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鑑賞する緩衝材 appreciate buffers

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普段看過ごされがちな「緩衝材」にスポットをあて、みんなで鑑賞する展示 2022/3/2 Wed.〜3/21 Mon. @MOTTAINAI クリエイティブ・リユース展 in 原…
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寄稿|「さびしくて透明な」野口卓海氏

寄稿|「さびしくて透明な」野口卓海氏

「さびしくて透明な」

美術批評 / 詩人 野口卓海

 あの厄介な疫病は社会にたくさんの弊害をもたらし続けているが、玄関に積み上がる片付かない段ボールもそのひとつだろうか。物流。文字通り物の流れは日々急になり、勢いを増して私たちの身の回りを擦過する。どれほどその過程が見えづらくなろうとも、物理はノイズキャンセルできない。「物が無事に届けられる」という役目を終えた梱包材や緩衝材は、配達されるや否や

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09|あとがき

09|あとがき

シンデレラフィットの話にはもう少し余談があり、オーディションで発掘されたグラスはどちらも百円ショップでスカウトされたもので、店には大量の同じ商品(クローン)が存在する。緩衝材としては一点ものよりも多くのものに活用できる方が利があるように思えるが、どこか物悲しい気持ちになった。

緩衝材についてしばらくの期間鑑賞し続けた結果、あまりにも物語に干渉してしまいつい感情移入して感傷的になってしまったという

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08|続・シンデレラ・フィット

08|続・シンデレラ・フィット

なんとかエコ&システムパックにぴったりフィットする暫定シンデレラグラスは決まったが、惜しくも背丈があわずオーディションにもれたグラスたち。しかし、オーディデョンには落選したけれど別ユニットで成功する、というシンデレラ(?)ストーリーもこの世には少なくない。

筒の径がぴったりという事はろう斗状の注ぎ口にもフィットする。この部分にグラスをあてがうと、欠けやすいグラスの飲み口をカバーできる。またろう斗

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07|シンデレラ・フィット

07|シンデレラ・フィット

何かに物がぴったりハマることを「シンデレラフィット」という。納まりがいいと気持ちがいい。日常にひそむ小さな幸せと言えようか。緩衝材も物が動かないようにぴったりとさせることで緩衝性が高まる。ぴったりとさせた上で衝撃をやわらげるのが緩衝の定石である。

ネスレ社のエコ&システムパックは筒状の紙パックにろう斗状の注ぎ口が付いている。これにぴったりハマるグラスはないだろうか。ガラスの靴にフィットする足を探

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06|NEST EGGS

06|NEST EGGS

すべてのネスレ製品につけられている親鳥がひなを見守る姿。このロゴマークは、ネスレを創業したアンリ・ネスレが、その家紋をアレンジして考案したもの(ネスレ日本サイトより引用)。ドイツ語で nestle は鳥の巣を意味する。やさしく卵を抱える鳥の巣もまた緩衝材と言えるのではなかろうか。

日本の卵パックはプラスチック素材が主流だが、海外ではペーパーモールドが多く使われている。子供の頃、牛乳パックから紙を

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05|エアパッケージ

05|エアパッケージ

学生の頃、実家からの仕送りの隙間によくスナックやチョコレートなどの袋菓子が詰められていた事を思い出す。これは小腹を満たす食料としてだけでなく、荷物の中身が振動で痛まないようにするためだったとしばらくして気づいた。最近では「食べられる緩衝材」という商品名のポップコーンもあるという。

2019年9月、キットカットの袋パッケージが紙製になった。折り紙のような質感の紙パッケージで、食べ終わった後に折り鶴

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04|ウェーブクッション

04|ウェーブクッション

段ボールから緩衝材をつくるだけの機械がある。多機能を求める現代において、「それしかできない」という無骨さがとても愛しく思えた。それしかできない機械に新聞を通してみたところ、段ボールよりも柔らかな緩衝材が生成された。それは、つめる・つつむ・やわらげるを満たすマルチな緩衝材となった。

ウェーブクッションの製造をお願いできる業者をここ数年探していたがなかなか見つからず、この展示を思いついたものの機械の

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03|STOCK IN

03|STOCK IN

新聞を印刷する前の原紙は、「ワンプ紙」と呼ばれるものに包まれている。撥水性や荷扱強度を高めるためワックスや増粘材などが含浸され、多くはリサイクルできず事業ゴミとなる。一方、包まれていた新聞紙は古紙回収され再生紙となるが、シュレッダーにかけられた新聞紙は実はリサイクルに向かない。

落語にもある崇徳院の「瀬をはやみ…」の歌のように、ワンプ紙にもう一度新聞紙を包ませてやりたいと思った。緩衝材として使わ

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02|点字新聞による緩衝材展示

02|点字新聞による緩衝材展示

新聞紙を使った緩衝材のパターンは、 

1.丸めて荷物の隙間を詰める
2.食器などのワレモノを包む
3.細切りにしてクッションにする

くらいが主な緩衝方法だろうか。

かつて美術家のクリスト&ジャン=クロードや赤瀬川原平が何かを梱包することによって事物の印象や意味を変えたように、普段の梱包作業も、点字新聞を用いることで新たな印象を持たせることができるだろうか。
かつて英字新聞を使うと何でもオシャ

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01|観賞用緩衝材

01|観賞用緩衝材

エアプランツで知られる中南米原産の観葉植物「チランジア・ウスネオイデス」は、もともと現地で荷物の隙間に詰める緩衝材として使用されていたという。緩衝材だったものが観賞用として親しまれていることにとても興味をひかれる。このことを単なるダジャレで終わらせるのは「モッタイナイ」と思った。

この話は今回の展示のキーエピソードであり、アップサイクルという言葉の意が「元の素材よりも価値を上げる事」だとすると、

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鑑賞する緩衝材

鑑賞する緩衝材

SDGs、アップサイクル、サーキュラーエコノミーといったキーワードが一般的になり、社会全体として持続可能性へのアプローチはますますその重要さを増している。企業や日々の生活から排出される廃材(ゴミ)の有効な活用は今後、より注目されるだろう。

しかし、社会の関心が高まる以前から「もったいない」「ちょうどいい」といった感覚は、暮らしのそこかしこで保存されていたのではないか。ほぼ無意識に行われてきた生活

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