感化
知的の皮を被って生きてきたもので、仰々しい書体で虚仮威しするのは常套手段だ。アライグマが両手を広げて威嚇するように、僕のそれも可愛らしく映ればよかったのに。
自宅待機期間に桜の季節は過ぎ去り、夜の匂いは新芽の香りから梅雨入り寸前のぺトリコールへ変化しつつある。今週末はどかっと雨が降ったりして。原付登校だからそれは少し困る。
ずっとやりたかったデザインの勉強を少しずつするにつれ、自分の撮っていた写真のコンセプトが分からなくなっている。敢えて言うならバラエティに富んだ額縁のような風景画が、スマホのカメラロールに陳列されているような。絵でも描ければ少しは見れるようになりそうだけれど、絵心は残念ながら某大学の入試に置き去りにしたまま行方を知らない。探す気も起きないので早急に代筆かモデルを探すつもりだ。
Switchを買ってからネット上に友達と呼べる人が増え、その99%と未だ懇意にしている。ゲームは偉大だ。それを入口に他の人を知れるのだから。
興味のあるなしでなく、友達の好きな物というパスが四方八方に伸びているため、ものぐさな僕には有難い。何かを調べること、自分に関係ないものを調べるのでなく、自分の好きな友達が好きな物ってだけでモチベーションは段違いに上がる。そうして積み重ねた知識の山が、今日も僕の舌を回し筆を走らせる。欠点をあげるとするなら、文字が止まらず頭の中で死んでいくことだけだ。
友人に軽く会いに行きたい。住んでいた近くの友達だけじゃない、顔も知らない、文章を交わしただけの仲の人とも、対面して話をしたいし聞きたい。広島と岡山と大阪と京都と東京…あとどこへ行けば網羅できるだろうか。昨今の某ウイルスで身動きが取れないが、落とし所がついたらすぐ動きたい。生憎時間がないので急ぎで。
初対面の人間ともだいたい仲良くなれる程度に旅をしたので、歳違いの会ったことも無いやつと初日居酒屋で盛り上がれるし、民宿の話が好きそうなおっちゃんとも延々会話を続けられる。ヒッチハイクもしてみたいけど、それは筋力をつけてからにしようと思っている。今のバイタリティでは中学生男子といい勝負だと思うので。ちなみに好きな筋トレは寝転がってできるやつだ。
対面して話ができないといえば、最近占いを全くしていない。リモートでやるのは矢っ張りめんど……勝手が悪い。相手の表情、反応を逐一察知して、相談者の自己対話を促すセラピーの観点から見れば、一方的に結果を押し付けるのは、占いをバラエティで消化する十把一絡げ番組と何ら違いがない。今のところ、エンタメとメンタルケアの両方が成り立ってようやく満足出来る占いになると思っている。もっと不真面目になりたい。
黒い背景のカード5枚ぐらい引いて「明日死ぬねwww」とか言っときたい。手相見て「1000歳まで生きれるよ!!」とか嘯きたい。
恋愛が面倒臭い。大学生は専ら伴侶を探し愛することに全力を注いでいるらしい。自分ではない誰かを尊重する「好き」という感情は、それほどまでに尊いものらしい。そんなにすごいものならば体験はしてみたい、定期購読は今のところしたくない。ジャンプで十分だ。あと少しで某鬼退治漫画が終わりそうで寂しい。
夜。
輸送車のアイドリングが湿り気のある空気を伝播した。
冷たい空気が広がっている。部屋と体に巡る。