いあいあ、いやいや
霊能力者として言っておくとクトゥルフはこの世界にもあの世にもいない。
その理由は、あの世とは構造的に名状しうるものたちの世界だからである。わからなければいないのだ。
一方であの世には信じられたものがいる。起源はともかく神なんてみんなの思いつきである。ではクトゥルフとして信じられたものはいないのだろうか、って言うといる。
ここんとこめんどくさいが、いる。名状しがたきものは、いる。
とはいえそれは普通にあの世を見まわして会えるものではなく、それこそ世界の枠を超える動きができるものの前に、匂いを嗅ぎつけてティンダロスの猟犬かオメーという感じでニョロっと湧いて出る。うざい。
彼らはクトゥルフと名乗ったりするが、クトゥルフではない。
ただこの世界にそう言う形のポケット、鋳型があるからそう収まって名乗るだけの、理外の理である。名状しがたいものに本当の名はないのである。あっても理解のしようがない。
こいつらがほんとうざい。まあクトゥルフの小説に出てくるようなただの迷惑でしかない連中であり、理外故普通に殴っても届かず、こっちは認識することで認識できないものを認識するというバグをもらう。いわゆるSANチェックである。
こんなことを言っているからには私にもSANチェックの経験はある。理解し得ないことを理解した故の寒気と震えと脳の異物感、接続の狂った思考によるバグ行動、無力感からの恐怖。いやぁ懐かしい。二度とごめんだ。
では人類は冒涜的恐怖に震え怯えるしかないのか?というとそうでもない。実際私は何匹もぶちのめして狂信者にもならず元気に生きている。SAN値は0になっているかもしれないが。
SAN値という概念もなかなか曲者で、あれもある意味慣れれば減らなくなるのだ。とはいえ普通に恐怖するものを見慣れるのとは異なるが。
TRPGでもそうだが勝てばSAN値は回復する。これは安心というより、理外の理を増大した自分の理がある程度手中に収めることによって起こる。つまり上回るわけである。理外を理内にしてしまえばそれは当たり前となる。わかるね?
そのためにはまずいあいあしたものをぶちのめす必要があるわけだが……これには理以外の力を用いると良い。要はルール無用、問答無用に作用する力である。この辺は実践者向けだから普通の人はちんぷんかんぷんだと思うが気にしない。まかり間違っても術とかで対抗しようと思ってはいけない。あんなもん理中の理である。相性が悪い。
それじゃあ理でない力はどこにあるか、というと基本は命の根本に近い方にある。無意識の海とか言ってあーってなる人にはわかるとおもうがああいうとこにたまーに対抗できるような手段が落ちている。特殊マップのレアドロ装備が無いと一方的にやられるだけとかクソゲーじゃんと思うかもしれない。クソゲーである。無意識の海はよっぽどでないと致命的ダメージゾーンなのでろくなもんではない。
そうしてどうしようもない連中に勝つと何が得られるか、というと、減らないSAN値が手に入る。
他になんかないの?と言われると、特にない。関わるだけ損である。
そして邪神ハンターを続けることで理外を理内にしていくと……
気づけば自分が神話生物になっているのである。
この手記を読んで理解してしまったあなたは1/1D4のSAN値を失うだろう。いあいあ。