✔️海外法人の税金について
海外法人を設立した際、1番気になるところと言ってもいいのは税金面ではないでしょうか。
そこで今回は海外での法人が納める税金の面を話をしていきます。
まず、海外で仕事をする際には、常にどちらの国の法律や税制が適用されるかを考える必要があります。
そこで重要となるのが、海外法人を設立したときの形態です。
そこから、解説していきます。
【海外法人を設立した時の形態】
海外法人を設立する場合は、大きく分けて海外支店と海外子会社の2つになります。
海外支店の場合、海外支店での利益はその支店が置かれている国によって税金がかけられます。
また、海外にありながら日本にある本店と同じ会社の扱いとなるため、海外支店での利益は日本での税金も掛かります。
しかし、この課税方法では、海外支店のある国と日本の両国から二重に課税されてしまいます。
そこで生まれたのが外国税額控除制度です。
この制度によって、日本の本店と海外支店の損益は合算され、海外支店で赤字が出た場合、その赤は日本支店での利益と合算されます。
その結果、会社全体としての税金を減らせて、バランスがとれるという仕組みになります。
海外子会社の場合は、日本の親会社とは別の法人格を持つことになります。
つまり、海外子会社が得た利益は日本本店が稼いだ利益と合算されることはありません。
そのため、海外子会社がある現地の国での税金がかけられたあとは、原則として日本での税金がかけられない仕組みになっています。
また、日本の親会社が子会社から配当金を受ける場合には、受取配当金の益金不算入の制度を利用することができます。
そのため、一定の条件を満たせば、海外子会社からの配当金についてその95%は日本の親会社の所得に含まなくて済みます。
一般的には、この現地子会社を設立して海外進出するケースが多く見られます。
そして、国によって法人設立の許認可が違うため、その国の法律や規制の関係で、子会社でないと設立できないケースもあります。
以上が、海外法人を設立した際の主な2つの形態になります。
次に先ほど話にもでた「海外税額控除」という制度について解説していきます。
【海外税額控除】
日本で居住する人にとって、国内に本店がある企業が稼いだお金は日本で稼いだものでも、海外で稼いだものでも、日本の税金がかかってきます。
そこで、外国ですでに課税されている場合は、同じ所得に対して二重で税金がかけられてしまうことを防ぐ制度になります。
例えば、海外支店が外国で納めた税金を、日本で納める税金の金額から直接差し引くこともできます。
ただし、外国で納めた税金の全額を差し引けるわけではありません。
〈海外税額控除の表し方〉
「その年の法人税等×その年の国外所得、全世界所得」で表せます。
この、限度額を超えた外国税額は日本で納める税金から差し引くことはできませんが、控除限度超過額として翌年以降に3年間繰り越すことができるので、無駄なく利用することができます。
以上が海外税額控除の解説になります。
最後に「タックスヘブン」について解説していきます。
【タックス・ヘイヴン】
また、租税回避地(そぜいかいひち)や、低課税地域(ていかぜいちいき)と呼ばれることもあります。
代表的な場所としては、スイス、シンガポール、香港、バハマ、ケイマン諸島、バージン諸島、ルクセンブルク、ジャージー島などが上げられます。
また、地中海のマルタでは外国籍で居住権を持つ者の海外から受ける収入に対して所得税がかからないというモノがあったり、モナコでは、所得税0%、相続税0%、贈与税0%となり経営者にとっては、好都合な条件で会社経営ができます。
ですが、もちろんそれぞれ適用を受ける条件があります。
こういった地域や国には、会社設立してその国に需要があるビジネスをする方はもちろんのこと、富裕層で資産をたくさん持っている方、またAppleやGoogleのようなグローバル企業が節税のために集まります。
以上がタックス・ヘイヴンについての解説になります。
【まとめ】
今回は、海外法人の税金について解説してきました。日本の法人税は高く、海外進出を考えている企業は多いでしょう。
そこで、タックス・ヘイヴンの地域や国に海外法人の設立を考えている場合は、どういった形態で海外進出するかをよく考えましょう。
また、気をつけてもらいたい事として「ペーパーカンパニー」を作るのはやめましょう。
日本ではタックス・ヘイヴン対策税制が整っているため、その制度に引っ掛かれば、会社設立費用がかかってしまうだけになる上、二重課税をかけられ、かなりの損出をしてしまう恐れがあります。
そこも良く理解して海外進出を考えましょう。