
- 運営しているクリエイター
#バンコク
1995 タイ -1-
「その男の子はあなたに「お前はエイズか?」って言ったんですよ。」
今でも忘れない、この時のショックは。
時は1995年、就職氷河期と言われ、私は大学を卒業後すぐに職に就くことを選択しなかった。つまり就職活動をしなかった。
「就職したら負け」という、後にニートという言葉と共に取り沙汰された流行り言葉は当時は無かったが、就職活動を必死にしていた大学の同級生を横目に、私はどうして皆そんな定職に就き
1995 タイ -2-
私が一目惚れをしたのは、当時仮住まいをさせて頂いていたバンコクの街外れにあった住宅の隣の食堂で働いていた少女。透き通るような白い肌、黒い髪。正直、それしか覚えていない。
仮住まいをさせていただいた約1週間、結局、彼女と会話をすることは出来なかった。その食堂に食事に行く度、遠目に彼女を憧れていた。ある日、その少女の弟が「お前はエイズか?」と私に質問をしたのだった。何故、その子は私にそう言ったのか。
1995 タイ -7-
そもそも、私はなぜタイに行ったのか。実はバンコクはともかく、サムイ島は私が行く予定地では勿論無かった。好きなタイ人が出来てしまったから、タイ語修行でサムイ島へ向かった。しかし、本当は長くても一週間ほどのバンコクステイで、とっととネパールへ向かう。これが、当初の予定である。
当時、海外旅行のセオリーはこうだ。まず、バンコクに行く。そして、旅行代理店で目的地のチケットを買う。所謂格安チケットだ。勿論
1995 タイ -8-
11月なら席があるよ。
ま、ま、ま、まジで。。。。3ヶ月後ってことだよね。。
これは正に想定外だった。3ヶ月間もタイで足止めを食らうとは。どうやら、ネパール行きのチケットは、エベレストの登山が本格的な冬になる前のハイシーズンだったらしく、飛行機はとても混み合っていたようなのだ。そんなに長い期間の旅を計画していなかったし、そもそも目的地はネパールだ。私はさて一体何をしてネパール行きの飛行機を待てば
1995 タイ -13-
噛まれていたら死あるのみ。それはそうだ、私はサムイ島にいるし、まともな医療行為をうけることは出来なかった。
25年前のバンコクで衝撃を受けた光景。それは、ひたすら野良犬をこれでもかと蹴飛ばし散らすタイ人の数々。取り分け、屋台をうろつく野良犬に対しては、そこまでやらなくても。。。と引きまくったのは一度や二度ではない。
狂犬病は今のタイでも決して油断していい類のものでは無いし、ワクチンの投与が遅れ
1995 タイ -21-
サムイ島で3ヶ月弱程のタイ語修行を終え、遂に元々の予定地であったネパール行き飛行機に搭乗する日が近づいてきた。サムイ島からバンコクへ戻り約一週間後にネパールを目指す。
タイに着いたときの居候先の隣にあった食堂で働く女性に恋をしたのがきっかけで、タイ語修行をする為にサムイ島行きを決めた。約3ヶ月後にその女性にタイ語で私の想いを伝える事が出来る程には上達していたと記憶する。
しかし悲しいかな、そも