【小説】ケルヌンノスの尻尾 第8話
エレベーターを待つ時間もない、階段で6階まで駆け上がって、途中で躓いて脛を強打した。「あぁ」と濁点を帯びた短い叫び声がマンションをこだまする。転んだ拍子にポケットから画面を光らせたままの携帯電話がこぼれ落ちた。「朝日 突然死」「朝日 なぜ」「俳優 朝日」同じ名前のを繰り返し打った検索欄が履歴として表示されている。「朝日 突然死」から導き出せるリンクはあらかた死んでいた。ブラウザバックをしてサイトに更新をかけると、そのリンクすら先ほどまであった画面から消える。「俳優 朝日」の