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日記:ショートカットの女の子が好きな理由をさがす

益田ミリさんのエッセイの中で「私は子供のころから髪を長くしている。なぜかというとそっちの方がモテそうだから。今がモテているわけではないから髪を切ってもいいんだけど、今以上にモテなくなったら困るから、髪は長いまま」という感じの文章があって、あいかわらず素直な文章で益田ミリさんのことが大好きだなと思う一方で、「ぼくはショートカットの女の子の方が好きなんだろうな」と客観的に考えたりしている。トイレの中で。

小学生のころ好きだった女の子の事を思い出した。Kさん。色黒で、目が細くて、足が速かった。肌の質感がさらさらしている感じがした。ソフト部の主将。口があまり良くなかった。そしてショートカットだった。直毛すぎるくらいの直毛で、効果音にすると「しゃきーん」ってのがぴったり合いそうな髪の毛だった。

二人目。これも小学生のころ。Hさん。顔がラッコに似ていた。おとなしい感じで、足が速くて、白かった。肌も白かったし、洋服の印象も白だ。声が高くて、か細かった。そしてショートカットだった。顔の輪郭に沿うように髪の毛が流れていて、バイクのヘルメットをかぶっているような感じだった。

3人目。これも小学生のころ。Nさん。HさんとNさんは名前が同じでユキコさん。Nさんは超ロングヘアーだった。背が低くて、顔が丸くて、持久走が得意だった。ちびまる子ちゃんと同じ顔をしていた。髪はすごく長かった。学年で一番長かったと思う。生まれてから数えるくらいしか切ったことないんじゃないのかと思うくらいに。それが、ある日突然、耳が完全に見えるくらいのショートカットにしてきた。小学校3年生くらいのこと。詳しいことは知らないんだけど、男子に髪の事で馬鹿にされて、翌日バッサリ切って登校してきたらしい。みんな驚いていた。ぼくも驚いた。その姿を見て、すぐに好きになってしまったことにも驚いていた。

4人目。高校生2年の時。Yさん。僕がロッカーの上に座っていたら、教室に入るためにYさんが目の前を通りすぎていった。1学年下。一目ぼれ。身長はわりと高いほうで、顔は猫バスに似ている。ニヤリと笑う。1学年下だから詳しい事は分からなかった。ずいぶんの間、名前も知らなかった。Yさんはどっちかというとボサボサした感じのショートカットだ。髪の毛が太いから「流れるような」とか「繊細な」という感じがしない。カッチリしていた。風にもなびかないんじゃないかって感じがした。もちろんそんなことはないんだけど。それから4年くらいして、幸運なことにYさんと付き合うことになる。その時はアニーみたいなくるくるのパーマだった。付き合ってわかったことは、運動神経が悪いらしいということ。よく運動神経が良く思われると言っていた。ぼくも確かに、足が速そうだなって思っていた。

社会人になって、同じく新入社員研修にいたMさん。たぶんちょっと先輩にあたるHさん。派遣社員できていて、いつも独りぼっちだった名前も知らない女の子。友達の友達のGさん。すこしの間バンドメンバーだったYさん。5つ年上だったAさん。みんな何かしらのショートカットだった。

もちろん髪の毛が長い女の子を好きになったこともある。不自然に「ぼくはショートカットの女の子しか好きになれません」ってことはない。振り返ってみるとショートカットの女の子に惹かれることが多かったという事実があって、「どう考えてもショートカットの女の子好きやろ!」と突っ込まれたら「ですね。てへへ」と答えるしかないなと思った。

あ、理由。理由は・・・・・、分かんなかった。少しだけ思うのは、「足が速そうな人」が好きなんじゃないかってこと。運動していて髪が邪魔だからショートにしている人もいるだろうし。でも、そうなると小学校3年生の時にロングからショートにしてきたNさんを好きになった説明がつかない。

こんなこと考えていたら、昨日の夜はいつまでも眠れなかった。お腹を満たして眠気を呼ぼうと、夜中4時の真っ暗な部屋の中でせんべいを食べ、お茶漬けの元を溶かしただけのスープを飲むことになった。

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