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立夏 第二十候 蚯蚓出

五月五日、立夏を迎えました。夏です。
強まる日差しの眩しさに幻惑されるように初候を過ぎ、そして今は立夏の次候に。昨日十二日は、それまでの揮発質の冷涼さを含んでいた朝の空気がそこはかとなく生ぬるく肌にまとわりつくように変わり、最低気温もとうとう25度になってしまいました。
強い日差しの太陽も現れるものの、空の表情の移ろいは目まぐるしく、こちらは晴天でも遠くの積乱雲はごろごろと大きな獣のように喉を鳴らし、時折水の匂いがする風がざっと吹き抜けるけれど雨はおあずけという、裏腹なお天気です。
いずれにせよ、今日を境に舞台の場面転換のように空気の手触りや空の表情が変わったと思っていると、タイ気象庁から十五日に雨季入りするという発表がなされたのでした。

そして今日十三日は、朝は少し涼しさがもどったものの、湿度は高く空気はひたと肌にまといついてきます。
ああ、やっぱり空気はもう雨季になったようだと思わずにはおれません。けれど、日が高くなるにつれてどんどん晴れ、気温はあっというまに36度。この暑さはまだ暑季のもの。
そんな湿気と高温の苛烈さになんだか目眩がするようで、いてもたっても居られなくなった午後、もう、これ以上暑くなったらどうしようと悩ましい気持ちが兆し始めた頃、遠くの遠雷がじわじわと近づき、次第に強まる土の匂いのする風は木の葉を吹き飛ばし、街灯がつくほど周囲が暗くなったと思うと雨です!

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雷と風と土の匂い、そして雨は激しくても空は晴れ間が見えたり真っ暗になったり表情は目まぐるしく変わり、気温もあっという間に29度まで下がって水冷式エアコンのような柔らかな涼しさが全身から鼻腔の奥までを通り抜け、久しぶりにスコールと呼びたくなる身も心も鎮めるような降り方でした。

庭を見ると、雲間からの光に輝く雨の中、小さな鳥たちが現れてまるでシャワーを浴びるように身を震わせたり、水の溜まった木の葉に身体を擦り付けて身繕いをしています。中には歌いながら雨に全身を震わせる小鳥も居ます。水盤で水浴びをする様子も可愛らしいけれど、なんともつつましくて可憐な水浴びではありませんか。
二十候は「みみずいずる」ですが、他の小さな生き物たちもこの小鳥達のように天の水の恩恵を受ける頃なのかもしれません。
これを書いているうちに雨は止み、これ以上無いほど澄んだ午後の陽射しが戻ってきましたが、これまでの降ってもすぐに乾きがちになっていた土も今日はしっとりと水を含んで馥郁とした表情です。
雨季です。
あらゆるものが、熱や乾きから守るように隠していた柔らかな相をが現れる雨季が来ます。

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