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ポスト・チョン体制の始まり
10月21日に第15期第8回国会が開催され、ベトナム最高指導部の人事が行われた。
13年間ベトナム政治のトップに立ち続けたグエン・フー・チョン書記長に代わる新たな政治体制が整いつつある。
ルオン・クオン国家主席
チョン書記長の死去と、ラム国家主席の書記長兼任により、「四柱」というベトナム最高指導部のパワー・オブ・バランスは崩れ、歪な状態が続いていた。
公安出身のラム書記長がこのまま国家主席を兼任し続けるのであれば、それが「公安支配」へと繋がるのでは無いかという憶測を呼んでいた。
ゆえに今回の国会開催で最も注目の人事は、誰が新国家主席になるのかであった。
結果として新国家主席に就任したのは、党内序列5位のルオン・クオン(Lương Cường)党書記局常任であり、これは最も妥当な判断だったと言える。
クオン国家主席は人民軍の出身で、政治活動と党活動を中心にキャリアを積んできた。
失脚したチュオン・ティ・マイ(Trương Thị Mai)の後任として、今年5月16日から党書記局常任を務めていた。
軍出身の人物が国家主席に就任するのは、レ・ドゥック・アイン(Lê Đức Anh、1992〜97年)以来2人目であり、ベトナム政治史において異例の事態である。
大きくなり過ぎた公安の力を制御するためには、2つの軍隊(公安と軍)によるパワー・オブ・バランス(勢力均衡)が効果的だと最高指導部が考えたのであろう。
またチョン書記長時代のように書記長1人が巨大な権力を握る体制から、ベトナム本来の政治体制である集団指導体制への回帰志向も見られる。
チャン・カム・トゥ党書記局常任
10月25日クオン国家主席の後任として党書記局常任に就任したのは、チャン・カム・トゥ(Trần Cẩm Tú)党中央検査委員会委員長である。
北中部ハティン省出身のトゥ党書記局常任は党の地方組織でキャリアを積み、2015年から中央検査委員会(Ủy ban Kiểm tra Trung ương)の副委員長、そして18年からは委員長を務めている。
中央検査委員会は共産党内の検査、監督、綱紀粛正を担当する機関であり、トゥ委員長はチョン書記長が推進した汚職撲滅運動を支えてきた人物と言える。
トゥ党書記局常任の出身地であるハティン省は、建国の父であるホー・チ・ミンの生まれたゲアン省と合わせて革命の起源地域である。
ベトナム政治史において数多くの権力者を輩出した地域であり、大きな派閥の一つとしても知られている。
豪州ニューサウスウェールズ大学のカール・セイヤー(Carl Thayer)教授は、現在の集団指導体制を複数の政治集団によって構成されていると指摘している。
フンイエン閥(ラム書記長、クアン公安相)、ゲティン閥(トゥ党書記局常任、チャック中央内政委員長ら)、南部閥(マン国会議長、ネン・ホーチミン市党委員会書記ら)、軍閥(クオン国家主席、ザン国防相ら)、公安閥(ラム書記長、チン首相ら)がその代表として挙げられる。
Lý do ông #Trần_Cẩm_Tú được Bộ Chính trị chọn làm #thường_trực_Ban_Bí_thư
— Carl Thayer (@carl_thayer) October 28, 2024
Bộ Chính trị gồm các đại diện từ một số nhóm gồm: nhóm Hưng Yên, nhóm Nghệ An- Hà Tĩnh, nhóm miền Nam, nhóm quân đội và nhóm công an gợi ý rằng #Carl_Thayerhttps://t.co/djPva93qaA