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【ぶらり東北ひとり旅日記】 社会人2年目の春、るーぷる仙台、マタギラーメン。

東北旅行に来た。

伊達さん
宮城縣護國神社。
なんか可愛いバス停。

いや、旅行しすぎなのはわかっている。わかってるんです。

3月頭に関東旅行3泊4日。
3月中旬に韓国旅行4泊5日。
3月下旬に旭川旅行1泊2日。

いくら友人の家やスーパー銭湯をホテル代わりにして渡り歩いているからと言っても、さすがに交通費だけで貯金を使い果たしかねない。

この旅行が終わったら、しばらくは旅行しないと決めた。心に決めた。心に誓った。
お金、貯めます。

とはいっても、せっかくの東北縦断旅行。
出費を抑えたいとは思っているが、財布の紐は勝手に緩まっていく。

まあ、安宿だし、ご飯くらいはね。お土産くらいはね。みたいな。

仙台市太白区 - 鹿落堂(ししおちどう)
ビビるくらいどタイプの店だった
十割蕎麦御膳 黒 ¥2,100
ここまでレベルの高い蕎麦と天ぷらを前に恐縮だが、
わらびもちがマジで美味い

ようやく春が訪れようとしている北海道は、それでも未だに最高気温が1桁みたいな日が続いていた。

しかし、東北はもうすっかり春だ。
新緑が青々しく、晴れてくれたおかげですっかりポカポカ陽気が心地いい。
昼下がりは少し暑いくらいだ。

なんかチマチョゴリみたい

春って、なんだか開放的な気分になっちゃうよね。
財布の紐も、解放されちゃうよね。

活動しやすい気温になるとテンションが上がるというのが、なんとも動物的だ。

新学期、新年度、別れと出会いの季節という刷り込みもあるのかな。
学生の頃は、確かに新学期の始まりはちょっと浮き足立っていたかもしれない。
その記憶からだとしたら、まだ文化的と言えるかもしれないけど。

社会人2年目となる2024年度が始まって、早くも1ヶ月が終わろうというのはなんだか衝撃的な現実である。

えー……はやくない?

新年度、別れと出会いの季節と言うけれど、私の生活の場合は別れ0、出会い20強といった比率だった。

巷のベンチャー企業の例に漏れず、弊社には定年退職するような御歳の方はまだおらず、逆に新卒入社してくる若造がてんこ盛りという人事状況なのである。

初めての後輩、仲良くできるかという不安半分、追い抜かれて足蹴にされるのではないかという怯え半分で迎えたのももう1か月前。

段々と馴染んできているとはいえ、まだまだ初々しい後輩たちの姿が眩しい。

よく言えば面倒見が良く、わるく言えばお節介焼きおじさんな私としては、できれば仲良くなりたいとは思っている。

しかし、まあ去年の私もそうだったのだろうが、まだまだ緊張感のある硬い顔の彼らと打ち解けるのは、私のコミュ力ではもう少し時間を要しそうだ。

瑞鳳殿

修学旅行なのか校外学習なのか遠足なのか分からないが、やけに中学生の集団を見かける。

いやほんとに多くて、あちらこちらで5人くらいの班行動をしている中学生諸君に遭遇した。

というか、制服が違う班がいたので、少なくとも2校以上の班集団が仙台市内に点々としていたのだろう。

仙台の観光地を周遊するバス・るーぷる仙台の中にも、仙台城跡のフードコートにも、青葉通りのアーケード街にも、至る所で遭遇するわけだ。

るーぷる仙台。
運転手さんの軽快な喋りがなんとも楽しい。

修学旅行生と同じ道程で旅しているというのも、なんとも健全というか在り来りというか。

しかし、クラス替えがあってすぐと言う4月に班行動というのも、中々子供たちのコミュニケーション能力が試されるところだ。
中学校くらいなら、別にすぐに打ち解けてしまうものなんだっけ。

小中と全く同じメンバーの1クラスで育ったので、よくわかんないや。

まあ、どこから来たのか果たして分からないが、いい思い出を作って帰ってもらいたいものである。

彼らにも、私にも。
私は一人だけど。

どの街に旅をしても、その街にはその街の住人の暮らしがある、と意識できるようになったのはいつからだっただろう。

こちらとしては浮かれぽんちの旅行者の気分で街を歩いていても、普段通りのなんてことの無い日常を生きる人達がそこには暮らしている。

学校の近くを通れば制服姿の子供たちが下校しているし、
住宅街を歩けば洗濯物が干してあるし、
カフェに入れば外回り中の営業マンや女子会中のマダムがコーヒーを飲んでいる。

どこを旅した時のことだったか。
観光スポットまで細い小路を歩いていると、郵便局の原チャリが横をすり抜けて行った。

その時やけにはっきりと、あぁ、この街には普通に暮らしている人達が沢山いるんだな、と腑に落ちた感じがしたのを覚えている。

自分が観光地としか思っていなかったこの場所に住んでいる人がいて、その家に手紙や葉書を送った誰かがいる。
この場所で暮らす人たちのために、この場所で働く誰かがいる。

郵便局のお兄ちゃんを見送ったあと、その日は色んなものが見えるようになった。
沢山の洗濯物や干してある家や、カーポートで洗車しているおっちゃんや、夕飯の魚の匂い、たくさんの実をつけた蜜柑の木、手入れされた道端の花壇。

どんな街にだって、そこが街である限り、誰かの暮らしがある。

そんな当たり前のことに気づけたのが、なんだか嬉しかった。

当たり前の様にその地に暮らしている人たちと、同じ道を歩いているのがなんだか嬉しかった。

レンタサイクルを必死で漕いでいたら、
Google先生に走らされることになった農道。

なんだか、誰かと喋りたい気分だ。

自分が憧れるひとり旅って、旅先の人とおしゃべりして仲良くなって、その後も文通して、みたいな。

そこまでじゃなくっても、旅先後に暮らす人と、隣の席に座った人と、同じ風呂に入っている人と。
他愛のない会話を、してェ。

いや別に、そんなコミュ力がまるでないという程では無いので、もちろんそんな経験も何度かはある。
仲良くなるまでは行かなくても、一言、二言、会話を交わすくらいは。
そんな機会が一つの旅に一回でもあれば、やったぜと思うわけです。

でも、今旅はまだそんな機会に恵まれていない。
話したいのだ。私は。

話しかけようかな、ということは何度かあった。

仙台駅前。
歩道橋?遊歩道?の上から見えた、タクシーがズラっと整列している様子が面白くて、上からバシャバシャ撮っていた。
しばらくそうしていると、私につられたのかはわからないけど、お兄さんが隣に並んできて同じくごついカメラでバシャバシャ撮り始めた。

面白い光景ですよね~、くらい言おうかなと思ってチラチラと様子を伺っていると、3枚ほどで満足したのかすぐに去ってしまった。
負けた。

仙台城跡。
中学校の一班がどうにか記念写真を撮ろうと、タイマーがどうの、私映らなくていいから撮るよだの、揉めていた。

さっぽろ雪まつりボランティアで、散々記念写真を撮りまくっていた私は、撮りましょうか~と話しかけるべきか一瞬迷う。

しかし、その頃にはすでに警備員のおじちゃんが向かっていて、撮ってあげようかと声をかけていた。

まあ、この場合は若いお兄ちゃんより親くらいのおじちゃんのほうが役に適していただろう。
危うく、女子中学生を撮影したがる不審な男が帰りのホームルームで注意喚起されるところだった。
いや、男女混合班だったけど。

今夜はゲストハウスに泊まるので、少しくらい会話出来ることを期待している。

ゲストハウスで誰とも話せなかったら、もう諦めるしかあるまい。
認めるしかあるまい。
自分は誰にも話しかける勇気の無い日和り男なのだと。

宿泊したゲストハウス。

そんなことを秋田は十文字のご飯屋さんの隅っこで一人寂しく書きしたためていると、イワナの唐揚げを運んできてくれたついでに、お母さんが話しかけてくれた。

北海道から来たというと、ヒグマをケリで撃退した格闘家のニュースを今日見たと教えてくれた。
ちょうどというか、たまたまというか、そこはマタギ(ジビエ)料理の店で、しかも私の席のすぐ横になめしたクマの全身の毛皮が飾ってあった。

これくらいサイズだったんですかね。
いやァもっと大きかったと思うよ、蹴った足の方が痛かったんだってぇ。
はぇ~、凄いですねぇ。

お母さん……ありがとう……!
もう全てが報われた気分です。
いいんだ、ほんの少しの会話でも。
いいんだ、それだけで嬉しくなれる単純な人間でも。

飯は美味いし、値段は安いし、お母さんは優しいし。

田舎のご飯屋って、あったけぇんだァ。

でも、クマを蹴るのはあぶないよ。格闘家とか関係ないよ。
交差点に突っ込んできた自動車を蹴って止めようとしてるようなもんだよ。
見たことないけど、ヒグマ。

あとお母さん、このマタギラーメン多すぎるよ。
700円で鴨肉ゴロゴロ乗せて出せる量じゃないよ。
コスパ良すぎだよ。
良すぎてひとりじゃ食べきれないよ。
でも美味い。

マタギラーメン ¥700

明日は横手観光して、盛岡に泊まって、明後日はわんこそばに挑戦する予定。

それまでにこのお腹、コンディションを治しておかねば。

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くらげもち
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