真っ白で覚えてません。そして更に数週間後――(以下略)
……というように、この質問だけ無駄に長々と答えられるほど、当時の事はハッキリと覚えています。とにかく、人生で一番、運命や自分自身に対して『期待』をしていた時期だと思います。
受賞の決め手は何だったと思いますか?
いやそれが自分でも良く解らないのです。ぶっちゃけ、この質問は、私よりも審査員の先生方の意見を見た方が良いと思います。わお、なんと電撃大賞のHP内に審査員の方々の選評も載っているではありませんか!!
http://archive.asciimw.jp/award/taisyo/09/09novel3.php
……という見え見えの誤魔化しでなんとか手を打って頂ければという事で一つ。
〜〜
小説を書く上で、普段から心がけていること、大事にしていることはありますか?
昔、ある作家の方が「資料をしっかり調べれば、自分の文章に自信を持つことができる。堂々と書ける」と読者投稿冊子の中でおっしゃっておられて、事前に資料を読み込むのは大切だと思うようになりました。確かに、資料を調べておくと嘘を書くときに『この部分はフィクション! そんなん解ってるぜ、イェー!』とハイテンションなまま執筆を続けられますし、反対に歴史資料などの中で作品に関するおもしろいエピソードを見つけたら、作中に取り込む事もできるので、調べるという行為は大切だなと思っています。最近執筆量が増えて資料漁りの時間がだいぶ減っているのでなんとかしなければ……。
作家になってよかった、と実感するのはどんな時でしょうか?
日常的な事では、(〆切に余裕があるときは)割と好きな時間に寝起きできるという事です。自分の性分からいって、毎朝同じ時間に起きて仕事にいくという生活は耐えられなかったんじゃないかという気もしますし。
個人的には、この業界に入って、自分がデビュー前に読者として憧れていた作家さんなどと交流したり、時には一緒に仕事をする事などができたという事です。もっとも、これは作家になった後の運等もあると思いますが……。
メディアミックスなどで自分の造った話が新たな命を吹き込まれるのを見ると、本当に作家になって良かったという実感が生まれます。
最後に、これから電撃小説大賞に応募する方々へひと言アドバイスを!
私には文章作成技術もなく、殆ど直感だよりで創作を続けている状態ですので、皆さんにアドバイスをできるとは思えません。
『作家になってベストセラー書いて金持ちになるぜ!』という目的だろうと、『貧乏でもいいから、どんなに苦労しても死ぬまで小説を書き続けていたい』という目的だろうと、どんな形であれ構わないと私は思いますので、とにかく個人個人の『なりたい』という気持ちが大事じゃないかなと思います。
上のインタビューで私の言った事は全部聞き流して下さっても結構ですので(寧ろ投稿を就職活動と言い張っただのなんだの、絶対参考にしない方がいいと思います)、そうした『なりたい』という気持ちを実現させる為に、自分なりのやり方を見つける事が大事だと思います! ともあれ、皆さんが自分も読者もバランス良く納得できるような作品が書けるよう、お祈り申し上げます!
傾向
データ
①電撃分析様 上記記事よりデータについて抜粋させていただきました。
関係ないですが、このような専門の分析サイト様は他の賞では見当たらなかったです。やはり熱量が違います。
②らのきゅー様 上記記事よりデータについて抜粋させていただきました。
傾向を探る参考記事
参考記事❶en's study様
※2018年の記事です。
(中略)
受賞する確率を上げるにはどうしたら良いか?
それはやはり実際に受賞した先輩方に学ぶのが一番でしょう。〜
現在(2018年5月)のインタビュー数は59名分です。このインタビューは「最後に、これから電撃小説大賞に応募する方々へひと言アドバイスを!」という質問で締めくくられておりますので、この質問に対する先輩方の回答を見ていくことにしましょう。さっそく59名分の回答を拝見してみました。応募者へのアドバイスとして、表現は違えど多くの方が共通して言っていることが2つありました。
その2つとは、
好きな事を追求して書きましょう。
とにかく書き続けましょう。諦めてはいけません。
ということです。
”流行”は文字通り流れ移ろうものです。面白いの定義は多様に過ぎます。こういった考えが『電撃大賞』の根底にあるのでしょう。
つまり『電撃大賞』で重視されるのは、上記の御三方の言っているようにこれからの流行を創れる作家(作品)かどうかということなのではないでしょうか?
@参考記事❷現役ラノベ作家・のべろの隠れ家様
2024年4月締切回から、電撃の新文芸賞が新設されました。
男性向けライトノベルは電撃文庫、
女性向けラノベはメディアワークス文庫、
Web小説系は電撃の新文芸
と、幅広い作品を受け入れる体制が整っています。
総合的な実力の高さが求められるため、小説の基礎力を高めて挑みましょう。
ただ、電撃文庫から出版される作品に限れば、与えられる賞の種類にはある程度の法則性があります。
どれかを狙うことにあまり意味はありませんが、過去の受賞作を読む際には参考にしてみてください。
大賞:メディアミックス(特にアニメ化)に耐える強度を持ち合わせる作品。
金賞:比較的、流行しているジャンルやストーリー構造を踏襲した王道作品。
銀賞:チャレンジングな作品が多め。跳ねるときは金賞以上に跳ねる。
参考記事❸KEN書店様 より抜粋
電撃文庫小説はオールジャンルOK
とにかく面白ければなんでもあり
魅力的なキャラクター造形が求められている
一次選考→小説としての体裁をなしているか、クオリティは一定の水準をクリアしているか見る
二次選考→編集部員IN、250本まで絞る。ポイントは面白さ+「売れるかどうか」
三〜四次選考→編集者増、60作品>6作品。
最終選考→作家、脚本家、編集長IN。徹底的に話し合って決定。
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「面白い」って何だろう
ここまでの情報をまとめると
・面白い小説が求められている。
・好きなことを追求していっぱい書く。
では面白い の定義とは?
その疑問に答えてくださっている記事がこちら。
※2020年の記事です 上記より抜粋
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「面白い」の定義について、もう少しお聞かせいただけますか
湯浅:いろんな面白さがあるので、これだ!というものは決めつけづらいですが……小説というのは物語なので、「いかに先が気になるように書けているか」かなと思います。先が気になるキャラクターなのか、ストーリーなのか、どの要素が飛び抜けていてもいいんですが。いかに感情移入をさせるか、あるいは読者に「読んでいて気持ちいい」と思わせる展開や演出ができるか。
〜
文章的にはまだまだこれからでも、エンターテインメントの素質を持っている方を探しています。完成された方を求めているわけじゃないので、「文句なく面白いよね、文章下手だけど」でもいいんです。テクニック的なものは書いていけばなんとかなる。
――「これから来るのでは」と思われるジャンルがあれば教えてください
高林:流行りとはやはり回転していくものなので、平安ものや陰陽師が主人公の小説がそろそろくるのではないかと思っています。かつて安倍晴明ものが席巻した時代があったので、そろそろ一周戻ってきて、むしろ新鮮になっていってもおかしくないかなと。
湯浅:『ブギーポップ』や『キノの旅』みたいな、若い人たちの心に刺さるフレーズがある作品ですかね。あとSF。『86』もSFと言えばSFですし、広義で言えば『君の名は。』もSFですよね。一時期の「SFというジャンルは売れないもの」という空気も、だんだんなくなってきています。
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・・・・・・ということで、面白い=いかに先が気になるように書けているか
です。
読者に感情移入してもらう、「読んでいて気持ちいい」と感じてもらう、そんな視点を持って作品を今一度ブラッシュアップすると良いかもしれません。
こちらの記事、本当に創作をする人達にとって良いことしか書いていないので、是非読んでみてください。
講評指摘傾向 ※休み
記事内の講評について、似通った指摘点をまとめるようチャットGPTに指示したもの。正確性は期待しないよう。
KADOKAWA全体の鯖落ちのせいで過去の講評も消え失せていたので、
すみませんが今回はお休みです。