立冬 第五十六候 地始凍
立冬の次候、第五十六候は、地始凍(ちはじめてこおる)。
期間は11月12日から16日ごろ。寒さで大地が凍り始める頃という意味だそうです。
チェンマイは、熱帯の冬である寒季に入ったとはいえ、この期間は最高気温は30度に届くか届かないか。けれど最低気温はあまり下がらず、夕方は湿度も上がって、通り雨が一瞬降る。そんな雨季の尻尾を引きずっているような奇妙なお天気。
本来ならば、北風が滔々と吹いて空気がびっくりする程澄んで、見ている目まで青く染まりそうな晴天の日がやってきて、そんな日は日中の日差しは強くても、肌に揮発性のものを塗っているように、太陽の暑さの中でもそこはかとなく体から熱が奪われていく心許ない感覚がし、そして夜からはみるみる気温が下がって、待ちわびた冬の到来を感じる頃なのですが、でも、今年はそんな兆候が空気の中になかなか感じられません。光の弱さこそ、冬めいていますが、以前より季節の変わり方、あるいはそれぞれの季節の個性が顕著ではなくなっている物足りなさの方が気になってしまうようになった、そんな気がしています。
おりしもCOP26が開かれ、そのなかで温暖化の深刻さがいよいよ露わになるなか(このままではダメだとわかっていても、それを止めようとしない政治の不条理も。)、改めてタイの気象庁のこれまでの気温の変化の記録を見てみると、ここ5-6年で最低気温も最高気温も1.5度から2度ほど上がっているのが素人目にもわかり、一見わずかな値のようでいて、それがどれほど体感や実際のお天気に影響するかも実感されます。
ニュースの中で、先進国は今まで良い思いをしてきたのだ。その後始末を自分たちも背負うのは不公平だという、ある国の首相の発言に、ではあなたが子供や孫たちに同じことを言われたらどうなんだろう?ゆっくり歩んできた国だからこそ、あなた方が目先のお金と利便性で失った知恵や自然と調和する生活や思想が我々にはあり、それは未来の役にきっと立つと思うと言うことはできないのだろうか?本当に西欧的な、市場社会的な価値が一番優れて豊かなものなのだろうか?
せめて、自分は日常生活や仕事の中でできることはしよう!そんな風に思ったのでした。
ただ、チェンマイでは、満月と水のお祭りロイクラトンには雨が降るというジンクスがあり、その前後まではお天気が変わりやすいということもあります。
今年の第五十六候は、大地が凍てつき出すという、とてもその名は程遠い、もわんとしたお天気でしたが、ロイクラトンはタイ式の陰暦12月の満月の夜に行われるお祭りですし、やはり旧暦の方が、太陽暦よりも季節のうつろいに添うていると感じることもあります。願わくば、19日、20日に行われるロイクラトンを境に冬が来てくれたら。と思います。
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