「精神0」を公開当日に鑑賞することは、私にとってここ最近一番のビッグイベントだった。しばしば仮設の映画館を訪れては、「ザ・ビッグハウス」を観た映画館にしようか、それとも「港町」を観たこっちの映画館にしようか、初めて想田監督の映画を観た映画館はどこだったかな、と計画を練っていた。 ところが公開当日、私はかつてないほどの混乱に襲われていて、映画を観るどころではなかった。脈絡もなく次々と記憶の扉が開き、身体は勝手に震えだし、止まったはずの涙がまた流れていて、外界のすべてのこと