白雪姫と7人の古美門

相方で(と)笑っちゃうコンビが泣きたくなるくらい大好き 色んな形をした書きたいことを…

白雪姫と7人の古美門

相方で(と)笑っちゃうコンビが泣きたくなるくらい大好き 色んな形をした書きたいことを際限なく置いていく

最近の記事

ソーヤーの動機 -人狼TLPT #51:STELLA -

今回も観てきました! 人狼TLPT! 「またソーヤーが観たいなぁ」と思っていた矢先にやってくれた人狼TLPT! 矢先と行っても私が観てから半年ほど経っているんですが、それでも全然矢先!ド矢先! やっぱり村田さんから出るソーヤーの人間性や言葉が大好き! 今回も2公演観れたんだけど、これを強く感じました。 確信の上に更にハンコを押された感じ。 嬉しい。 村田さんのアドリブ力、議論も「ソーヤー」としての心を何手先まで見て、等身大で考えて、もしくはそれすら策略であったり、本心だ

    • 【小説】ケルヌンノスの尻尾 最終話

       本物の朝を、ベッドにうつ伏せになったまま迎えた。どうやら朝日を看取ってすぐ、力尽きて眠ってしまったらしい。  体の関節を順番に動かす。肩、肘、腰。起き上がる際、腰に詰まり切った空気の凹凸を感じて大きく身体を捻らせた。太い骨の中で小さい骨が砕け散っているんじゃないかと思う音が小気味よく部屋に響いた。代償に鈍痛が残り、腰をさする。ぽこ、と緩やかに出っ張った尾てい骨に手を止めて、生えるかもしれなかった尻尾の大きさを確認してみた。およそ握りこぶし大の太さをした3本目の足。と、ない体

      • 【小説】ケルヌンノスの尻尾 第8話

         エレベーターを待つ時間もない、階段で6階まで駆け上がって、途中で躓いて脛を強打した。「あぁ」と濁点を帯びた短い叫び声がマンションをこだまする。転んだ拍子にポケットから画面を光らせたままの携帯電話がこぼれ落ちた。「朝日 突然死」「朝日 なぜ」「俳優 朝日」同じ名前のを繰り返し打った検索欄が履歴として表示されている。「朝日 突然死」から導き出せるリンクはあらかた死んでいた。ブラウザバックをしてサイトに更新をかけると、そのリンクすら先ほどまであった画面から消える。「俳優 朝日」の

        • 【小説】ケルヌンノスの尻尾 第7話

           終幕後、銀河は様々な関係者に「今日のすごい良かったよ!」と肩や背中を叩かれながらも上の空で走り、劇場を後にした。「今日だけはエゴサしときな!」弟役の俳優が口角から鮮やかな赤を垂れ流しながら手を振っていた。  「なんとなく」「もしかすると」「かもしれない」、これらの連語は曖昧で意志を弱めたクッションのように見えるが、見た目通り半透明な皮を被っている言葉たちだ。水まんじゅうのように薄っすらと内部を包みながら、人の本心を守っている。はっきりと映し出したくないという、しっかりとし

        ソーヤーの動機 -人狼TLPT #51:STELLA -

          【小説】ケルヌンノスの尻尾 第6話

           配役の大小に関わらず、ドラマの撮影期間と舞台の公演期間が重なるのは珍しいことではない。マネージャーが更新するスケジュール表も「ドラマ」「舞台」の色別タグが交互に合わさっていて、どう入れ替えても曖昧で見辛い。午前に感情の見えないタクシードライバーを演じ、午後には狂った弟を猟銃で撃つ兄の役を演じる。自分の内部で2人の人格が呼吸をする。それぞれの吐く二酸化炭素が生暖かく混ざり合い、内面が結露した。  舞台後、1年間だけ担当していた前のマネージャーからはよく〈今日朝日くん観に来てま

          【小説】ケルヌンノスの尻尾 第6話

          【小説】ケルヌンノスの尻尾 第5話

           最寄り駅について、電車を降りる。半径100メートル以内に2~3軒あるうち唯一サッポロビールを仕入れているコンビニへ足を運んだ。このコンビニは駅から2番目に近い。コンビニで弁当とサッポロビールを買って、有料のレジ袋の中でそれぞれが片方に傾いていくのを感じながらマンションに帰った。レジ袋が有料化してからエコバッグを持ち歩けた試しが一度もない。省くことができるはずの無駄を、なんなら自分の意志で持ち続けていることもある。エコバッグを持ち歩けた試しがないんじゃない。目に入ったとしても

          【小説】ケルヌンノスの尻尾 第5話

          【小説】ケルヌンノスの尻尾 第4話

           碧海(あおい)の髪はずっと長くて、彼女の動きに付いていく別の生物に見えることもあった。柔軟さを併せ持つストレートな髪は、縮毛矯正をしていると知っていながらも碧海の性格が表面に出ていると思わせた。  天井は高くない、水色とクリーム色の二色で統一されたヘアサロン「ink(インク)」。もうここに通って3年ほど月日が経つ。入り口の窓からはいつも陽の光が差し込む。その光がどんなに強くとも、その丸く切り抜かれた窓を通せば月光のように柔らかくなっていた。床は木目の温かいフローリング、た

          【小説】ケルヌンノスの尻尾 第4話

          【小説】ケルヌンノスの尻尾 第3話

           順撮りで撮っていくんで、このまま運転席でも大丈夫ですしケータリングつまみに行くでも大丈夫です。  スタッフの言葉に顎で返事をしたものの「はあ」と思った。言うのが遅いだろう、数分前につけた白い布手袋を裏返しにして外す。布の繊維が引っかかって手の甲に痒みが走った。  水槽男と部屋で対峙して一夜。銀河は何の予定も変更することなくドラマの撮影現場にいる。「おう あいおう」という奇妙な声以外、水槽男は何も発しなかった。初見の頃より減った水量と、それによって増えた空気の空洞を見つめ

          【小説】ケルヌンノスの尻尾 第3話

          【小説】ケルヌンノスの尻尾 第2話

           「0」を描く度「6」を描いてしまう。描いてしまうというより「0」に近しく見える円にして尻尾を長くしてしまうのだ。生まれ月をいつも「62月」と書いて番組アンケートもその表記で提出したため、番組内で印刷されたアンケートがホワイトボードに掲示され、MCにツッコまれた。その時の銀河——当時は遥陽だ——はたじたじと小声で喋り、オンエアでその箇所はカットされていた。そしてどんな共通項か、朝日の尻尾も長かった。同じくMCに振られた朝日はその時初めて気づいたような声で「長い方が良いかと思っ

          【小説】ケルヌンノスの尻尾 第2話

          【小説】ケルヌンノスの尻尾 第1話

          ◇  春夏秋冬の中で唯一、夏だけが終わる。  陽の光に潤うグリーン、果実に溢るる赤、迫っては引く浜辺のブルー。  朝日は夏のような奴だった。  この世の主役だった朝日が死んだ。  太く小さく、太陽のような存在感を持つ円を描き、その筆をへし折った。  夏が、来る。 「よう、相棒」  葬式の空気を破ったその声に、はっと我に返った。左右を見回すも状況は変わっていないことを理解し、口を真一文に結びなおす。空気は綿毛で頬が切れるほど渇いていた。  朝日の遺影が白い蛍光

          【小説】ケルヌンノスの尻尾 第1話

          青暗転で咲く花

           騒げ、叫べ、さあ踊れ。  溶けた夜の帳(とばり)を下ろせ。  私の肌は青い。私の目は青い。  歯車同士が作用する。開かれたオルゴールの中で陶器のバレリーナは踊る。  彼女は陽の元でしか踊れない。私と相対する、橙色のあなた。  「ライトが当たると動けなくなるなんて、踊り子としてどうなの?」  くすくすと笑う声が遠くなるまでトイレの個室で待った。人差し指のささくれを弄る。見ると皮膚が白くなり硬くなっている。携帯電話を持ってくれば良かった。  本番の白く照らされるステージ

          小森先生の下の名前

          このnoteはねー、Twitterに「書きましたよ!」ってことも言わないし、古美門ってよりかは「私」のことだからね、こっそり更新しちゃうんだー。ふふ。 小森先生(仮名)って書いて、誰の何のことだか分かる人いるのかな。 前に「小説を書くということ」っていう記事に書いた、私の恩師。 私に文学を教えてくれた国語の先生。 1年足らずで退職してしまったけれど、明らかに人間として奥行きが深くて、不思議で、大好きだった。 ずっと小森先生に会いたかった。 会って何を話すかなんてことは考

          小森先生の下の名前

          小説「ねぇ、太陽に恋するべきだったと思う?」

           花びらが散っていく様(さま)に意味を付けることは、人間のエゴだろうか。傲慢だろうか。  今日の日付に赤く丸つけられた、八月のカレンダー。  蝉は地を揺らす。  空は疑うことなく青々と広がる。  結露したコップの中で氷は首を傾げる。  あの頃と同じような三年前の、あの日。  帰路の河川敷一面に、向日葵が咲いていた。西陽が私の目を焼いて、瞼の裏の水分が蒸発する。その強い西陽の差す方角から見れば、私は黄色い絨毯を歩いているように見えるだろう。そう思わせるほどに、向日葵たち

          小説「ねぇ、太陽に恋するべきだったと思う?」

          君が消えた夏

          ※2023年12月27日コンティ年末大忘年会~メンバー全員のユニットコントSP〜 の続きをなんちゃってで考えて以前ふせったーに載せたものです ※小説ではない上になんちゃって脚本みたいにしてるので描写も何もないです。一気に書いたし読みにくいし雑です。8000字ほどあります。 君が消えた夏 夏が終わろうとしている。 時を遡ったとて、蝉の鳴き声も水道水の冷たさも変わらない。 ただ自分の肌周りだけ、この時代とは別の異端として存在している気がする。 でもそれも、慣れるんだろう。 浮

          「理解」するということ-1/24 ダモクレスの金塊

          ダモクレスの金塊面白かったですね!(いつの話!?) \\\٩(*⌒∀⌒*)۶/// ほぼ完成してた記事を放っておきすぎて2か月ほど経ってました。 化石記事見つけた。見つけたよー。 以下は2か月前の私が書いてた内容です。 タイムカプセル的な感じで、もしお暇があれば、ぜひ。 ⌛ めちゃくちゃ今更ですが、ダモクレスの金塊です。最高公演。 私はこの最高公演の話を、考察を、構造の話をしようとしています。 構造なんてないですよって言われたら私の妄想でしかない話しすぎてしまうんだ

          「理解」するということ-1/24 ダモクレスの金塊

          死神5人の録音データ

          静かに、静かに。 足音を立てるな。静かに。 終わりを邪魔せぬよう。静かに。 多くの流派はあれど、私は静かに。 静かに、羽衣を肩にかけてやる。 この先は少しばかり歩く。どうか温かく、穏やかに。 [死神1] はい。はい。はいちょっとね、お借りしますよ。 えぇ。えぇ。そうなんですよ。終わりの方をね、担当させてもらってて。 あぁ、ここ、ここは腕を大きく上げた方がね、評判が良いんですよ。 まぁまぁまぁ、安心してください。後から思い返して良いものにしますから。 貴方の指揮棒、ははは、

          死神5人の録音データ