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小バエの生涯 ー カラスの関与
別に選んだわけでもなく、ドアが開いていたので入った家だった。
住みやすそうな家で、ご馳走にもよくありつけた。
そのうち結婚もしてゴミ箱の中で卵も産んだ。
でもある日油断した。
逃げようとしたが間に合わなかった。
ゴミ袋の口を閉められてしまった。
一生の不覚。
口は固く閉められ這い出る隙間がない。
卵もろとも閉じ込められた。
どうあがいても駄目だと悟った。
このまま焼却場まで運ばれて、焼かれてしまうのだろう。
悟って諦めてみると気づくことがあった。
ここは天国ではないか。
暖かくて誰にも追い払われることもない。
短い生涯だったが、ここで天国を満喫しよう。
その時黒い大きな尖った塊が、
ゴミ袋を突き破った。