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短編たち

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短編たち集です
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2021年8月の記事一覧

淡々とした毎日の中で感じること(短編)

接客業が長く特にその中でもコンビニのアルバイトが長かった為か、『コンビニ』という単語に呪縛を感じてしまう僕がいる。
コンビニの仕事は淡々としていて、お昼前のピークと夕方のピークと店の立地によって、それぞれ違うのだが、大体どの店もピークはある。ピークの時はもうアドレナリン全開でお客さんを捌くのだが、それが楽しくて、楽しくて、あれは楽しかった、だなんて
まだ過去を引きずっている。
いつまでこの過去を引

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人外との恋(短編)

「俺はお前が好きだ!!!」
と無機物の重機に顔を擦り付ける。
周りから見ると変人扱いされるのだが、気にしない。
ガレージに駐めてある重機(ベアトリーチェと名付けた)に
「行ってきます!」と声をかけ俺は仕事に向かう

俺の真横を通った小さい子どもが俺を指差しているのを隣にいる母親が止めている。
「ねーままー」
「こら、やめなさい」とそさくさと立ち去る。

子供の頃から重機が好きで好きでどうしてもショ

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上司と後輩(短編)

俺の貴重な連休が台風と喧しいやつらのせいでことごとく潰されている…腹立たしい。はあ。どいつもこいつもタイミング悪すぎるだろ。タイミングが悪いのか、俺の運が悪いのか……。殻になったたばこの箱を潰してズボンの後ろポッケに突っ込み、灼熱の暑い中
歩きながら最後の1本のたばこを吸っている。
くそ、あちい…
真夏の太陽がジリジリと俺の肌を焼いていく。
歳も30後半だが、いろいろ理由があって実家暮らしをしてい

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単語をくっつけてみたら意外と話になる

俺の脳内で理性と色欲が戦っている。
この世界には男と女しかいないなんてよく言ったもんだ。確かにそうかもしれないが、俺はそうだとは思わない。曇り空の下、今にも雨が降りそうだなぁ…と空を見上げる。俺はしょうもない下ネタをぼんやりと考えつつ歩いていると目の前に胸の大きい女性を見かけて、俺も男だ、つい胸を直視してしまう。

しゃがんでいるからか顔は良く見えない。通り過ぎようとすると、女性のTシャツから、オ

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僕と彼女のとある日々

あぁ嘆かわしい。
ガチャを回す石をまた、回収祭りせねばならんとな。と俺はひとりごちながら家のソファでごろごろしていると
「またスマホゲームしてんのー?」
と横から覗きこまれる。
「うん〜推しキャライベントがね」
スマホを奪われて、
「スマホばっかり禁止〜、ゲームとかツイッターばっか見てるしー」と彼女に睨みつけられる。彼女は美人で自慢の彼女なのだが気性が少し荒いところがある。
「あー俺のスマホ……」

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