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寄稿|「さびしくて透明な」野口卓海氏
「さびしくて透明な」
美術批評 / 詩人 野口卓海
あの厄介な疫病は社会にたくさんの弊害をもたらし続けているが、玄関に積み上がる片付かない段ボールもそのひとつだろうか。物流。文字通り物の流れは日々急になり、勢いを増して私たちの身の回りを擦過する。どれほどその過程が見えづらくなろうとも、物理はノイズキャンセルできない。「物が無事に届けられる」という役目を終えた梱包材や緩衝材は、配達されるや否や
08|続・シンデレラ・フィット
なんとかエコ&システムパックにぴったりフィットする暫定シンデレラグラスは決まったが、惜しくも背丈があわずオーディションにもれたグラスたち。しかし、オーディデョンには落選したけれど別ユニットで成功する、というシンデレラ(?)ストーリーもこの世には少なくない。
筒の径がぴったりという事はろう斗状の注ぎ口にもフィットする。この部分にグラスをあてがうと、欠けやすいグラスの飲み口をカバーできる。またろう斗
07|シンデレラ・フィット
何かに物がぴったりハマることを「シンデレラフィット」という。納まりがいいと気持ちがいい。日常にひそむ小さな幸せと言えようか。緩衝材も物が動かないようにぴったりとさせることで緩衝性が高まる。ぴったりとさせた上で衝撃をやわらげるのが緩衝の定石である。
ネスレ社のエコ&システムパックは筒状の紙パックにろう斗状の注ぎ口が付いている。これにぴったりハマるグラスはないだろうか。ガラスの靴にフィットする足を探
04|ウェーブクッション
段ボールから緩衝材をつくるだけの機械がある。多機能を求める現代において、「それしかできない」という無骨さがとても愛しく思えた。それしかできない機械に新聞を通してみたところ、段ボールよりも柔らかな緩衝材が生成された。それは、つめる・つつむ・やわらげるを満たすマルチな緩衝材となった。
ウェーブクッションの製造をお願いできる業者をここ数年探していたがなかなか見つからず、この展示を思いついたものの機械の
03|STOCK IN
新聞を印刷する前の原紙は、「ワンプ紙」と呼ばれるものに包まれている。撥水性や荷扱強度を高めるためワックスや増粘材などが含浸され、多くはリサイクルできず事業ゴミとなる。一方、包まれていた新聞紙は古紙回収され再生紙となるが、シュレッダーにかけられた新聞紙は実はリサイクルに向かない。
落語にもある崇徳院の「瀬をはやみ…」の歌のように、ワンプ紙にもう一度新聞紙を包ませてやりたいと思った。緩衝材として使わ