秋空にひとひらの孤雲がただよう季節の禅語。「一声杜宇孤雲上」
夏の澄み渡る青空ですが、入道雲が夏の暑さを物語る日もあります。
秋に向かうこの頃では、ふと見上げた空に漂う雲の群れから、ただひとつ、仲間たちとはぐれた、ひとひらの雲を見かけます。
この雲の名前を「孤雲(こうん)」と呼びます。
禅語に孤雲を使った、この時期にふさわしい言葉があります。
それは
「一声杜宇孤雲上(いっせいのとう、こうんのうえ。一声の杜宇、孤雲の上)」
杜宇とはホトトギスを指す言葉です。
空にぽっかりと浮かんだひとつの雲。何気なく、その雲を見上げるとホトトギスが鳴くのが、確かに聞こえた。
夏から秋へ向かう青空の下、時間と風景と音が交差する異次元の世界。
9月の茶室。茶掛けの詞を解説しました。