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春分 第十候 雀始巣

20日は春分でした。太陽は真東に出て真西に沈み、昼夜の時間は同じ。
毎年のこと、自然の摂理とはいえ、いつも天体の配置の絶妙さにドキドキし、日の出日の入に目をこらしてしまいます。

そして、今日24日は彼岸明け。日本の暑さ寒さもの諺ではないですが、太陽に近く、はや夏を迎えたタイでも、昼の長さが夜のそれに勝るようになってきたことで、如実に午後の気温が高くなってきました。

そんな中、蝶の渡りの他によく見かけるのは長い緑の尾をたなびかせて飛ぶ小さな鳥たち。
尾の主はキンパラやギンパラ、紅雀などなど種類はまちまちなのに、なぜみな同じ尾をたなびかせるかといえば、巣づくりのためにちぎった細長い草を咥えて飛び、それが遠目には長い尾に見えているから。それが正体です。
まさに雀始巣、すずめが巣を作り出すです。もちろんタイにも日本より少し小柄な雀が居て、彼らも藁やカポックの綿などを集めての巣作りの最中です。

そんな風に、緑の尾があちらこちらを舞い始めてしばらくすると、我が家のテラスを毎年訪うヨシキリの夫婦がいます。
彼らは、テラスに吊るされたランプの中に巣をかけ夏の間に2−3回子育てをし、去っていくのです。

ヨシキリ2


天井の中央に吊るされたランプは、人間の手も届かなければ、ネズミや猫、そして蛇も巣にたどり着く術がありません。雨も風も厳しい陽射しからも守られています。そして、テラスは広い草や木の茂る場所に面していますから、巣立ったばかりの雛たちも、安全に翼の力をつけたり餌を見つける訓練をする時間を持てるはずです。きっとこの夫婦にとって最高の子育ての場所なのではないでしょうか。

彼らが来るのもそろそろではないか?と、毎日テラスのランプを眺めながら、彼らが来てしまったらこのテラスでアメリカネムノキの梢から降ってくる涼しい風や、日没の眺めを楽しむのはしばらくお預けになってしまうけれど、ちよちよ聞こえるひなたちの声は愛おしく、人のすぐ傍らに小さな鳥たちが眠るのだと思うとそれもまた嬉しく、その到来が楽しみなこの頃です。

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