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satoshi_st
大企業を辞めて幸せになった話
①
私は限界だった。
私は7年前に周囲の反対を押し切って、大企業の研究職を辞めた。
女性の幹部職を高めようとしているその会社の中で、なかなか良いポジションにいたにも関わらず。
その会社にいた6年間、
言われたノルマはこなし、それなりに結果は出していた。表彰も何回かされ、周囲からは順風満帆に見えたことだろう。
しかし私は、大学、大学院からずっと続けていた「研究」という分野から道を外れ、
キャリアを捨てることにしたのだ。
なぜ辞めたか。
理由は単純で、その会社にいた6年間、
1日も仕事を楽しいと感じなかったから。
そして、学会などで社外に行くと
大したことない発表をやたら評価され、
自分を評価されているのではなく
会社を評価されているように感じて、
自分の存在意義がわからなかったからである。
そんなことには目をつぶって
それなりに働き続ければ
そこそこ贅沢できるほどのお金はもらい続けることができただろう。
しかし私は、自分の楽しいと思える仕事、やりがいを感じる仕事についてみたかった。
そして、会社のネームバリューによって自分が評価されるのではなく、
自分自身が努力することで自分の価値を高めたかった。
しかし、そんな大層なことを言ったところで
当時の私には
自分のやりたいことも、
何にやりがいを感じるかさえも
わからなかった。
「お給料は確実に下がりますよ」と言いながら
転職エージェントが出してくるたくさんの求人票を見ても、心ときめくものには出逢えなかった。
出されるものは、同じような職種ばかり。
その中から適当に受けるのは絶対に嫌だった。
広い世の中、私が本当に楽しいと思える仕事が
どこかにあるはず…
その想いだけが、私の支えだった。