芒種 第二十六候 腐草為蛍
芒種次候は、「くされたるくさほたるとなる」。期間は6/10~6/15頃。
昔は、水気に蒸れて腐ってしまった草などが、蛍になると信じられていたからだとか。
実際、今年のチェンマイのこの時期は朝夕は肌寒いほど気温が下がり、昼間も30度くらい。そして、明るいスコールではなくしっとり仄暗い静かな雨が降る、日本の梅雨寒のような日が続きました。雨季の本格的な始まりにはよくある天気の変わり方です。
おかげで、芝生や剪定した庭木の枝を積み上げていたコンポストは、水をほどよく含み、そっとその枯れた草や葉の山に手をさしいれると、まるで蒸し風呂のような発酵熱をはらんでいて、中をのぞくと真っ白に菌床がひろがっています。起きた現象は、腐るではなく、発酵ですが、水気と暗さは小さな生物たちの活動をずいぶん助けたようです。
そして、このたっぷりした水気と、暑季の過酷な暑さに慣れた身にはものうく冷えたように感じられても、日本の夏のようなお天気のせいでしょうか、宵の口になると、近所の草原には蛙たちの声が響き、緑がかった光をせわしく点滅させる蛍が舞うようになり、枯葉や土、水の匂いのする湿気とひんやりした風に家の庭までこの微かな光がやってくる日もありました。
第二十六候は、実際の天気も出来事もぴったりの時節になりました。