夏至 第三十候 半夏生
日記を読み返すと、どうも雨季の始めは体調を崩すことが多いようで、去年も、半夏生 (はんげしょうず)の 7/1~7/6頃は、家で身体の様子と向き合う時間を過ごしていたようです。特に今年は空は暗いことが多いのに雨は一向に降らない、蒸し暑く落ち着かない天気が続き、そのために庭木のいくつかが枯れてしまうよう、人も植物も奇妙な不穏さに身体が圧されるような期間でした。
三十候に出てきた、紅花や梅、菖蒲はチェンマイでは、あっても身近にあるとは言い難いですが、半夏生はよく見かける植物です。湿気の多い日陰にドクダミに似た香りを発しながら茂っているのをよく見かけます。ちなみに、生薬の半夏はサトイモ科のカラスビシャクから採れるものですが、本来の半夏生はどちらなのでしょう。
夏至をすぎて、夏の気が盛んになるように思う世の中の季節感より先んじて、けれど気をつけて感じてみるならば、あたりには、光の力が凋落していく兆しがほんの少しずつ香っています。
その不均衡なあたりの様子を踏まえると、どこか昏い半夏生の茂みがふさわしいような気もし、けれどまるでその陰りに呼応してしまったかのような気怠い身体や辺りの空気を思うと、薬の半夏が茂る頃の方がありがたいような気がしてきます。
そして、今日からは小暑です。
綺麗に晴れず重苦しい空模様が続いた半夏生の最後の夜、久しぶりに深夜から雨がたっぷりと降って、涼しい小暑で七夕(旧暦ではまだ先、8月14日ですが)の朝を迎えました。日本ではいよいよ暑さが増す頃でしょうか。チェンマイでは、南からのモンスーンの力が安定し(最近はなかなかそうはいかないですが)、雨季の緑が深まりあたりに水が醸成する静けさが満ちてくるころになります。