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出版記念パーティーに参加させて頂きました!

8月末日、山内聖子さんの著書である、『日本酒呑んで旅ゆけば』の出版記念パーティーが催された。
会場は新丸ビルの7階にあるMUSMUS。
前著の出版記念パーティーでも、こちらの会場だったという。
そもそもなぜ私がこの様な特別な会に参加する事ができたか。
やはりこれも店主のおかげである。
日本酒愛が素晴らしい女性の作家さんがいらっしゃり、その方がパーティを開く。
この様な貴重な機会は滅多にないし参加してみてはと誘ってくれたのだ。
私はお会いした事がないため、大切な思い出になる様な瞬間に立ち会って良いものなのかと恐縮したのだが、山内さんにも既に許可は頂いているという事だったので、断る理由もなく、むしろ嬉々として首を縦に振った。

日本酒呑んで旅ゆけば

今回、この会に参加させて頂くにあたってこの著作をお拝読させて頂いた。
ポップな装丁とは反し、内容は濃い日本酒の話で溢れていた。
よく見る日本酒に関しての本は、酒の造り方やテイスティングの方法、酒米に関してなど、比較的専門性の高い物が多い様に思える。
しかしこの『日本酒呑んで旅ゆけば』は、山内さんが特にお好きな日本酒の蔵に直接訪問をし、その酒のこだわりをはじめ、造り手がどういう気持ちを持って日本酒に向き合い、どの様な味を目指しているかなど、呑んでいるだけではわかり得ない内容を掘り下げていく。
後半には、蔵の方御用達の呑み屋で呑み進める姿も描かれている。
それがもう本当に美味しそうなのだ。
この地域に行ったら絶対に行こうと心に決める様な素敵なお店が紹介され、
日本酒と地のおつまみの写真も添えられ、それらの相性の良さが語られる。
より多くの日本酒と出会いに旅をしたくなる、そんな一冊であった。

初のパーティー、いざ

私が会場に到着した時には既に多くの方が顔を揃えていた。
私は知らない人ばかりだが顔見知りの多い店主は、
あの人は誰で、どちらの蔵の方で、と説明をしてくれる。
作品の中で取り上げられている酒蔵の方はもちろん多数いらしたが、
その他にも酒屋やテレビ関係の方やグラスの製造の方、イベントの企画・制作会社など幅広い業界の方がいらっしゃり顔の広さを感じた。
会場には想像していたよりもラフな出で立ちの方が多く、
かっちりしすぎない場の雰囲気は山内さんのお人柄によるものなのだろうと感じさせる。
会場内の少し奥に進むと、明らかに舞台側と思われる窓際にとても上品な着物姿の女性が立たれていた。
その方が山内さんであった。
本の文体や内容から、闊達な雰囲気の方なのだと想像していたのだが、
実際はとても柔らかな雰囲気の方で、隣に立たれている司会進行役の方と楽しげにお話されているのが印象的だった。
少し間があって乾杯の音頭が取られると、周辺の方々がグラスを突き合わせていく。
これを機会にと店主に連れられ、山内さんにご挨拶を果たした。
先の乾杯のスピーチでお茶目さのある方なのだと理解してはいたものの、
作家である事に加え日本酒業界の大先輩、かつ本当に日本酒への愛が強い方というトリプルパンチは、日本酒新参者の私を緊張させるには十分すぎた。
店主がお祝いの言葉に始まり、色々とお話されているのをなんとなく覚えているのだが、山内さんに私がなんと返答していたかは正直本当に覚えていないのだ。
ここまで緊張したのは久しぶりだと思う。

その後は店主の古くからの知り合いにご挨拶に伺った。
酒屋の大手である味ノマチダヤの代表や
福島県の写楽を醸す宮泉銘醸の宮森社長と専務。
群馬県の群馬泉を醸す島岡社長とお父様など、
店でも多々利用させて頂いているお酒を造られている方々との対面に、このタイミングでも終始緊張。
しかも店主は用事があり会を退席した事で、
更に場違いな雰囲気を感じ小心者の代表と化した私は
一つの蔵でここまで色々な種類の日本酒を呑める機会もないのだからと、
今日はお酒を呑む事に徹底させて貰おうと舵を切り直したのだった。
同時期に、本で紹介された蔵の方達が山内さんと登壇してお話をし始めた。
本の制作にあたっての裏話や、お互いの関係があるからこその一緒に呑まれた時のぶっちゃけトーク、日本酒づくりで大切にされていることなどお聞きして、お互いへのリスペクトと楽しみながら事を進める力と、そうするために根底に必要な惜しみない努力を感じたのであった。

お酒は機会も切り開く

皆さんのお話が一段落し再度自由行動になると、お酒の回ってきた私の頭は前向きになっていた。
それぞれ個性のあるこれらの日本酒を造られている方々に、是非お話をしてみたいと感じたのだ。
実際に行動に移せた理由は確実にお酒のおかげ。
お酒は時に豪胆さと機転を与えてくれるのだ。

いざと思いたち、まずは七重郎を醸す稲川酒造店の塩谷さんにじりじりと近づいていった。
今回七重郎は初めて呑ませて頂いたが、
本の通り、本当にだらだらと呑み続けられるお酒だった。
登壇されていた時もすごく腰の低い方だったのだが、
実際お話しても本当にこちらが申し訳なくなるくらい低姿勢のそのままの方だった。
ただ、稲川酒造店さんはあまり東京進出は狙っていないのだという。
残念な気持ちは勿論あるが、
福島県に行けば呑む事ができる地域のお酒として、
旅行の度に地の食材と合わせて呑む事もまたオツなものなのかもしれない。

その後、菊の司酒造の社長室室長の山田さんにお話をを伺いに行った。
本にも記載されていたが、私とほぼ年も変わらない方が事務仕事や日本酒の造りにも加わり、更に新しいブランドの立ち上げと、
とても精力的に行動されており、とても気になっていた方だったのだ。
実際お話を聞くと、新しいブランドのinnocentについて語る際、
とてもはつらつとした目をされ、本気でそのお酒を愛し、本気で売り出そうとしているのだと、強い熱意を改めて感じた。
また、ご一緒にいらしていた堀の井を醸す高橋酒造の高橋さんにもご挨拶させて頂いた。
恥ずかしながら堀の井というお酒を存じ上げなかったのだが、
おおらかさのあるお話の仕方と反して、ドッシリと構えた雰囲気の方が醸されるお酒はどのような味なのかと、とても気になるところである。

少し落ち着いたタイミングで、賀茂金秀の金光さんがお一人で呑まれていたので、お話を伺った。
個人的にこの頃よく呑むお酒で、家でも置かれれいる事が多かったので、
勝手に親近感を持っていた日本酒でもあった。
登壇中も終始ツッコミ側に回りながらのテンポの良い会話が続いており、
親しみやすい印象を勝手にもっていた。
実際お話をしていくと、猫好きらしく猫の話でも盛り上がり、
店に行くよとまで仰ってくださる程気さくな方だった。

蔵の方とのお話が落ち着いた頃、最後の締めがなされた。
その際の山内さんの涙を交えたお話は、出版までの苦労と日本酒への愛と熱意を再度感じさせられるものだった。
そして閉式後、お話をした方々に最後のご挨拶をし会場をあとにしようとすると、出口には山内さんが一人ひとりにお見送りをしていた。
参加させて頂いた御礼と店主は先に帰った事を伝えると、そんな中お構いもできずにと声をかけてくださった。
勝手に参加した私に何と優しいことか。
多くの蔵の方とお話できる機会をくださった事は勿論、
初見の私へも気配りをしてくださるそのお気持ちに更に胸がほっこりと温かくなりながら、
酔いの回った頭をフルに回転させ自宅までの道を慎重に引き返すのであった。

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